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医院からのお知らせ&デンタルコラム

医院からのお知らせ及び、院長発信のデンタルコラムです。
たくさんの情報を掲載しておりますので、お時間がございましたら、お読みください。


「妊婦さん歯科受診について」
妊娠した女性は歯科受診をためらうケースが少なくない。
診療の途中で具合が悪くなる心配があるほか、エックス線の照射や麻酔の使用などが胎児に何らかの悪影響を及ぼしかねないと懸念するからです。
 
これに対し、専門家は胎児にはほぼ影響しないと説明しております。
妊娠するとホルモンのバランスが変化し、虫歯や歯周病などのリスクが高まるとした上で、つわりが落ち着く安定期に歯科健診を受けるよう推奨しています。
 
◇エックス線、麻酔、飲み薬を不安視
妊娠期は、口の中も大きな変化が起こっています。
歯茎からの出血や唾液の減少、口内の粘つき、口臭といった症状が表れやすく、こうした状態が続くと虫歯や歯肉炎、歯周炎になる危険性が高くなります。
発症すると、場合によっては低体重児出産や早産につながる恐れもあります。
 
一方、妊婦はいろいろな面で神経質になりがちです。
胎児を大事にしようと意識するあまり、歯科診療についても過度に不安視するケースが見られます。
例えば、診療中に具合が悪くなったり、エックス線撮影や麻酔・飲み薬が胎児・授乳に影響したりすることへの危惧が聞かれることがたびたびあります。
不安な気持ちがあると、必要な診療から遠ざかる事態になりかねません。
 
◇産科医と連携し安全確保
こうした懸念に対し、一番に心掛けているのは妊婦の不安を取り除くことであり、産科医と連携し、歯科治療ができる状態か、使える薬は何かなどを聞きながら治療を進める方が安全性が高いです。
アレルギーなど個々人の体質も考慮し、麻酔・飲み薬にどの薬剤を使うかを選択し、使用は必要最小限にとどめるとしています。
 
エックス線撮影に関しては、写真から得られる情報は非常に重要であるとした上で、胎児への影響はほとんどないと説明をします。
特定の歯を調べるための局所的な「デンタル撮影」の被ばく線量は約0.01ミリシーベルトで、国内の普通の生活で浴びる1年間の放射線量(平均1.5ミリシーベルト)の150分の1程度。
すべての歯を写す「パノラマ撮影」でも約0.03ミリシーベルトで、50分の1にすぎない。
さらに、撮影時には放射線を遮る防護エプロンを使用するため、「被ばく量は非常に少量で、安全と考えていいと思われます。
 
◇出産後は多忙、安定期に受診を
妊婦の健診実態はどうなっているのだろうか。
厚生労働省がまとめた2019年度の地域保健・健康増進報告によると、受診率は35.2%と低調であり、ライオンの2023年調査では、受診しない理由として「つわりなどで体調が悪かった」「普段から治療以外で歯科医院に行く習慣がない」「虫歯などの不具合がない」と回答した割合が高かったようです。
 
ライオン歯科衛生研究所の歯科衛生士さんは、妊娠中に歯科を受診するハードルが高いと感じる人もいるかもしれない、と述べた上で、受診を促す方策として
①体調が落ち着く安定期(妊娠5か月ごろ)になったら早めに受診する
②妊娠前から歯科で予防処置を受ける習慣を付ける
③口内の変化に気付いていない可能性があるため、不具合がなくても受診し確認してもらう―などを挙げています。
 
エックス線や麻酔、薬への不安に関しても歯科医院では妊娠を考慮しながら診てくれるので、迷っている人はぜひ受診してほしいと力を込めたコメントがあります。
 
妊娠中の受診を勧めるのは、出産後の多忙な生活も理由の一つです。
ある女性はおおむね2時間おきに授乳やおむつを取り換えるなど、昼夜を問わず育児に追われていたといいます。
そうなると歯科医院へ足を運びづらくなるため、自分の時間が取りやすい妊娠中に受診しておくことが大切ですとのこと。
 
◇かかりつけ医を持とう
ライオンの調査では、歯科を受診した妊婦の合わせて7割が「非常に満足」「やや満足」と回答があり、具体的には「虫歯が見つかり治療できた」「安心して出産を迎えられた」「歯科医に丁寧に診てもらえた」などと評価する声があったそうです。
受診をめぐる不安が解消されれば歯科健診を受けたいと考える人は多いようです。
 
妊娠期の歯科健診の利点に関し「口腔内の疾患の早期診断・対応につながり、重症化を避けられる」併せて、生まれてくる子どもについても医師にさまざまな質問ができるとし、「歯が生える時期や虫歯予防、歯磨きの方法などをぜひ聞いてほしい」と呼び掛ける。
その上で、「理想は普段からの定期的な歯科健診。
自分だけでなく、赤ちゃんや家族に関して相談できる『かかりつけ医』を持つことが非常に大事だ」と付け加えた。


「口腔内トラブルから全身疾患へ」
歯周病や虫歯などの口腔内トラブルは、がん、心臓病、糖尿病、認知症といった全身の疾患につながる──。
そんな研究結果が一般に広く浸透してきたこともあり、歯科医院を訪れる75歳以上の高齢者が増えています。
 
健康長寿のために口腔ケアに取り組むのはもちろん重要ですが、中には“手遅れ”なくらい状態が悪い人もいらっしゃいます。
とりわけ、1人暮らしの高齢男性は注意が必要です。
75歳以降で治療を始めようとする患者さんの場合、深刻な状態に悪化しているケースが多いです。
 
テレビで口腔内トラブルが全身の病気と関係していると目にしたことがきっかけで来院された76歳の男性がいらっしゃいました。
奥歯がほとんど抜けている状態で、食事は前歯や歯茎で噛んでいたものの、前歯もグラグラしてきてしまってどうにもならないから何とかしてほしいとのことでした。
しかし、ここまで状態が悪いと、自分の歯を残す治療をするには手遅れです。
何本もインプラントを埋め込む手術は侵襲度が高いため持病などがあると実施が難しいケースも多いですし、残っている歯をすべて抜いて総入れ歯にするしか手はありません。
 
このような手遅れの状態まで悪化している患者さんは1人暮らしの高齢男性に多い傾向があります。
奥さんに先立たれたり、ずっと独身だったりと事情はさまざまですが、1人暮らしの高齢男性は、生活習慣が乱れているケースが目立ちます。
自炊する人が少なく、毎日、外食やコンビニ食で食生活が偏り、菓子パンだけで済ませる機会が多かったり、野菜はほとんど食べずに肉や炭水化物ばかりで、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足し、歯周病が促進されてしまうのです。
 
また、家族の“目”がないために、歯磨きなどの日々の口腔内ケアが面倒になって、おろそかになるケースも少なくありません。
 
■「客観的な評価」と「周囲の目」が大切
一方、高齢でも妻や子供と同居している人は、「客観的な評価」で自分の口腔内の状態を把握できます。
 
たとえば、一緒に食事をしているときに食べるスピードが遅くなっているとか、硬いものを避けるようになったと指摘されれば「歯が悪いのが原因だからきちんと治療しよう」という意識になります。
 
家族から、口臭がひどくなったと言われて、歯周病を疑い歯科医院に足を運ぶケースもあります。
 
また、1人暮らしの高齢男性は外にコミュニティーがなく、定年退職後は自宅にこもりがちになる場合が多いようです。
逆に外で仕事を続けていたり、友人や知人と交流があって外出する機会が多い人は、手遅れになるまで口腔内トラブルを放置するケースは少ないです。
家族と同じように周りの人たちからの「客観的な評価」によって自覚できるうえ、「周囲の目」も意識するからです。
 
以前、前歯が2本抜けてしまっていた80歳の男性が、前歯をきれいに治してほしいと来院されました。
それまで通っていた歯科医院では積極的な治療はせず現状維持を勧められていたものの、やはり治療したいとのことでした。
その男性は1人暮らしでしたが、友人たちと定期的にマージャンを楽しんでいて、その際に食事がしにくかったり、見た目が気になっていたといいます。
そこで、残っている両脇の歯を支えにして一体型のかぶせ物を装着するブリッジを入れる治療を実施したところ、満足して喜んでいただけました。
『客観的な評価』と『周囲の目』は、口腔内の健康を維持するうえでそれくらい大切なのです。
 
口腔内トラブルの“手遅れ”を防ぎ、健康寿命を延ばすためには、自分の足で歯科医院に通えるうちにトラブルはすべて治療し、75歳以上になったらメンテナンスに通うだけで問題ない状態にしておくことが大切です。
とりわけ1人暮らしの男性は、日頃から口腔内の状態を意識して、不具合があればしっかり治しておきましょう。


入れ歯で微生物が増殖
口の中をはじめ、身体には多くの細菌が棲んでいます。
そのため、入れ歯は微生物が増殖しやすい「巣」のような役割になっています。
肺の「上流」にあたる口の中にうじゃうじゃと微生物が棲んでいる状態ですと、当然肺炎を起こしやすくなります。
実際にアメリカにおける10万人あたりの年間肺炎患者数を観察したところ、入れ歯を着用している人では、着用しない人と比べて9.33倍肺炎のリスクが高いことが示されています。
 
また、肺炎で入院中の高齢者の入れ歯の細菌量を、介護施設入所者のそれと比較した研究があります。
これによると、肺炎の患者さんでは入れ歯に20倍の量の細菌が定着していることが示されました。
不衛生な入れ歯が多い、ということです。
飲み込んでしまえば微生物は便から排泄されますが、高齢者の場合、入れ歯にたくさんの菌が棲んでいる状態が続くと、誤えんなどの影響もあって肺炎のリスクが高くなるというわけです。
 
肺炎を予防するための入れ歯に関する注意点
入れ歯は毎日洗浄する必要があります。
入れ歯を毎日洗浄していないと、高齢者の肺炎のリスクが1.3倍高いというデータも存在します。
入れ歯を着用している人は、うまく食べ物を咀嚼(そしゃく)することができない高齢者が多いため、誤えん性肺炎などのリスクが高いです。
しかし、洗浄して適切に着用すれば、誤えんを減らすことができるので、むしろ「正しく使用した入れ歯は肺炎を減らす」という見解もあります。
 
「今日は水洗いでいいか」と手を抜き始めると、だんだん入れ歯のお手入れの細やかさが失われ、いつの間にやら汚い入れ歯を毎日着用しているという事態に陥ります。

 
また、夜は入れ歯を必ず外して寝るようにしましょう。
睡眠中は唾液の分泌が減少し、細菌が増殖しやすくなるため、入れ歯をつけたまま寝ると肺炎のリスクが2倍以上高くなることが分かっています。
場合によっては入れ歯を入れて寝たほうが良い場合もありますので、歯科医師と相談しましょう。


ベロが腫れてぶつぶつ・・・イチゴ舌・・・
喉の痛みを訴える子どもの舌が赤く腫れて、イチゴのようなぶつぶつができていたら「イチゴ舌」かもしれない。
 
イチゴ舌の症状が見られる場合、ほとんどのケースは溶連菌感染症です。
3~12歳ぐらいのお子さんに多い病気ですが、大人でも感染します。
ただし溶連菌感染症のすべてのケースでイチゴ舌が表れるわけではありません。
 
川崎病も似た症状

イチゴ舌は特徴的な症状ですが、舌そのものに痛みやかゆみ、飲食時の違和感などがあるわけではようです。
症状の出方にも個人差があるため、軽度の場合は舌の症状に気付かず受診するケースは少なくないとのこと。
症状が強く出ている場合は、イチゴ舌をきっかけに受診される患者さんもいます。
溶連菌感染症はイチゴ舌だけでなく発熱、喉の強い痛み、全身の赤い発疹などの症状も同時に出るため、それらがきっかけで受診して、イチゴ舌に気付かれるケースが多いようです。

 
溶連菌感染症以外に、イチゴ舌の症状が出る病気は川崎病です。
他にも発熱、発疹、リンパ節の腫れなど、溶連菌感染症と同じような症状が表れます。
溶連菌の熱は3~4日で治ることが多いのですが、川崎病の場合、高熱が5日以上続くため、熱の出方が両者を見分ける大きなポイントです。
また、川崎病は4歳以下の子どもで発症するケースが多い病気です。
 
薬は飲み切ること
溶連菌感染症は、A群溶血性連鎖球菌という細菌が原因で、飛沫(ひまつ)か接触によって感染します。
このため予防にはうがいと手洗いが大切です。
感染した場合、一緒に暮らす家族とはタオルや食器を分ける方がよいでしょう。
 
治療は抗生物質が使われます。
10日間分処方されるが、服用を始めて2~3日で熱が下がり、イチゴ舌や喉の痛みなども徐々に改善するため、薬を途中でやめてしまう人が多いようです。
服薬を中断すると、溶連菌を完全に排除することができず、腎炎やリウマチ熱などの合併症につながる危険性があります。

学校は10日間休む必要はなく、適切な抗菌薬の使用開始から24時間が経過して、熱が下がり元気を取り戻したら登校してよいと学校保健安全法に定められています。

 
溶連菌感染症は命に関わるような恐ろしい病気ではありません。
しかし、合併症の危険性が潜んでいるため、症状がよくなった後も処方された分の薬は飲み切ることが肝心です。
リウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症につながってしまうことがあります。
処方薬は決められた用法で決められた期間で飲みきることは、服薬の基本中の基本です。

 
予防としては、感染した人との濃厚な接触をさけることがもっとも大切です。
また、こまめなうがいや手洗いもしっかり行いましょう。
舌異常な腫れや痛みがある場合は歯科医院または口腔外科での受診をおすすめします。


頬や顎の下に腫れ・痛み 唾石症
唾液を口の中に分泌する唾液腺の管(唾液腺管)の内部に「石」ができて流れが滞り、食事の際に顎の下などに腫れや痛みが表れる。
そのような病気を「唾石(だせき)症」といいます。
 
◇唾液の流れ悪く
患者は小学生から高齢者まで幅広いが、特に20~40代が多いです。
石は唾液腺管内部の有機物や唾液中のカルシウムなどで作られ、大きさや形はさまざまです。
 
最初は「ちり」のようだが、徐々に1~30ミリまで大きくなることもあります。
耳下腺、顎下腺、舌下腺の三つの唾液腺のうち、顎の下辺りにある顎下腺管にできるケースが8~9割を占めます。
唾液は食事中に多く分泌されるが、その流れが石によって滞るため、唾液腺に腫れや痛みが生じます。
食事が終わると唾液分泌が減り、滞っていた唾液も管内の壁と石の隙間から少しずつ流れ出すので、1~2時間で症状は治まります。
しかし、何らかのきっかけで、唾液腺管に口の中の細菌が入ってしまうと化膿(かのう)性の炎症が生じ、急に痛みがひどく症状が悪化します。
 
◇内視鏡で治療
悪性の病気ではなく、石が自然に出てくることもあるため、日常生活への支障がなければ、経過観察も選択肢の一つです。
また、食後に唾液腺をマッサージすることで、小さい石は排出されるかもしれません。
ただし、症状の程度によっては手術が必要になります。
手術には、唾液腺管の出口から管内に内視鏡を挿入して石を取り出したり砕いたりする「内視鏡手術」と、口内の粘膜を切開して石を取り出す「口内法」があります。
首の皮膚を切開して唾液腺そのものを摘出することもあります。
大きさが4~5ミリ以下で、管の中を浮遊しているような石は、内視鏡手術だけで摘出できる可能性が高いとのこと。
それより大きい石や管の壁に癒着している石の場合、口内法と内視鏡を組み合わせます。
石が大きかったり、癒着が著しかったりする場合は、頸部(けいぶ)を切開して唾液腺を摘出することもあります。
症状を繰り返す場合は、耳鼻咽喉科を一度受診しましょう。


「糖尿病予備軍との診断」
健康診断を受けて、糖尿病予備軍と診断された方はいらっしゃいませんか?
 
糖尿病とは「インスリンの作用が十分でないためブドウ糖が有効に使われずに血糖値が普段より高くなっている状態」を言います。
この状態が長く続けば全身状態が悪くなり、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経症などさまざまな合併症を発症することがわかっています。
当然、口腔内の環境も悪化させますが、糖尿病患者の口の中はどうなるのでしょうか?
 
糖尿病の人は、さまざまな病気を合併しますが、そのひとつが歯周病です。
糖尿病の第6の合併症ともいわれ、糖尿病があると歯周病になりやすく、歯周病が悪化しやすいことが明らかになっています。
また、歯周病があると血糖値が上がって、糖尿病になりやすく糖尿病が悪化しやすいのです。
両者はまさに悪循環する関係で、一気に体を蝕んでいくのです。
 
実際、米国のピマ族の大規模疫学調査により糖尿病患者における歯周病発症率は糖尿病でない人に比べて2.6倍高いことが報告されています。
日本でも、HbA1cが6.5%以上の2型糖尿病患者は健常者より歯周組織破壊の相対リスクが高まるとの報告もあります。
 
歯周病は歯の周囲の汚れであるプラークの中に含まれる細菌の毒素などが原因で歯肉に炎症が起きて、歯を支える歯槽骨が溶けていく病気です。
初期の段階ではわかりませんが、朝起きた時に、口の中がねばねばする、歯磨きの時に出血する、歯肉が下がって歯と歯の間の隙間が広くなったり歯が伸びたように感じる、歯がグラグラする、などの自覚症状が出た時はかなり病状が進行した状態です。
 
歯周病を放っておくと、歯を失うだけでなく、心臓や脳の血管を詰まらせ、心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが3倍程度も高まることがわかっていて、喫煙以上の健康被害があります。
 
なぜ、糖尿病の人は歯周病になりやすいのか? 
その理由は大きく3つあるという。

1つは、高血糖による脱水作用で口腔内が乾きドライマウスとなり、唾液の自浄作用が低下するために、歯肉に炎症が起きやすくなることが理由として挙げられます。
2つ目は、高血糖により白血球の機能が低下して、歯周病の原因であるプラークの菌に対しての抵抗力が低下して健康な人に比べてより有害なプラークができやすく、歯周病が発症しやすくなることです。
3つ目は、血液中の過剰なブドウ糖がタンパク質と結びついて作られる最終糖化産物が歯周の重要な組織であるⅠ型コラーゲンやラミニンなどを変化させることなどが指摘されています。
 
逆に歯周病が糖尿病を発症させたり、重症化させるのは、歯周病の病巣から出る毒素や炎症物質が血液を介して全身に広がり、それがインスリンの働きを低下させ、血糖値を上げるからです。
血糖コントロールが悪くなって、感染症に弱くなると、虫歯が増えてきてもおかしくないのです。
 
ハッキリした統計データはありませんが、臨床の場での印象では糖尿病の人は虫歯が多い印象があります。
とくに、糖尿病の人の虫歯は、健常な人ならまずできないであろう、下あごの前歯にも虫歯ができやすい。
本来、下あご前歯の裏側には再石灰化能の高い唾液腺の開口部があり、虫歯になりにくい部位です。
しかし、糖尿病の人は、高血糖で口が乾き、唾液が出にくいため、虫歯ができやすいのです。
 
■しっかり口腔ケアすれば血糖値も下げられる
糖尿病の人の口の中は口腔カンジダ症も発症しやすくなる。
この病気は、真菌の一種であるカンジダ菌による口腔内疾患のひとつで、舌や頬など口腔粘膜に付着した白い苔のようなものです。
出血したり、痛みがあります。
もともとカンジダ菌は体内に常在していますが、この菌は日和見菌で、唾液の分泌が減ったり、免疫が落ちるなどすると悪さをするのです。
 
他にも、糖尿病の人は細菌の塊である舌苔が増えたり、甘酸っぱいにおいのアセトン臭やケトン臭がすることがある。
糖尿病やその予備群の人は、口腔ケアをしっかりすることが大切なのです。
たとえば歯周病の治療によって血糖値が下がり、糖尿病が改善する好循環も報告されており、糖尿病の合併症を防ぐことにもつながるのです。
 
薬を飲んだり、運動するのも良ですが、血糖コントロールには、まずは食後の歯磨きから始めましょう。


・7月20日(木)振替診療日といたします。


「ストレスと口腔内のトラブル」
就労している人がプライベートで悩みやストレスを感じる項目が多いほど、口腔内のトラブルが増加することが、東京医科歯科大学の調査で分かったようです。
 
職場の定期検診ではメタボリック症候群や血圧など全身状態の観察が中心です。
しかし、歯や歯ぐきの状態も加えてストレスによる影響をチェックし、従業員の健康保持の向上につなげる経営の仕組みが必要だとのこと。

 
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の相田潤教授(公衆衛生学)らの研究グループは、2013年に厚生労働省が行った国民生活基礎調査を基に、ストレスと口腔の関係について分析しました。
 
この調査は正規・非正規を問わず就労している27万4881人を対象とした大規模なもので、内訳は男性15万2850人、女性12万2031人、平均年齢は47.0歳です。
 
その結果、ストレスを感じる項目がゼロと答えた人で口のトラブルを抱えているのは2.2%だった。
ストレスの数が1個、2個と増えていくごとに増加し、6個と答えた人の10.9%、7個以上になると全くストレスがない人の約7倍となる14.4%に口腔トラブルがあることが分かりました。
 
恋愛、自由な時間、家事、育児、経済状況、住まいのトラブルなど仕事以外の19項目について、ストレスを感じていると答えた項目の個数と、「歯が痛い」「歯ぐきのはれ・出血」「かみにくい」といった3つの口に関するトラブルの発生と関連があるかどうかを調べたようです。
解析にあたっては性別や飲酒・喫煙の習慣、職種など個々が抱える要素による影響を考慮しております。
 
ストレスを感じると、人は強く歯をかみしめたり、就寝時に歯ぎしりをしたりします。
歯が痛ければ何事にも集中できず、かみにくければ食事や会話が楽しめないなど、ストレスが増大する負のスパイラルに陥ります。
歯ぐきのはれや出血は歯周病が発症しているサインで、放っておくと早産・低体重児出産や糖尿病、心筋梗塞の悪化など、全身の健康を害する恐れが高まります。
 
また、歯科治療に通っていたとしても、ストレスが多いと治療がうまくいかないケースもあるとのこと。
相田教授は今回の分析結果を踏まえ、「忙しいと歯科医院に行きにくくなる。雇用する側が定期的な歯科検診を福利厚生で提供するなどの仕組みがあるとよい。
プライベートで発生するストレスは生産性の低下など仕事にも関連する。
経営者も産業衛生の取り組みに歯科も入れるなど意識を向けてほしい」と話す。
今後は政府が昨年6月に掲げた骨太の方針の中に国民皆歯科健診があるため、不調の原因に気が付くきっかけになるかもしれない。


「欠損補綴について」
自分の歯を失った場合の代表的な選択肢は入れ歯、ブリッジ、インプラントの3種類がある。
それぞれどんなメリットとデメリットがあり、何を基準に選べばよいのか・・・。
 
抜歯後に健康保険適用の治療で対応できるのは入れ歯とブリッジの2つです。
入れ歯には「総入れ歯」もありますが、ここでは1〜数本の歯を失った場合の「部分入れ歯」について説明します。
 
部分入れ歯は残っている自前の歯に金属などのバネをかけて固定させます。
保険適用のため安価で治療期間が短い(1〜2カ月)とされます。
しかし、歯肉で支えられる入れ歯は元の歯に比べてどうしてもかむ力が弱くなることや、また慣れるまで異物感を覚え、滑舌が悪くなることもります。
健康保険適用の入れ歯は設計や素材などの制約のため、フィット感や耐久性に限界があります。
一方、費用はかかるが自由診療の入れ歯はバネの部分が樹脂製などで目立たなくすることもでき、耐久性も素材の選択の幅が広がるためあげることもできます。
 
入れ歯は一種の工芸品であり、歯科医院での型取り、模型づくり、かみ合わせチェックなどを経て歯科技工士が職人技で仕上げるものです。
各工程で少しずつ生じた誤差は最後に削って調整するが、自由診療の入れ歯の場合は「ぴったりフィットするまで細かい補正が可能となります。
 
ブリッジは抜けた歯の両隣の健康な歯を削って、それらを「支え」として人工歯を上からかぶせて橋渡しする治療法です。
かむ力は入れ歯より強い。ただ、両隣に支えとなる歯が必要なので一番奥の歯には使えません。また人工歯の柱として健康な歯を数本削らなくてはならず、その歯に負担もかかります。
構造上、清掃が難しく歯間ブラシなどでしっかり手入れしないと歯垢(プラーク)がたまりやすく、歯周病や虫歯のリスクが増大します。
 
近年、一般的になったインプラントとは、抜歯した部分の顎の骨(歯槽骨)に「インプラント体」(チタン合金などの人工歯根)を埋め込み、その上から人工歯をかぶせる治療法のことです。
入れ歯やブリッジなどに比べると咀嚼(そしゃく)力、審美性ともに優れています。
残っている健康な歯に負担がかからない点も大きなメリットで、手入れも健康な歯とほぼ変わらずになります。
入れ歯やブリッジの欠点を補ってあまりある治療法に思えるが、インプラントは決して万能な治療法ではありません。
 
まずインプラントを埋め込む外科手術が必要なため、治療期間は長くなり、自由診療のため費用もおよそ高額です。
また、事前に顎の骨の状態をX線写真やコンピューター断層撮影装置(CT)検査でチェックしますが、歯周病などが原因で顎の骨の量や質が不十分でインプラントを埋め込むことが困難な患者もいます。
 
また、糖尿病や骨粗鬆(しょう)症患者は、インプラント体と歯槽骨が結合しにくく手術のリスクが高まります。
そうした場合は入れ歯かブリッジを選択するしかないだろう。
 
以上、3つの選択肢に関して述べてきたことはあくまでも一般的なものであり、どれがふさわしいかは患者さん一人ひとりの状況によって異なります。
患者さんのライフスタイルやライフステージを踏まえて選択肢を提示するし、保険の適用や治療費を含め、最適な選択肢を一緒に探してくれる歯科医を見つけることが重要だろうと思われます。


「歯が沁みる痛み」
~自己判断せず歯科医院受診を~
日本歯内療法学会(東京都豊島区)が「歯が沁みる痛み」について調査したところ、日常的に歯が沁みる体験をしている人が多いことが分かったようです。
 
◇自己診断は危険
歯が沁みる「知覚過敏」とは、歯の神経が何らかの原因で刺激を感知している状態です。
加齢で歯肉が下がったり、歯がすり減ったり、治療済みの箇所が敏感になったりしていることなどが原因です。
20~50代の560人を対象にした日本歯内療法学会による調査(2022年9月実施)では、過去に歯が沁みる経験がある人は65.4%で、そのうち
1カ月以内に歯が沁みた人は41.5%いたとのことです。
1カ月以内に歯が沁みた人のうち、半数が何も対処をしていなかったようです。

 
また、過去に歯が沁みた人のうち、32.0%が「知覚過敏と思ったが、歯科医に虫歯とされた経験」があったとのこと。
 
知覚過敏が一時的な痛みであるのに対し、虫歯は慢性的でずきずきとした持続的な痛みになります。
虫歯が悪化すると歯に穴が開いたり、黒くなったりするが、初期の段階では肉眼で分かりにくく進行してしまいます。
虫歯でなくても、歯に薬を塗ったり、レーザーを当てたり、専用の歯ブラシを使ってもらったり、知覚過敏の処置ができます。
放置すると、しみるので歯磨きがおろそかになり、虫歯になってしまいます。
 
◇自宅と歯科でケアを
毎日のセルフケアも大事です。
歯ブラシでブラッシングするだけでなく、タフトブラシ(一つの毛束でできた小さなヘッドの歯ブラシ)、歯と歯の間の食べカスを取るデンタルフロスや歯間ブラシを用いるとよいでしょう。
使い方は歯科医院で指導してもらえます。
 
自分では完璧にブラッシングしているつもりでも、奥歯など目に見えないところは磨き残しが多いです。
細かい部分の汚れは取りきれないので、歯科医院でのプロフェッショナルなケアが重要になります。
歯科医院とうまく付き合うことが長期的に歯を保つこつと言えるでしょう。


・4月27日(木)振替診療日といたします。


「歯磨き粉の量」
歯ブラシをするときのつける歯磨き粉の量を各学会が提示していましたのでお伝えします。
 
フッ化物配合歯磨剤(歯磨き粉)の推奨される利用方法を、日本口腔衛生学会など歯科医療に関わる4つの学会が発表しました。
近年の研究による、新たな基準での歯磨き方法を提示しています。
 
日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会による合同の提言です。
基本的には「歯磨きは就寝前を含め1日2回」「歯磨き後は歯磨き粉を軽く吐き出し、うがいする場合は少量の水で1回のみ」としつつ、年代別の使用方法を説明しています。
 
歯磨き粉の適量は、歯が生えてから2歳までは米粒程度(1~2ミリ程度)、3~5歳はグリーンピース程度(5ミリ程度)、6歳以上から成人・高齢者は歯ブラシ全体(1.5~2センチ程度)とのことです。
これは飲み込んでしまうリスクを考慮したもので、乳幼児が誤って大量に食べたり飲み込んだりしないよう、使用法と保管場所への注意も呼びかけられています。
使用する歯磨き粉については、年齢に合ったフッ化物濃度の製品を選ぶよう推奨されていますが、多くの市販品に濃度は記載されていません。
学会は、フッ化物の種類と濃度の表示義務が定められた国際規格(ISO 11609)にあわせて明記するよう求めています。


・3月23日(木)振替診療日といたします。


「口臭と舌苔について」
口臭とは、本人と第三者が不快に感じる呼気のことを言います。
歯周病と舌苔(ぜったい)がその二大原因といわれますが、一般に歯科医院では、歯周病のチェックは行われても舌苔のチェックは行われないていないのがほとんどです。

しかしながら、舌苔は舌を磨くことで除去できますが、磨き方には十分注意する必要があります。
 
舌苔は自然にはなくならない
舌苔は舌に付着した細菌の塊で、白いコケ状をしています。
食べかすやはがれ落ちた粘膜を細菌が食べて分解した産物で、いわば汚れの塊です。
舌苔の付着は病気ではないですが、自然に消えることもありません。
放置すると分厚くなり、たんぱく質を分解して揮発性のガスが発生し、口臭の原因になります。
食べ物をかむ回数が少ない、口呼吸、喫煙や飲酒、清掃不足など、生活習慣により、舌苔ができやすい人とできにくい人に分かれます。
また、抗生物質を服用すると口腔(こうくう)内細菌のバランスが崩れ、黒い舌苔ができることがあります。
 
本来なら、舌苔の有無の判断や除去の仕方の指導などは歯科医院でするのが理想ですが、口臭を訴える患者に対して、舌苔に目を向ける歯科医師はまだ少ないのが現状です。
 
舌ブラシで1日1回
舌苔は舌を磨くことで除去できます。
しかし、正しい舌磨きの方法を知っている人は少なく、除去とは関係がない場所を磨いている人もいるようです。
舌磨きは必ず専用の舌ブラシを使いましょう。
市販の製品でよいですが、金属製のヘラ状の製品や普通の歯ブラシは硬すぎるので避けた方がよいです。
舌の表面の乳頭を傷つけやすく、小さな傷が繰り返しできると、舌がんを招く恐れがあります。

舌苔は、舌の奥側に付着しやすいため、磨く前に鏡で付着している箇所を確認しておきましょう。
磨き方は、奥から手前に数回、汚れを優しくかき出します。
慣れないうちは鏡を見ながら行い、決して強くこすらないようにします。
専用の舌磨き粉もありますが、水だけでも十分です。
嘔吐(おうと)反射が起こりやすいので、できるだけ舌を前に突き出すようにしましょう。
目安は1日1回程度。
それ以上は明らかに磨き過ぎです。
また、舌ブラシで軽くこすってみて、黄色や茶色の汚れが付着しなければ、無理に磨く必要はありません。
磨いた後はよくうがいをして、口腔内を洗浄しましょう。
 
高齢になるとかむ回数や唾液が減り、舌苔ができやすくなります。
口臭だけでなく、誤嚥(ごえん)性肺炎などのリスクにもつながるため、正しいセルフケアを身につけて舌苔を予防しましょう。


・2月9日(木)振替診療日といたします。


「骨粗鬆症と抜歯について」
皆さん、明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

 
近年、健康寿命を延ばすためには「歯の健康」が大切だと周知され、虫歯や歯周病の治療が重視されているます。
高齢になっても歯科治療やケアは欠かせないですが、「骨粗鬆症」を抱えている人は注意する必要があります。
「骨粗鬆症」は、骨の量が減って強度が低下し骨折しやすくなる病気で、高齢化が進む日本では1000万人以上の患者がいるといわれています。
転倒をはじめ、手や肘をつく、くしゃみや咳といったちょっとした衝撃で骨折してしまうケースもある。
背骨、手首、太ももの付け根の骨が折れやすく、骨折がきっかけで寝たきりになってしまう場合も少なくないのです。
 
治療は薬物療法が中心で、骨密度を高めて骨折の危険を減らします。
病状に応じて、
①骨吸収を抑制する薬(ビスホスホネート、抗RANKL<デノスマブ>、カルシトニン、SERMなど)、
②骨の形成を促進する薬(ビタミンK2、副甲状腺ホルモン<テリパラチド>など)、
③骨代謝を調節する薬(カルシウム、活性型ビタミンD3など)が使われています。
 
この中で、①骨吸収抑制薬の「ビスホスホネート」を長く服用している人は、歯科治療を受ける際に注意が必要です。

「2003年、骨吸収抑制薬のビスホスホネートを服用している患者が抜歯などの外科的な歯科治療を受けた後、まれに『顎骨壊死』を発症するケースが報告されました。
顎の細胞や組織が死んで骨が腐った状態になり、口腔内細菌の感染によって顎の痛み、腫れ、化膿といった症状が現れます。
進行して悪化すると、壊死が広がって顎の骨が折れたり、皮膚の表面に穴が開いて膿が漏出するケースもあります」。
ビスホスホネートの長期服用がなぜ顎骨壊死を起こすのか、まだ詳しい機序ははっきりわかっていないというが、日本の研究では、ビスホスホネートに認められる「白血球に働きかけて殺菌物質の産生量を増やす」という作用が関係しているとの報告があります。
ビスホスホネートを長期服用している人の場合、口腔内に常在している細菌が歯周ポケットや歯科治療による外傷などから顎の骨の中に侵入して炎症を起こすと、白血球が産生する殺菌物質が過剰になり、自分の細胞などを攻撃するなどして顎骨壊死を誘発しやすくなるといわれています。

「ビスホスホネートの投与期間が長くなればなるほど発症リスクが高くなり、さらにステロイドなどの免疫抑制剤を使っている人や、糖尿病などの合併症があって感染しやすい状態の人もリスクがアップすると考えられています。
ただ、発症頻度はまれで、がん治療などで高用量のビスホスホネート系薬剤を静脈注射投与している患者で0.6~6.7%、骨粗鬆症で使われる低用量の経口投与では0.00038~0.1%程度と推計されています」

 
■休薬してから治療が行われるケースも

それでもリスクが考慮され、骨粗鬆症の治療で長期間ビスホスホネートを服用している人が抜歯などの外科的な歯科治療を行う場合、当初は「3年以上服用している人は3カ月の休薬の後で処置を行う」とされていました。
該当する患者が来院した場合、まずは骨粗鬆症治療の担当医に「外科的な歯科治療を行いたいので3カ月程度の休薬が可能かどうか」を手紙などで打診し、問題がなければ休薬後に処置を行う。
休薬が難しいケースでは、まずは口腔内の炎症をできるかぎり少なくするために歯石除去や殺菌などの処置を行ったうえで、治療の1時間前に抗生剤を服用してもらってから実施する手順でした。

「しかし、さらに骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の研究が進んだ結果、『4年以上の服用で少なくとも2カ月の休薬』に変更となり、現在は『低用量であれば休薬は必要ないのではないか』とされています。
今年3月、米国口腔顎顔面外科学会による予防・診断・治療の指針の改定で、そう言及されたのです。
これを受け、いまは休薬ができなかったケースと同じような手順で治療を行っています」ビスホスホネートなどの骨吸収抑制薬は骨粗鬆症に対して非常に有効な薬なので処方されている患者は多いです。
歯科治療を受ける際はお薬手帳を持参したり、治療前に使っている薬を歯科医に伝え、しっかり指示を仰ぎましょう。
自己判断での休薬は絶対にやってはいけないです。


・1月12日(木)振替診療日といたします。

「体調がイマイチ良くない時の外科処置は大丈夫?」
歯科では抜歯をはじめとする外科的治療が頻繁にあります。
睡眠不足、あるいは体調がいまいちというときに、こうした治療を受けても大丈夫なのか?
受ける場合の注意点にはどのようなものがあるのでしょうか? 
 
抜歯は歯科ではポピュラーな処置の一つです。
進行したむし歯や歯周病があり、そのままにしておくとデメリットが大きい場合や、むし歯のリスクの高い親知らずがある場合、折れてしまい噛むと痛みがある場合などです。
このほか歯科でおこなう外科的治療として、進行した歯周病による歯周外科治療(歯ぐきを切開してプラークを取り除く処置をおこなう)、失った歯ぐきを増やすための移植手術(上顎歯肉の一部を切除し、移植する)、インプラント手術などがあります。
しかし、こうした処置を睡眠不足や体調不良のときに受けることはすすめられません。
 
まず、睡眠不足や体調不良の場合、免疫力も低下していると考えられます。
免疫力が低下していると、傷の治りが悪いなど、歯ぐきの縫合部分の回復が遅れてしまいがちです。
実際にこうしたケースは多く、傷口に口の中の細菌が集まり、そこから病原菌が繁殖して、炎症を起こしてしまうこともあるのです。
 
もう一つは、治療の際に痛みが強く出やすいことです。
外科的治療では前処置として、はじめに口腔粘膜に麻酔注射をすることが多いのですが、通常、注射針で痛みを訴える人はほとんどいないのに対して、睡眠不足の人は「痛い!」と敏感に反応することを、何度か経験しています。
これは睡眠不足のために自律神経が乱れ、交感神経が緊張状態になっているためだと思われます。
麻酔薬に含まれるアドレナリンには心拍数を上げる作用があるため、交感神経が緊張している人に注射をすると、動悸が激しくなり、気分が悪くなってしまうことがあるかもしれません。
 
もちろん、これらの問題から命にかかわるような大ごとになることは基本的にありません。
ですから、若くて持病などがなく「睡眠不足ですが、大丈夫。ぜひ、抜歯してほしい」などと言われれば、治療はしますが、それでもやはり体調のいいときに受けるにこしたことはないと思うのです。
「直前に予約をキャンセルするのは気が引けるな」と思うかもしれませんが、遠慮する必要はありません。
歯科医師もこのように、体調不良下で外科的治療をすることの問題点は、十分にわかっています。
当日でも構いませんので、受付に電話をし、予約を取り直していただければいいのです。
診察台に座ってからも、体調面などで不安があれば、正直に伝えてください。
私たち歯科医師は顔色を見たり、必要に応じて脈を取ったり、血圧を測ったりして患者さんの体調を確認します。
また、「睡眠はとっていますか?」「体調に変化はないですか?」などと聞きますが、「大丈夫です」と言われれば、それ以上はなかなか探れません。
 
また、これは高齢の人に多いと思いますが、持病がある場合は、初診のときにそのことを必ず歯科医師に伝えてください。
例えば糖尿病がある場合、血糖値のコントロールが悪い状態のまま外科的治療をすると、傷口に感染が起こりやすく、回復が悪くなることなどがわかっています。
高血圧がある場合も、コントロールができていないと、治療をきっかけに、血圧が上がることがあります。
服用している薬があれば「お薬手帳」を持参しましょう。
心筋梗塞の予防薬などに使われるワーファリンは、血液をサラサラにする薬として知られていますが、その分、抜歯などでは出血のリスクがあるので、注意をはらって処置をする必要があります。
以前は歯科で外科的治療をする際、休薬することになっていましたが、その後、休薬によって起こる心筋梗塞や脳梗塞などの合併症のリスクが、服用したことで起こる出血のリスクを上回ることが明らかになり、現在は服用を続けて治療を受けてもいいことになっています。
 
また、骨粗しょう症の治療やがんの骨転移の治療に使われているビスフォスフォネート製剤は、「骨を丈夫にする薬」とだけ理解している人が多いようですが、この薬を服用している人は、抜歯など外科的治療をする場合は注意が必要です。
顎の骨の壊死を起こすリスクがあるためです。
 
このほか、抗がん剤や抗菌薬の中には、やはり、抜歯などの処置をする際に、注意が必要なものもあります。
このようなお話をすると、歯医者が怖くなってしまう人がいるかもしれませんが、必要以上に心配することはありません。
お薬手帳や問診から、歯科医師は治療に影響があるかどうかを判断し、不明な場合も、患者さんのかかっている病院やクリニックに問い合わせをしています。
 
治療においても、持病のある患者さんには特に「脈拍」「呼吸」「体温」「血圧」「意識レベル」を確認しながら、慎重におこなうことがガイドラインでも定められています。
当日の体調等に不安がある場合は、どうぞ歯科医師・スタッフにお気軽にご相談ください。
「歯並びが急に悪くなる原因と対処法」
年を重ねると、歯の隙間に物が挟まることが増えたり、咬み合わせが悪くなったりするなど、歯並びの変化が気になるようになってきます。
歯並びは人目に付きやすいし、歯間が広くなりすぎれば虫歯や歯周病などのリスクも高まります。
加齢とともに歯並びが悪くなる原因は?
歯並びが悪くなるのは主に「歯周病」「歯科治療の中断」「親知らず」「悪い咬み合わせ・悪習癖」の4つの原因があがります。
■歯周病……歯は歯槽骨という骨によって支えられているので、歯周病の進行によって歯周病菌が歯を支えている骨を溶かしてしまうと、少しずつ歯がぐらつき、歯が動きやすく、歯並びが悪化してしまう。
■歯科治療の中断……歯周病やむし歯が原因で抜歯した後に歯が抜けたスペースを放置しておいたり、歯の治療途中で仮歯などがはずれたままにして、治療を不完全な状態で放置したりした場合も、空いたスペースに隣の歯が傾斜するなど、短期間で周辺の歯並びに大きな影響を与える。
■親知らず……親知らずが完成する時期は10代後半から20代前半とされているが、傾斜してまっすぐに生えてこなかったり、横向きに埋まっていたり、ちゃんと口の中に生えてこないケースも多い。
親知らずが出てくるスペースがない場合などに、奥歯から前のほうに向かって押されて、前歯の歯並びに影響を及ぼす可能性がある。
■悪い咬み合わせ・悪習癖……咬み合わせのバランスが取れていないなど、特定の歯に負担がかかると歯並びに悪影響が出る。
また、歯ぎしりや食いしばり、頬杖やペンを咬んだりするなどの癖が原因で歯がぐらついたり割れたりして、歯並びが悪くなることもあるとのこと。
では、悪い歯並びが体に及ぼす影響は?
■むし歯、歯周病の悪化
歯並びが悪い部分の歯磨きが難しいため、歯を磨いても汚れが取りきれないことが多く、むし歯や歯周病を引き起こす。
咬み合わせが悪いことが原因で唇を閉じにくい人は、口で呼吸をしていることも多く、口の中が乾燥しやすく、唾液が少なくなるためにむし歯や歯周病になりやすくなる。
■咀しゃく機能が悪くなる
上下の歯の咬み合っている部分が少ないため、食べ物を咬み砕く(咀しゃく)効率が悪くなり、胃腸への負担もかかる。
■発音、嚥下機能が悪くなる
特定の音が発音しにくいことがある。また、飲み込み(嚥下)がうまくできず、飲み込むときに舌が上下の歯の間に出てきてしまう場合、さらに咬み合わせに問題が生じることが多い。
■顎関節症
咬み合わせに問題が出てきたり、ぐらぐらしている歯をかばった咬み方をしていると、口が開けづらくなったり、顎の関節に音がしたり、肩や首がこるなどの症状が出てくる。
顎関節症はさまざまな原因が重なりあって生じるが、歯並びもその原因のひとつと考えられる。
歯並び悪化の予防法と治療法
歯並びが悪くならないようにするためには、「歯科医院に定期的に通院して、歯周病やむし歯などの歯科治療をきちんと受ける」「抜いたほうがよいと歯科医師が判断した親知らずは早めに抜歯する」「悪習癖があれば、意識して改善する」などが重要となってくる。
ではもし、すでに歯並びが悪くなってしまった場合の治療法は、どのようなものがあるのだろうか。
歯並びを治す治療として矯正治療がまず思いつくかもしれませんが、矯正治療は極端に言うと、すべての歯に歯周病を起こさせて歯を動かすことなので、もともと歯周病がひどくて歯を支える骨が少ない人には不向きです。
まずは歯周治療をしっかり行い、抜歯が必要な歯は無理に残さないで抜歯し、口の中の状態を整えることが重要です。
必要であれば、入れ歯やかぶせもので歯並びや咬み合わせを整えたり、骨やその他の状態がよければ、インプラント治療などの選択肢もあります。
大人でも歯列矯正で歯並びが改善
まずは、正しく咬めることが重要です。
ちゃんと咬めなければ食事もおいしくないですし、先に述べたような症状も出て、健康に不具合が生じます。
それ以外にも、デコボコの歯並びだったり、咬み合わせが反対だったりすると、しゃべるときに気になって口を押さえたり、思いっきり笑ったりすることができない方がいらっしゃいます。
人によっては気にされない方もいるので、これは個人の考え方次第ですが・・・。
矯正治療によって歯並びや咬み合わせがきれいになり、口元や横顔も美しく整い、さらに心まで明るくなるケースも多いという。
また、歯の矯正だけでは改善が難しく、顎の骨を切る外科的なアプローチが必要な症例もあります。
歯並びが悪いのは、単に見た目の問題だけではなく、健康にも大きな影響を与えると思われます。
最近では、大人でも矯正で美しい歯並びを手に入れることが可能なので、気になる人は専門医を受診してみましょう。

・11月  4日(金)の午後診療は休診いたします。
・11月24日(木)は振替診療を行います。
 よろしくお願いいたします。

「口内炎が治らなかったら・・・」
誰もが経験したことがある口内炎。
多くは自然に治りますが、まれに感染症や全身の病気と関係するものやがんの初期症状であることもあります。
注意が必要な口内炎には、どんな特徴があるのでしょうか。
 
口の中に発生するできもので、圧倒的に多い口内炎。
口の中の粘膜に起きる炎症すべてを指しており、原因はさまざまです。
 
一般的な口内炎は、「アフタ性口内炎」と呼ばれ、頬や唇の内側、舌、歯肉などの粘膜に、白く丸い潰瘍ができます。
原因は不明なことが多いですが、噛んだり、硬いものを食べたりして口の中に傷ができ、それに対するからだの過剰な反応として炎症が起きることが一因と考えられています。
一般的には、放置しても1週間程度で自然に治りますが、疲れやストレスなどによって免疫力が落ちていると、潰瘍の数が増えたり、治りにくくなったりすることもあります。全身の病気が原因で口内炎が出ることも。
 
問題となるのが、感染症や全身の病気、アレルギーが原因となる口内炎です。
感染症の代表が「口腔カンジダ症」で、カンジダ菌という真菌(カビ)によって起こります。
カンジダ菌は口の中の常在菌の一つですが、体力が低下している人や高齢者、唾液量が減少している人はカンジダ菌が異常に増殖することがあり、発症します。
 
症状としては、粘膜が点状や線状に白くなったり、赤くなったりするほか、痛みや味覚障害が出ることもあり、症状は七変化です。
見た目だけでは診断が難しく、細菌検査をして診断します。また、単純ヘルペスウイルスの感染によっても、口内炎ができます。
多くの場合、子どものころに感染し、症状がないまま抗体をつくります。
大人になって体力が落ちているときなどに、潜伏していたウイルスが活性化して症状が出るのです。
 
一方、大人になって初めて感染することもあり、その場合は口の中全体に口内炎が出るなど、症状が強いです。
発熱する場合も少なくないです。
口の中や手足などに水疱性の発疹が出る「手足口病」も感染症によってできる口内炎の一つです。
子どもが中心の感染症ですが、大人になって発症する場合もあります。
 
全身の病気が原因で口の中に症状が出ることもあります。
その一つがクローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患(腸に慢性的な炎症が起きる病気)です。
口の中から腸まではつながっているので、腸管の病気が口の中に出てきても、不思議はありません。
口内炎がなかなか治らず、検査をしても原因不明で、しばらくしてから下痢が止まらなくなり、クローン病が発覚したというケースもあります。
 
繰り返し口内炎ができる場合、慢性の炎症性疾患の一つである「ベーチェット病」も疑われます。
皮膚や外陰部、目にも症状が出ますが、特に口内炎は頻度が高いです。
そのほか、アレルギーや抗がん剤の副作用、入れ歯が舌や頬の内側に当たり続けることによる口内炎もあります。
 
■硬いしこりに触れたらがんに注意
最も注意しなければならない口の中の病気が、がんによるものです。
がんの初期は、粘膜が赤くなったり白くなったりすることもありますが、アフタ性口内炎のような口内炎ができることもあります。
一般的な口内炎とは、どのように違うのか・・・。
2週間以上経っても治らず、さらに悪化していくようなら、注意が必要です。
自分でチェックする方法としては、目を閉じて口内炎の部分を指で触れるのがおすすめです。硬いしこりに触れる場合は、腫瘍を疑って早めに医療機関を受診したほうがいいでしょう。
 
粘膜のただれ、出血、痛みといった症状が出たり、かむ、のみ込む、話すといった機能に支障が出たりしたときには、がんは進行している可能性が高いです。
実際には口内炎ができても、がんではないことがほとんどです。
このため、口内炎だけでは受診につながりにくく、自分でがんを疑って受診するケースは生活に支障が出るほど症状が重く、進行している傾向があります。
耳鼻科や歯科医院で異変が見つかり、紹介されてくるケースでは、早期に見つかることもあります。
専門的な医療機関では、最終的に組織や細胞を採取し、がんの有無を確定する。
 
治療は、がんとその周囲を切除する手術が基本となる。
ほかの多くのがんと同様、早期で手術できれば治りやすく、切除範囲も小さくてすむので、機能や見た目への影響が少ないです。
口にできるがんは口腔がんと呼ばれ、できた部位によって舌がん、口腔底がん、頬粘膜がん、下歯肉がん、上歯肉がん、硬口蓋がん、口唇がんに分類されます。
いずれの場所もほとんどが粘膜組織から発生する「扁平上皮がん」です。
 
なかでも多いのが舌がんで、口腔がんの5割以上を占めます。
舌の側面にできることが多く、上部分にできることはほとんどないです。
口腔がんは、高齢化に伴って、増加傾向にあります。発症のリスクとなるのが、習慣的な喫煙や大量の飲酒、むし歯や合わない入れ歯などによる慢性的な刺激、口腔内の不衛生などです。
食習慣の影響で、若い世代ほどあごが小さい傾向があります。
歯が過密状態になって内側に倒れると、舌に当たり続けることがあります。
その部分が慢性的な炎症となり、がんのリスクとなるのです。
 
また、むし歯を放置すると、削れた部分の歯が尖って舌を刺激するため、同様のリスクがあります。
歯並びが悪い人、むし歯がある人は特に、がんの予防という観点からも歯科医院でのチェックが必要だお考えられています。

・10月13日(木)振替診療を行います。

「手術前に歯科治療」 
~きれいな口腔は退院早める~
「手術が決まったので歯科治療をしてくるよう外科の先生に言われた」このような理由で来院される方が何人もいます。
全身麻酔下で外科手術を行うとき、気管挿管する際に歯周病やむし歯があると、歯垢(しこう)の中にいる細菌がチューブを通して肺に入り、肺炎を起こしやすくなります。
また、ぐらぐらな歯があると抜けてしまう可能性があります。
 
手術後の合併症として生じる恐れのある誤嚥(ごえん)性肺炎や菌血症(放射線治療などで発症する)では、口の中の細菌が悪さをすることがあります。
口腔(こうくう)内の管理をきちんと行ってもらってから手術を行うと、そうでない方に比べ入院日数が減るといわれており、その効果は高いと思われます。
 
心筋梗塞をはじめとする循環器系の手術のほか、胃がんや食道がんといった消化器系の手術、高齢者に多い大腿(だいたい)部骨折の手術などでも、入院日数が減るというデータがあります。
 
お口の中には700種類以上の微生物が住んでいます。
普段は悪さをする菌は少ないですが、食生活の変化、加齢、糖尿病などの全身疾患により病気を引きおこす菌が増えてしまうとされています。
 
気管内挿管の際には、チューブがお口の中を通ります。
チューブを介して悪さをする菌を肺へ運んでしまうことがあります。
それで起こるのが肺炎です。
細菌の混じった唾液が肺の方へ入ってしまって起こる肺炎もあり、口腔内環境に影響される肺炎は見逃せません。
 
また、歯の磨き残しがあると歯周病や虫歯となってしまうことがあります。
歯周病で歯茎が腫れていたり、虫歯で歯の根元がむき出しになっていると、ブラッシング時に歯茎が傷ついた時に血管内にお口の中の菌が入り菌血症になると言われています。
それらの菌が心臓の中の血のよどみや人工弁につくと感染性心内膜炎を引き起こします。
人工関節置換術を受けた患者さんでは血管のない人工関節に菌がついてしまい人工関節炎になることもあります。
同じように抜歯時にはお口の中の菌が血管から血液中に入ることがあるため、整形外科領域では術後合併症を予防する目的で、「手術の前に悪い動揺歯や歯周病治療を行っておくこと」としている施設もあります。
ひどい歯周病や虫歯があったら、術後の人工関節の感染を防ぐために手術を延期せざるを得ない場合もあるので注意が必要です。
 
どのような手術であっても、心配は尽きないと思います。
手術は無事に終わったけれども肺炎を起こしてしまったり、歯が抜けたから入れ歯が合わなくなってご飯が食べづらいなどといったトラブルにならないようにしましょう。
安全に手術を受け日常生活に戻るために、手術を受ける際にはお口の中をいま一度ご確認していただきたいと思います。
歯がグラグラしている方、歯茎が下がって血うみが出る方、乾燥・口臭がある方、化学療法・放射線療法を予定されている方、人工弁置換術・人工関節置換術を受ける予定の方はかなりリスクが高いと言えます。
そのため、大きな手術の前に口の中の管理を勧める医療機関が増えてきています。
しかし、歯科治療は根の治療をはじめ、歯周病の治療など1回では終わらないケースが多いのです。
突然の手術になった場合にも対応できるように、歯科医院で定期検診を受け、管理してもらうことが大切です。
「パルスオキシメーター」 
新型コロナウイルス感染症の重症化の目安となる血液中の酸素飽和度を測定できる「パルスオキシメーター」が注目を浴びている。
 
「パルスオキシメーター」という医療機器をご存じだろうか。
ネットニュースやネット通販、書籍では下記のように“別名”で呼ばれることがある。
・サチュレーションモニター
・経皮的酸素飽和度計
・血中酸素測定器
・SpO2(エスピーオーツー)測定器
用語が入り乱れているが、これらはすべてパルスオキシメーターのことです。
 
新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)関連のニュースでは、「酸素飽和度90」といった表現がしばしば登場しますが、この「酸素飽和度」の意味を正しく理解している人は少ないのではないか。
 
血液中には、酸素を体中に運搬するヘモグロビンという色素があります。
酸素飽和度とは「ヘモグロビンの何%が酸素と結合しているか」を示す指標です。
医学書などでは「SpO2(エスピーオーツー:パルスオキシメーターで測定した場合の酸素飽和度)」と記されることも多いです。
健康成人の正常値は96~100%ですが、喫煙者・高齢者・肥満者などは約2~5%低下していることが多いです。
そして90%以下となると「低酸素血症(ハイポキシア)」と呼ばれて、酸素投与などの治療対象となることが多いのです。
 
酸素を結合したヘモグロビン(酸化ヘモグロビン)は鮮やかな紅色であり、酸素を結合しないヘモグロビン(還元ヘモグロビン)は暗赤色となります。
低酸素血症となった患者が「顔色が悪い」のは、暗赤色の還元ヘモグロビンが増えるために唇や頬などがくすんだ色調になるからです。
このヘモグロビンの「酸素の有無で色調が変化する」性質を利用して、光を透過させることによって酸素飽和度をリアルタイムに測定できる機器がパルスオキシメーターです。
 
従来は、わざわざ動脈から採血しないと測定できなかった(この場合はSaO2表記される)データが、簡便に得られるようになり、酸素飽和度は「血圧・脈拍・体温・呼吸数に次ぐ第5の生体サイン」とも言われています。
ちなみに、このパルスオキシメーターは1974年に日本の医療機器メーカーである日本光電(本社:東京都新宿区)によって発明されました。
開発者である青柳卓雄氏はコロナ第1波渦中の2020年4月に亡くなり、ワシントンポスト紙などで世界に報じられました。
 
何らかの体調の変化を感じた場合、微熱であっても酸素飽和度をマメに測定し、「90%未満」あるいは「ベースラインよりも5%以上低下」がみられる場合には、「かかりつけ医師」「発熱外来」「保健所」などに電話して「受診すべき病院」などの指示を仰ぐことを強くお勧めしたい。
当院受付に用意しておりますので、気になる方はお気軽に声をかけて下さい!
「歯ブラシの保管方法は?」 
皆さんは、毎日歯を磨き終わった後、どのように歯ブラシを保管していますか?
特に意識していないという方も多いでしょう。
 
しかし、間違った方法で保管していると、菌が増殖し、知らず知らずのうちに口内に菌を運んでしまう危険性があります。
今回は、ぜひ実践していただきたい保管方法を紹介します。
 
・きちんと乾燥させる
歯ブラシを保管するときは、きちんと乾燥させることが大切です。
 
人によっては、毛先の水気を指でサッと取り除いたり、濡れた状態のまま立てて保管したりする場合もありますが、こちらはおすすめできません。
 
濡れたままの歯ブラシは、すぐに雑菌が増殖してしまいます。
正しく保管するなら、まず歯を磨き終わった後、新しいタオルやキッチンペーパーなどで、毛先の水気をしっかり吸収しましょう。
 
もし、時間に余裕があるならドライヤーを毛先に当て、指で触れたとき、一切水が付かないぐらいまで乾燥させるべきです。
 
・毛先が触れ合わないように注意
家族で生活する世帯では、同じコップや隣り合った歯ブラシ立てに、複数本まとめて保管しているということもあるでしょう。
 
しかし、この保管方法では、毛先が触れ合って雑菌が移動する危険性があります。
 
つまり、家族で歯ブラシを使い回しているのと、あまり変わらない状態になってしまうということです。
 
よって、複数本の歯ブラシを保管する場合は、必ず別々のコップ、歯ブラシ立てを使用し、触れ合わないように間隔を空けておきましょう。
 
・他のやってはいけない保管方法
歯ブラシを保管する際は、必ず毛先を上にしなければいけません。
 
コップや歯ブラシ立ての上にヘッドが来るようにしないと、なかなか乾燥しないからです。
もちろん、下向きに保管したとき、コップや歯ブラシ立てが濡れていると、しっかり毛先を乾かしても意味がありません。
 
その他、浴室内にある洗面所や、洗面台の中で保管するのも、控えた方が良いでしょう。
浴室内では、なかなか歯ブラシは乾きませんし、カビが生えてしまう可能性も高いです。
 
そして、洗面台の中に歯ブラシスタンドが備え付けられているケースもありますが、完全に閉め切って保管するタイプのスタンドは、通気性が悪いためおすすめできません。
「コロナ禍で急増中!歯ぎしり」 
新型コロナウイルスの感染はいまだに続いています。
まだまだ不自由な生活を強いられることになります。
ストレスがたまりがちな環境で注意しなければならないのが「歯ぎしり」です。
 
深刻な歯ぎしりに悩んで歯や顎に痛みを訴え、『ナイトガード』と呼ばれる睡眠時用のマウスピースを作りたいと希望する患者さんが明らかに増えています。
コロナ以前は1カ月に1人いるかいないかでしたが、最近は月に5~6人ほど来院されることもあります。
 
歯ぎしりには3つのタイプがあります。
①上下の歯をすり合わせる「グラインディング」
②上下の歯を強く食いしばる「クレンチング」
③上下の歯をぶつけ合う「タッピング」で、いずれも無意識に行っています。
就寝中に起こるケースがほとんどですが、音が出ないクレンチングは日中でも知らず知らずのうちに繰り返している人も多いです。
 
歯ぎしりは、ギリギリ、カチカチといった音で周囲に不快感を与えるだけでなく、体にさまざまな悪影響を及ぼします。
歯が摩耗して痛みを起こしたり、歯周病の原因になったり、歯の詰め物が取れてしまったり、歯が欠けるケースもあります。
顎の痛みや顎関節症、頭痛や肩凝りの原因にもなります。
 
歯ぎしりの最大の原因はストレスで、ストレスが高まる時期には歯ぎしりが頻繁になり、食いしばる力も強くなることがわかっています。
「ストレスがかかると解消するために歯ぎしりをする」との報告もあります。
マウスピースの製作を希望される患者さんが増えたのは、やはりコロナの影響が大きいと思われます。
 
感染に対する不安はもちろん、外出自粛やテレワークが続くなど、生活環境が一変したことでストレスをため込む人が増えたのでしょう。
自宅にいる時間が増えたことで、歯を強く食いしばりながらテレビ、パソコン、スマホの画面を凝視する時間も長くなり、症状が表れた人もいます。
米国の歯科クリニックでも、「歯が欠けたと訴えてクリニックを訪れる患者の数が増えている」「歯をこすり合わせたり噛みしめるなどの症状が、これまでにないほど広く見受けられる」といった報告があるようです。
やはり、コロナ禍のストレスが影響していると考えられています。
 
歯ぎしりを改善するにはストレスを解消したり、生活習慣を見直すことが必要になります。
ただ、気づかないうちにストレスが蓄積している人も多く、日常生活で根本的な原因を取り除くのはなかなか難しいだろう。
となると、どんな治療があるのか。
 
歯ぎしりの治療はマウスピースを作って就寝時に着用する方法が一般的で、歯の摩耗を防ぐために効果的です。
ただ、ストレスによる歯ぎしりが原因で顎の痛みや顎関節症を発症している場合は、マウスピースを装着すること自体が患者さんにとって大きなストレスになるケースもあります。
ほかに、無毒化したボツリヌス菌を咬筋に注射して筋肉の動きを抑えるボトックスという治療もあります。
まずは歯科医師にしっかり相談してください。
 
また、日中に歯を強く食いしばって(クレンチング)歯や顎に痛みが出ている人は、ちょっとした工夫で症状が改善するケースもある。
自宅や職場のパソコン、デスク周り、テレビ、スマホなど、目につきやすい場所やツールに「食いしばらない」「歯を離す」などと記した付箋紙を貼って、それを目にした時に力を抜いて上下の歯を離すようにする。
もしくは赤い丸などの目立シールを貼り、目についたら咬まないようにする。
これだけで、食いしばりが減って痛みが改善されるケースは少なくないので、まずはこちらを試してみてください。
「高齢者は感染症注意・生えきらない親知らず」 
埋伏智歯(まいふくちし)とは、生えていなかったり、生えきっていない親知らずのことをいいます。
中途半端に生えていると、食べかすなどがたまって感染症を起こしやすくなり、歯を抜かなければならないこともあります。
生えきっていない親知らずについては、存在に気づかない方も多くいます。
症状が全く出ていない場合は感染のリスクが少ないため、放置してもあまり問題がないといわれていました。
 
しかし、高齢化が進んだ昨今、高齢者の親知らずの感染が増えており、リスクの考え方も変わってきました。
高齢で免疫力が低下した状況で感染してしまうと、難治性になり、重症化するケースもあります。
長期間が経過し慢性化すると、知らないうちに広範にわたる骨髄炎に陥っていることもあります。
骨髄炎になると、入院治療が必要になり、抜こうと思っても、全身状態に問題があれば、全身管理下での抜歯が必要となります。
場合によっては、抜くこともできず、慢性炎症に苦しむことにもなりかねません。
高齢になると歯と骨が癒着(こびりついている状態)していることも多く、抜歯の難易度が高くなってしまう場合もしばしばです。
 
親知らずがあることが分かった場合には、症状がなくても放置せず、一度、歯科医院に相談してみましょう。
また、基礎疾患の有無や全身状態・投薬状況によっては抜歯ができない場合もありますのでご相談願います。
「痛み止め」
痛み止めを服用したいな…。
けど、ちょっと待って!
 
腰痛の薬物治療で繁用される消炎鎮痛薬が「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」です。
ロキソプロフェンナトリウム(ロキソニンなど)、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレンなど)、インドメタシンなどは医療用だけでなく、市販薬としても多く出回っています。
 
NSAIDsは、痛みや炎症の発生に関与するプロスタグランジンという物質の産生を抑えることで効果を発揮すると考えられていて、効果が高く即効性があります。
ただ、効果が強力である半面、注意しなければならない点も多くあります。
使用する前に、医師や薬剤師にしっかり確認してください。
 
主な副作用として、胃腸障害が知られています。
多めの水で服用することである程度は防ぐことも可能ですが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などにかかったことがある方、クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患の既往がある方は、慎重な投与が求められます。
 
また、投与によって気管支喘息(ぜんそく)の病態が悪化する場合があります。
NSAIDs過敏症(不耐症)と呼ばれる症状で、プロスタグランジン合成酵素を阻害する作用を持つ薬剤に対して過敏に反応することで起こります。
とりわけ、アスピリンなどの解熱鎮痛薬が原因で喘息発作や鼻症状が生じるアスピリン喘息の既往がある方は、NSAIDsの使用は禁忌となっています。
 
ほかに、意外と知られていないのが腎臓に対する影響です。
NSAIDsを使用していると、腎臓に流れる血液量が低下します。
これもプロスタグランジンの産生を抑えることに起因しています。
気軽に購入できる市販薬を長期にわたって連用する場合、気付かないうちに腎障害が進行してしまう可能性もあるので注意が必要です。
尿量減少や浮腫、倦怠(けんたい)感、食欲不振などが見られた時はすぐに服用を中止して医療機関を受診しましょう。
 
さらに、NSAIDsは他の薬と併用することで不具合が生じるケースもあります。
NSAIDsは血液を固まりにくくする作用にも関わっているので、ワルファリンカリウム、クロピドグレル、アピキサバンなどの抗凝固薬と併用すると、その作用が強く出て、出血しやすくなるおそれもあります。
 
また、抗菌剤(ニューキノロン系といわれる合成抗菌剤)とNSAIDsの併用も避けたほうがいいでしょう。
あまり多くはないのですが、同時に服用すると、けいれんを誘発するケースが報告されています。
高齢で腎機能が低下している方は要注意です。
釧路はCKD(慢性腎臓病)の方が全国平均より多いため特に気を付ける必要があります。
「花粉症と合併」
口腔のアレルギーが花粉症と合併することも・・・
 
昨今、コロナ化の影響もありマスクをつける機会が多く、花粉症の予防にもつながっているとのことですが・・・
花粉症に合併して表れる花粉・食物アレルギー(PFAS)は花粉症患者の一部に発症し、子どもから大人まで年齢層は幅広い「食物によっては、全身症状(アナフィラキシー)を起こすこともあります」とのこと。

 
予防のためにも原因となる花粉と食物の特定を
●口のかゆみや腫れ
PFASが花粉症とつながっていることを知らない人は多く、果物や野菜を生で食べると発症する。
症状は唇や口腔内、喉のかゆみやイガイガ、腫れなど。

 
花粉症と聞くとスギやヒノキを連想しがちですが、他にもカバノキ科(ハンノキ、シラカバ)、イネ科(オオアワガエリ、カモガヤ)やキク科(ブタクサ、ヨモギ)などの花粉症もリスクになようです。
カバノキ科で発症する人は、バラ科(リンゴやモモなど)やマメ科(大豆など)、イネ科とブタクサはウリ科(メロンやスイカなど)、ヨモギはセリ科(セロリやニンジンなど)の食物でアレルギーを起こしやすいことが知られています。
 
原因は、花粉症を起こすタンパク質(抗原)とよく似た構造の抗原が果物や野菜に含まれているためだそうです。
一度発症すると関連する他の食物にも反応しやすくなる。
日本では、カバノキ科花粉のPR―10や、イネ科やブタクサのプロフィリンという抗原によるPFASが多いとのこと。
 
●医療機関で検査を
症状は通常口腔内だけだが、例外もあり、近年、モモのアレルギーから見つかったGRPという抗原は、皮膚症状や呼吸困難に陥るアナフィラキシーを起こしやすく、ヒノキ花粉にも反応することが分かったようです。
 
また、ハンノキ花粉に反応する豆乳アレルギーも、アナフィラキシーを起こしやすく、通常、加熱や胃酸でアレルギーは起こりにくくなりますが、豆乳(大豆)に含まれるGly m4という抗原は加熱しても壊れにくく、重篤な症状を来すことがあるようです。
 
症状が口腔内だけなら、抗ヒスタミン薬の服用で症状は治まるが、豆乳やモモでアナフィラキシーを起こした場合は、アドレナリンの自己注射(エピペン)の処方を受ける必要があるとのこと。

花粉の飛散時期は、PFASも悪化しやすくなります。
予防には、原因となる花粉と食物の特定が大事であり、自己判断せず、医療機関で検査を受けた方が安心できます。
「天然歯の色」
天然の歯は白衣のような白色ではなく、どちらかといえば黄色系白色です。
また、歯全体が一様なモノトーンではありません。
 
歯の色は表層のエナメル質の下層にある象牙質の色を反映しています。
皮膚や毛髪と同様、歯の色に個人差があります。
これは歯の質の違いによるものです。
歯は、最も外側(表面)がエナメル質、その下に象牙質があり、象牙質の中に歯髄(神経)があります。
白色のエナメル質は半透明であり、象牙質は黄色っぽい色をしています。
歯が真っ白でなく黄色みを帯びているのは、象牙質の色が透けているためです。

それは、人種や年齢、歯の種類と部位などに影響されます。
エナメル質の色・透明度・厚さや、象牙質の色は歯によって異なります。
これらの組み合わせによって歯の色が決まりますので、歯の色は人それぞれ異なってきます。

 
歯髄(神経)が死んでしまうと、歯が黒っぽく(暗く)なってしまいます。
大きなむし歯や歯の打撲により歯髄が死んでしまうと、歯は徐々に変色してきます。
むし歯の治療で神経を取った場合にも、同様に歯の変色が生じます。
 
神経のない歯を失活歯(しっかつし)と呼びますが、失活歯ではホワイトニングの効果が出にくい場合があります。
効果が十分でない場合は、セラミックまたはプラスチックのクラウンを被せることにより白くすることができます。
 
飲食物に含まれる成分が歯の表面に付着し、歯が黄ばんでしまうことがあります。
赤ワインやコーヒー、お茶などの食品に含まれる色素は、歯の表面に付着して着色の原因となります。

着色による歯の変色は、歯のクリーニングにより除去し、歯を元の白さに戻すことが可能です(歯の内側から変色している場合には、クリーニングでは白くできません)。
 
歯科治療では世界共通のヒト歯の色見本(シェードガイド)を参考にしていますが、有色人種は白色人種より黄色みが強いようです。
若者と高齢者では後者の方が明るさが暗く、黄色みは強いです。
従って、同一個体でも加齢とともに変化します。

 
前歯と奥歯では歯の形や厚みの違いで、同一の歯でも先端と歯肉寄りでは異なります。
例えば、前歯の先端部はノミの刃のように薄いため透明感があります。
そのため口腔(こうくう)内の暗さが透過して、黒いと感じるかもしれません。
一方、歯肉に近い部分は歯が厚いため黄色みが強くなります。
 
古来、美人の条件とされた「澄んだ瞳と白い歯」を意味する明眸皓歯(めいぼうこうし)の"皓"は元々"光"の意味からきており、日の光るさまから白い意味になったといわれています。
従って、色彩的に"白"だけでなく、よく磨かれた"艶"のある清潔な歯というイメージなのです。
清潔な歯を維持するために毎日のブラッシングに加え、歯科医院でのクリーニングをお勧めします。
「あけましておめでとうございます」
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

年末年始はどうしても食べたり飲んだりの時間が多くなりますよね、最近ではこんなことがわかってきているようです。
 
口腔内細菌が虫歯や歯周病の原因であることは知られています。
近年、その口腔内細菌が腸に移行して腸内細菌叢を形成し、さらに特定の口腔内細菌は大腸がん発症と進行にも関与しているのが大腸がん患者と健常者の唾液と便から採取した細菌の遺伝子配列分析で証明されました。
 
母親のお腹にいる胎児の口の中には、ほとんど細菌はおらず、分娩や授乳で子供の口に口腔内細菌が棲みついています。
以降も離乳食や大人との接触などにより、生後6か月目ごろには口腔内細菌が劇的に変化し、増加します。
その細菌は驚くほど両親のものに酷似していることが知られています。
 
細菌は300~700種といわれ、その数はよく歯を磨く人で1000~2000億個、あまり歯を磨かない人では4000~6000億個と推計されています。
その口腔内細菌の一部が虫歯や歯周病の原因となるのですが、それ以外に全身の疾病にも、影響している可能性が出てきました。

以前から、口腔内細菌が腸に移行して腸内細菌になるのでは、という考えはありました。
20年程前より、細菌の遺伝子解析が進歩し、遺伝子配列の比較も可能となったので、口腔内細菌と腸内細菌の遺伝子配列を比較したところ、口腔と腸内に同じ遺伝子配列を持つ細菌を発見。
その結果、世界で初めて口腔から大腸に細菌が供給されていることを証明できたのです。

 
細菌の遺伝子配列の比較が行われ、大腸がん患者と健常者から唾液と便を採取し、細菌の遺伝子の比較分析を試みた結果、大腸がん患者の唾液と便に共通して存在する特異的な口腔常在菌を4種発見できました。
さらに、これらの口腔内細菌が腸に移行して大腸がん(直腸・結腸がん)の発生や進行に関わる可能性があることもわかった。
この4種の細菌(S.koreensis、S.anginosus、S.moorei、P.stomatis)は大腸がん患者の唾液と便の両方に大量に存在。
これらは口腔に常在する細菌であるにもかかわらず、便にも高い量で存在しており、まずは口腔から移行した可能性が示唆され、中でもS.mooreiは早期患者に比べ、進行大腸がん患者に多量に存在していたため、がんの発症だけではなく、進行にも関与している可能性がある、と判明したとのこと。

 
見つかった4種の口腔内細菌は直接、大腸がんを発生させたり、進展させるのではなく、発がんさせる腸内細菌叢を作り出す働きをしている、と考えています。
悪玉菌が活動するためには周囲に複数の特定の菌が必要で、細菌叢のバランスが崩れることにより、悪さを始めます。
予防のためにも、大腸がんと関連する細菌を腸に定着させないよう日常の口腔ケアと定期的に歯科で管理してもらうことが大切です。
 
今後は口腔内細菌叢解析による大腸がん診断法の確立を急ぐ。
簡易な唾液のPCR検査で、大腸がんの早期発見が可能になる日も近いだろう。

「口腔内メンテナンス」
そろそろ大掃除の季節が近づいてきました。
近年は新型コロナウイルスの影響で室内で過ごす時間が長くなり、暑い日が続いた今年はエアコンが活躍したと思います。
季節も秋らしくなり、冬に向けてエアコン・ストーブなどの清掃、メンテナンスが必要となってきました。
こうした器具はまず、フィルターにたまった一夏分のごみをきれいに除去することで安定した性能を発揮できます。
清掃をせずに使い続けると、いつのまにか器具の負担となり故障の原因になります。
 
実はこうした器具のメンテナンスの考え方は、人にも当てはまります。
人間の口はまさにフィルターと同じと考えられます。
人間は栄養や水分、空気といった生きるために必要なものを口腔(こうくう)というフィルターを通じて体内へと取り込んでいます。
口の中の状況が悪い場合、むし歯や歯垢(しこう)、歯石、口臭、むし歯による膿(うみ)などの汚物に触れた状態の汚染された養分を胃の中へと送り込んでいることになります。
 
人間の身体は食事で構成されているともいわれています。
何を食べたかによって、その人の健康が決定されます。
その大事な食事を汚れた口腔内フィルターを通過させてしまっては、非常にもったいないと思います。
フィルターを掃除しないエアコンや暖房機器は故障が絶えません。
人間のフィルターでもある口腔内をメンテナンスしない人に「健康な人」はいないのです。
健康の入り口である「お口」はきれいに保ちましょう!

「血液サラサラの薬飲んでいるのですが大丈夫でしょうか?」
こういった質問を患者さんからよく受けます。
これをお読みの方々も高齢化が進行する中、脳梗塞や心筋梗塞に代表される血栓性疾患が増えており、抗血小板薬(バイアスピリンなど)や抗凝固薬(ワーファリン)やシロスタゾールなどを内服されている方もいらっしゃると思います。
出血したら止血が難しい、あるいはできないことを心配されているようですが、むしろ「歯肉から血が出るので歯磨きは軽くしています」という方のほうが大きな問題です。
 
歯肉の出血は大抵、歯周病で歯肉が腫れ、その腫れた部分を刺激することで引き起こされます。
歯周病の歯肉は赤黒く腫れ、少し触れただけで容易に出血します。
こうなると出血を恐れて歯磨きはおっかなびっくりとなり、歯の表面に汚れが停滞し、歯肉の腫れはいつまでたっても収まらず、歯を磨くたびに出血が続くという悪循環に陥ります。
 
この悪循環を断ち切るには歯科医院に通い、歯周病をコントロールすることが大切です。
正しい歯ブラシの方法を習熟し、歯肉の腫れの原因である歯の汚れを歯科医院で取り除きます。
そうすることで歯周病をコントロールでき、赤黒い歯肉が健康的な薄いピンクに改善し、簡単に出血することはなくなります。
 
このような患者さんの抜歯を行うこともよくありますが、どのように対処すればよいのでしょうか?
薬を止めでから抜歯する?
それともそのまま飲んだままで抜歯する?
どちらがよいのでしょうか?
 
現在、学会の抗凝固・抗血小板療法ガイドラインでは「抜歯時には抗血栓薬継続が望ましい」と明記されています。
なので基本的には、飲んだままで抜歯することがよいでしょう。
 
なぜ薬を止めて抜歯するという風潮が残っているのか?
昔は、抜歯のときには必ず薬を止めるように言われていたからです。
そのため、現在でもその名残があります。
内視鏡検査のときは薬を止めたりすることもあるので、そのせいかとも思われます。
 
基本的には抜歯はきちんと止血すれば、血をサラサラの薬を飲んでいても大丈夫です。
きちん内科の先生と相談の上抜きますので、ご安心ください。
 
もちろん歯肉の出血が収まらないことで白血病などの血液疾患が見つかることもありますから油断は禁物です。
口腔(こうくう)内に異常があるときには歯科医院でご相談ください。

「唇の裏のこりこりについて」
唾液は主に耳下腺や顎下腺、舌下腺など大きな唾液腺で作られ、口を潤したり咀嚼や嚥下、消化を助けたりしています。
 
実は唾液腺は大きなものだけでなく、米粒ほどの小さなものが口の粘膜に無数にあります。
皮膚に汗腺があるように小さな唾液腺が粘膜を潤していると考えるとイメージしやすいでしょう。
 
粘液嚢胞はこの小さな唾液腺の出口が詰まる病気で、出口を失った唾液が水疱となり嚢胞(袋の病気)を作ります。
唾液にはサラサラした漿液とネバネバした粘液があり、小さな唾液腺の多くは粘液成分が優勢なため「粘液」嚢胞と呼ばれています。
 
誘因の一つに歯の刺激があり、傷ついた粘膜が治るときに出口をふさぐと考えられています。
そのため歯で傷をつけやすい下唇によくみられます。
水疱が破れると一時的に小さくなりますが、破れた傷が癒えるとまた膨らんでしまいます。
原因となる小さな唾液腺が機能しているうちは再発を繰り返します。
 
治療は原因の小唾液腺と水疱を取り除く「粘液嚢胞摘出術」が基本とされています。
多くは部分麻酔による15分ほどの手術で、傷もあまり目立ちません。
背景にほかの病気が潜んでいないか調べるため、取った組織を顕微鏡で検査することもあります。
再発する口の水疱にお悩みでしたらご相談ください。

「子供の歯ぎしりが発生する眠りの仕組み」
眠っている子どもの歯ぎしりが睡眠周期に合わせて繰り返し増減することがわかった。
夜間睡眠中に歯ぎしりをする睡眠関連疾患は睡眠時ブラキシズムと呼ばれ、子どもでは約20%に発生する。
ひどい歯ぎしりによって、乳歯が大きく擦り減ったり、顎に痛みが生じたりすることがあるがメカニズムは不明だ。
 
解明には睡眠や発達に問題がない子どもの協力を得て、睡眠中の脳や心臓、呼吸、顎の筋肉の活動を記録しなければならず、生体信号データを分析する専門技術も必要なため、世界的に研究が進んでいない。
 
今回、6~15歳の子どもに睡眠検査を実施した結果、44人中15人(27.3%)の子どもに歯ぎしりを認めた。
一晩の睡眠の深さや自律神経系活動の変化を数値化したところ、歯ぎしりをする子どもでは、各睡眠周期の後半でレム睡眠へと移行する浅いノンレム睡眠で、最も頻繁に歯ぎしりが発生していた。
 
また、体動(寝返り)の数や脳の覚醒の指標である脳波(β波)の活動は、歯ぎしりをする子どもの方が高い値を示し、約90%の歯ぎしりが短い覚醒や体動とともに発生していた。
以上より、健康な子どもの歯ぎしりは、睡眠周期に伴う脳内活動の変化に対して、歯ぎしりをする顎の神経機構が過剰に反応して生じる可能性が明らかとなった。
 
今回、子どもの歯ぎしりの発生には、睡眠周期にともなう脳機能の変化が伴っていることが分かった。
これにより、診断方法や治療法に向けた新たな研究への発展が期待できるとしている。
 
では、削れてしまった乳歯はどうする?
乳歯は永久歯に比べてやわらかく、歯ぎしりによって削れてしまうこともよくあります。
前歯の先端をよくみると以前は丸みを帯びていた形が平らになってしまっているのは歯ぎしりによって歯が削れてしまっているからです。
そんなに削れてしまっていたら、冷たいものを口に入れたときにしみてしまいそうですが、痛みを訴えることは多くありません。
ですので削れてしまった歯はそのまま経過観察することがほとんどです。
もし痛みがある場合はプラスチックの詰め物をしたり、コーティング剤を塗ったり、歯が削れないようにマウスピースを使用することもありますので一度かかりつけの歯医者さんに診てもらうのがいいでしょう。
 
歯ぎしりは大人だけがするものだと思っていた方は、子どもが歯ぎしりをするのを見てすごく驚かれるそうです。
まずは大人も子どもも、規則正しい生活で睡眠をしっかり確保しましょう。
ちなみに夜食が習慣化している子どもにも歯ぎしりが多いと言われています。
夜中に一生懸命に勉強することも、ほどほどにしないといけないのかもしれません。

「糖尿病と歯周病」
2型糖尿病では、血糖コントロールが良くないと歯周病が悪化することがはっきりと分かっています。
また、糖尿病患者は非糖尿病患者に比べて、歯周病発症率が2.6倍高いとのこと。
2型糖尿病患者が重症の歯周病を発症している率は、HbA1c9.0%以上で2.9倍、9.0%未満で1.56倍。
ちなみにHbA1cの基準値は、日本糖尿病学会の糖尿病治療ガイドラインでは4.6~6.2%です。
 
ほかにも糖尿病と歯周病の関係を表した研究があり、米国男性を対象にした20年間の大規模コホート研究では、2型糖尿病は歯周病の発症率を29%、1年当たりの歯の喪失率を9%上昇させるとの結果です。
ドイツのコホート研究でも、HbA1cが7.0以上の糖尿病患者は、歯周病の進行や歯の喪失のリスクが有意に高くなると報告されています。
日本では、HbA1c6.5%以上の2型糖尿病患者は健常者より歯周組織破壊の相対リスクが1.17倍高まるという研究発表があります。
 
一方、1型糖尿病では、「血糖コントロールが不良であった群は良好であった群に比べて歯周病が進行する」、また「歯周病治療後の歯周病発症率が高い」との報告があります。
しかしながら、1型糖尿病と歯周病との関連について適切なエビデンスがないという最近の系統的レビューもあり、今後の検討が待たれます。
系統的レビューとは、質の高い研究データから、データの偏りになるものを限りなく取り除き、分析したものを指します。
 
なぜ、糖尿病が歯周病を悪化させるのか? 
それには主に3つの理由が挙げられます。
1つめは、高血糖で脱水傾向になり、口の中が乾燥して唾液による自浄作用が低下すること。
2つめは、高血糖で細菌に対する抵抗力が弱まること。
3つめは、血中の過剰なブドウ糖がタンパク質と結び付いてAGEs(最終糖化産物)という物質を作り出し、これが歯周組織の性質を機能的に変化させること。
 
■認知症にもなりやすい
歯周病もまた、さまざまな病気のリスクを上げることが知られています。
歯がぐらぐらしたり歯の数が減れば食べられるものが限られてきます。
すると十分な栄養が取れなくなります。
硬いものが食べづらく、加熱しないと食べられないとなれば、熱に弱いビタミン類の摂取量が減ります。
栄養不足は体全体の働きを低下させ、病気への抵抗力を弱めます。
食事量が減ると、衰弱や虚弱を表す「フレイル」にも陥りやすくなります。
 
また、歯周病の炎症が続くと、歯周病菌や歯周病菌の出す毒素が血液中に入り込み、血管内で炎症を起こし、血栓(血の塊)を生じさせます。
血栓は動脈硬化を促進し、狭心症や心筋梗塞、脳卒中のリスクを高めます。
 
最近は、認知症のリスク因子にも歯周病は数えられています。
歯周病菌や歯周病菌の毒素は脳の血管にも影響を及ぼしますし、歯周病で噛む回数が減れば、それだけ脳への刺激も少なくなります。
糖尿病も認知症のリスク因子ですので、ダブルで認知症を起こしやすくなります。
 
本来は、糖尿病と歯科が連携で治療を行えればいいのですが、そういったシステムが整っている医療機関は多くはありません。
口腔ケアは、ブラッシングを主とした自分で行うセルフケアと、歯石除去など歯科医院で行うプロフェッショナルケアの両輪で行わなければ、十分な結果は得られない。
糖尿病の主治医でも、重要とわかっていても歯科受診の勧めはおろそかになりがちです。
「歯科医院に行くのが面倒」「あのキーンとした音が苦手」といった人は多いかと思いますが、人生100年時代を健康的に、楽しく生きるために、歯のメンテナンスは外せません。
何年も歯科医院に行っていないという人は、この記事を読んだらすぐに歯科医院の予約を取ってほしいと思います。
 
1型糖尿病
1型糖尿病は、膵臓のインスリンを出す細胞(β細胞)が、壊されてしまう病気です。
β細胞からインスリンがほとんど出なくなることが多く、1型糖尿病と診断されたら、治療にインスリン製剤を使います。
世界的には糖尿病全体の約5%が1型糖尿病と言われています。
若い方を中心に幅広い年齢で発症し、生活習慣が関わる2型糖尿病とは、原因、治療が大きく異なります。
 
2型糖尿病
特に高脂肪食などの過食や運動不足といった生活習慣の乱れにより、肝臓や筋肉に脂肪が蓄積するためにインスリンの働きが低下し、ブドウ糖の利用が高まらず、血液中にブドウ糖がだぶつくことにより血糖値が上昇し、発症します。

「認知症と口腔ケアについて」
口から食事をしなければ口の中は汚れないと思われがちですが、実はまったく逆で、口からまったく食べられなくなると、細菌数が増加するといいます。
 
認知機能が低いほど死亡率が高いことが報告されており、認知症そのもので死亡するのではなく、認知機能の低下が様々な病気の発症や悪化につながりやすいと考えられます。
実際、認知症の患者さんは身体的な不具合を適切に表現できず、理解力の低下から、適切な検査や治療を受けるチャンスも逸することがあり、その結果、慢性疾患や生活習慣病が進行することがあります。
誤嚥(ごえん)性肺炎、心疾患、転倒による骨折や外傷などのリスクが高まり、さらに食事摂取量の低下により低栄養状態に陥りやすいのです。
 
このように、二次的に生じる身体症状の悪化が死亡原因につながりますが、もっとも代表的な死亡原因は誤嚥性肺炎です。
知らず知らずのうちに唾液(細菌)が肺に入り込み引き起こす肺炎です。
肺炎の発症率は増加し続けており、現在日本人の死亡原因の第3位になりました。
高齢者の肺炎の多くが誤嚥性肺炎です。
 
■虫歯、歯周病、誤嚥性肺炎…口の中の細菌こそが、大敵
口の中は37度ほどに保たれ、唾液によって潤い、食べかすが停滞しやすいことから、細菌(常在菌)がとても繁殖しやすい環境です。
歯垢(しこう)(デンタルプラーク)の70~80%は細菌、20~30%が多糖体と唾液中のタンパクで構成されており、歯垢1ミリグラム中に数億もの細菌がいます。
全身の中でも、口腔内の細菌数は非常に多く、便と同じくらいのレベルといわれています。
 
虫歯は、糖分によって増殖した細菌(デンタルプラーク)が産生する酸が歯を溶かすことで起こります。
一方、歯周病は細菌が歯周ポケットで増殖して炎症を起こし、歯を支える骨を溶かすことで歯がぐらぐらになります。
つまり、虫歯も歯周病も細菌感染症で、重度になると細菌が血液を通して全身に悪影響を及ぼすことがあります。
例えば、心臓病や糖尿病、低体重児出産、誤嚥性肺炎などが関連することが報告されています。
だからこそ、全身の健康のためには口腔ケアが大切です。
 
口腔内細菌のもう一つの特徴として、細菌が歯の表面に堆積し続けるとバイオフィルムという強固な膜を作ることがあります。
問題は、バイオフィルムはうがいや薬だけでは除去するのが難しいという点です。
バイオフィルムを除去するためには、物理的な歯と口の清掃、つまり歯磨きや口腔ケアが不可欠です。
 
口腔ケアは、虫歯や歯周病などを予防するのみならず、飲み込む機能や認知機能などを高めることも知られていますが、さらに誤嚥性肺炎の発症を抑えるなど、全身の病気の予防に関わることがわかってきました。
認知症患者さんの死亡リスクを減らし、食べることを継続し、その人らしい生活を送るためにも口腔ケアは大切です。
 
■「かかりつけ歯科医」の重要性
認知症の予防や進行の抑制、そして認知症になっても健康を維持するという意味で注目されているのが「かかりつけ歯科医」の存在です。
「かかりつけ歯科医がいない」という人は、「いる」という人に比べて1.4倍も認知症になるリスクが高いことがわかっています。
 
また、咀嚼(そしゃく)(噛むこと)は脳に刺激を与え、脳の血流を増加させることがわかっています。
したがって、いろいろな食べものをしっかり噛めて、おいしく食事できることは、認知症の発症や進行を遅らせる効果が期待できます。
痛みがなくても定期的に「かかりつけ歯科医」に通って、歯を長持ちさせるための歯周病治療を受け、歯がなくても「噛める入れ歯」を作ってもらうことが大切です。
 
■認知症になっても、口から食べ続けることを大切に
しっかりと口から食べ続けることこそ、認知症の患者さんの生きがいやその人らしさを守り、誤嚥性肺炎のリスクを低減するために重要です。
食べることや咀嚼は認知機能とも大きく関わります。
 
認知症が進んで自分で食べられなくなると、胃ろう(経管栄養)や点滴で栄養を補給することがあります。
口から食事をしなければ口の中は汚れないと思われがちですが、実はまったく逆なのです。
口からまったく食べられなくなると、細菌数が増加し、細菌の種類(細菌叢(さいきんそう))が変化し、肺炎の原因菌が増えてしまうことが最近の研究でわかってきました。
 
一方、口から食べることを継続していれば、口の中の細菌は正常な状態を維持します。
このことから、胃ろうなど経管栄養や点滴で栄養を補給する状態になっても、可能な場合は、少量でもよいので口からの食事と口腔ケアを継続することが大切です。
 
このように、認知症を口から支えるシステム(かかりつけ歯科医と連携した食事と口腔ケアの継続)作りこそが、認知症の患者さんの生活の質の保持と健康長寿のために大切といえましょう。

「最近増えてきている気がします・・・」
「この頃、朝起きるとあごが痛いんです」
「朝起きると、頭、それに時々ですが肩も痛いです。」
顎の痛みは、おそらく“噛み締め”や“歯ぎしり”によるものが多いはずです。
 
夜間、寝ている時は自分の歯の噛み合わせの力をコントロールすることは難しく、必要以上に強く噛み締めてしまうことで、歯に余計な負荷がかかり、歯がすり減ったり、ぐらついたり、酷くなると歯が割れたりすることもあります。
 
そのため、朝になると、強い噛み合わせの力から、顎が疲労して痛みが残り、本人は歯よりも顎や頭、肩の痛さを訴えるのだと考えられます。
自分ではなかなかわかりにくいため、パートナーや家族に「私、歯ぎしりしてない?」などと聞いてみるのもひとつです。
 
また、自分で確かめる場合には、まず奥歯を噛み締めてみてください。
その時、耳の少し下あたりにポコっとした筋肉があることに気づくと思います。
これは咬筋と呼ばれる部分なのですが、そこを人差し指などで円を描くようにマッサージすると痛い、もしくは痛気持ちいいと感じる人は、噛み締める癖がある可能性があります。
噛みしめる癖が続くと咬筋が発達し、フェイスラインを崩すこともあり、美容の面でも気にする人もいます。
 
噛み締める癖は、ストレスの解消とも言われ、改善するのはなかなか難しく、眠る前に上記の咬筋のマッサージ(人差し指や親指でクルクル)をするか、今はボトックス注射などで、噛み締めないように緩ませる方法もあります。
とはいえ、歯が折れるほどであれば、早急に歯を守るための対策が必要になります。
 
一般的には歯科医院でマウスピースを作ってもらうことができます。
まずはかかりつけの歯医者さんに噛み合わせのこと、自分の顎のことを相談し、歯をチェックしてもらいましょう。
眠っている時間のことは自分ではなかなか制御できません。
起きた時の状態で変化があれば、注意しておくといいかもしれないですね。
では、今宵も良い眠りを。


「6月診療時間変更のお知らせ」
・6/10(木)振替診療
・6/11(金)ワクチン接種のため休診
・6/17(木)振替診療
・6/18(金)午前診療:午後ワクチン接種のため休診
・6/19(土)ワクチン接種のため休診
 となります。
 よろしくお願いいたします。

「コロナ禍の口腔トラブル」
今回はコロナ禍で広がる口腔トラブルについてお話ししたいと思います。
 
生活の変化や、マスク着用が歯に与える影響は色々あります。
①間食の増加や受診控えで虫歯悪化
自宅で過ごす時間が長くなり、お菓子を食べたり甘いものを飲んだりする機会が増加しています。
また、感染への不安から歯科受診を控える人もみられ、その結果、虫歯や歯周病が悪化しているケースが増えているといいます。
日本歯科医師会が歯科医療に関する意識調査を実施しました。
コロナ禍での生活変化に関しては、多くの人が運動量の減少、体重や間食の増加を訴えています。
 
②ストレスからくる歯痛
日本口腔保健協会は、コロナ禍のストレスが口の中にも影響を及ぼすと指摘しています。
歯ぎしりやくいしばりなどを助長するとのことです。
 
③マスクが口腔トラブルの原因になる
マスクの着用は、口を動かす機会が減ることに加え、口呼吸が増えることも指摘され、唾液の分泌量が減る傾向にあります。
口内細菌が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
口臭の原因になることもあるそうです。
 
サラサラの唾液はリラックスしている時に分泌されます。
ゆっくりよく噛んで食事をしたり、ガムを噛んだり、唾液腺をマッサージするのが効果的です。
ストレスや緊張で口の渇きや粘つきを感じた時にもマッサージは効果的です
食べるときは一口 30回を目安に噛むと効果的です。
 
これまでに歯科治療を通じて患者様に新型コロナウイルスが感染したという例はないということです。
 
急に歯が痛いとか、歯が揺れているとか、虫歯に限らず歯周病の状態が進行しているという場合もあります。
 
検診であっても一人一人状況は異なります。
受診が必要なケースもあるので、自己判断はせずかかりつけの歯科医と相談していただくと良いと思います。

「口は健康の入り口であり、不健康の入り口でもあります」
人の免疫は、害を与える微生物などに対して働き、病気を軽く済ませてくれたり、発症を未然に防いでくれたりします。
この病気の発症は、微生物の悪さをする力と免疫力のバランスが崩れた時に生じるのです。
このバランスを免疫力優位にしておく必要があります。
 
その方法の1つが、口腔ケアです。
口の中には、細菌が沢山いるのをご存知ですか? 
常在細菌といって、体を守る働きを示すものもありますが、悪さをする細菌もいます。
この悪さをする細菌やウイルスを減らすことが大切です。
 
細菌の塊であるプラークは、歯磨きをしないと落とすことはできません。
口の中には、もう1つ細菌の塊があります。
それは舌の表面についた舌苔です。
これらの細菌を口腔ケアにより減らすことで、口腔の免疫が十分に働くことができるようになるのです。
口腔の免疫は、IgA(※)という抗体が働き、害を及ぼす微生物を排除してくれる粘膜免疫というシステムで実行されています。
しかし、このIgAも口の中が汚れていれば、敵が多すぎて、防衛が難しくなってしまうのです。

新型コロナウイルス感染症が、世界中で蔓延し多くの人を苦しめています。
最先端の科学によりワクチンや治療薬の開発が進んでいますが、まだ完成していません。
そして、新型だけあって、わからないことも多数あります。
このような時、大切なことは、これまでの経験を総動員して、感染しないために良いと考えられることは、何でも行うということです。
マスクも初めは海外では推奨されていませんでしたが、今は誰でも必要なことを知っています。
歯磨きなどの口腔ケアは、インフルエンザへの感染リスクを下げることがわかってます。
この経験は大切であり、新型コロナウイルス感染症対策として、試す価値は十分あります。
いま新型コロナウイルス感染症に対しても口腔ケアが大切だという証拠を多くの研究者が探していますが、もう少し待つ必要があります。
 
もう一つ大切なことは、歯周病を放置し重症化してしまうと、歯周ポケットという深い溝ができてしまい、プラークや舌苔のように細菌の温床ができてしまいます。
歯周ポケット形成の原因となる歯周病原細菌は、さまざまな分解酵素を持ち、それを口腔内にまき散らし、ウイルス感染を進めてしまうことも分かってきました。
 
いま歯科医院は、高度な感染防止対策を行い、皆さんを受け入れる準備を整えています。
ぜひ、口腔ケアの大切さを理解していただき、歯科疾患を進めないために歯科医院でのチェックも忘れないでください。
※IgAと新型コロナウイルスの関係性について直接説明しているものではありません。

「仕上げ磨きの習慣を!」
乳歯は、ほとんどの場合、1歳頃までに上下のあごの乳前歯8本が生えそろいます。
次に生える乳歯は奥歯です。
1歳~1歳半の離乳食期に合わせるように第1乳臼歯という名前の奥歯が顔を出します。
また、同じ頃に乳犬歯が生えてくる子どももいます。
3歳頃までに乳歯の20本全てが生えそろいます。
1歳半になって奥歯が生えると子どもは食べ物を奥歯でかめるようになります。
こうして離乳食期の歯ぐきでかむ「モグモグ期」から、奥歯でかむ「カミカミ期」へとスムーズに移行できます。
 
上の前歯が生えてきたタイミングで、子どもをひざに寝かせて「寝かせみがき」をスタートします。
ハブラシは、歯ぐきに当たっても痛くない、毛先のやわらかいものを選ぶといいでしょう。
 
歯みがきの第一歩は、ハブラシに慣れさせることです。
乳歯が生えはじめる生後6カ月ごろから、赤ちゃん用のハブラシを持たせるようにします。
ちょうどこのころは、何でも口に入れたがる時期なので、ハブラシも抵抗なく、口の中に入れてくれるはずです。
ただし、歩けるようになったら要注意。
歩きながらくわえさせると、思わぬケガにつながることもあるからです。
ハブラシを持たせるときは必ず座らせて、目を離さないようにしてください。
 
むし歯になりやすい部位は、前歯では前面や歯間、奥歯はかむ面の溝と歯間です。
この時期は本格的な仕上げ磨きの習慣をつける大切な時期です。
 
歯磨きのコツは年齢に合った歯ブラシを使うこと。
奥歯は軟らかめの仕上げ磨き用歯ブラシで円を描くように磨き、痛みを感じさせないことです。
膝の上にあおむけに寝かせ、明るい部屋で磨きましょう。
この時期は歯みがき剤を必要としませんが、予防の観点から子ども用フッ化物配合歯磨き剤(研磨剤無配合)やフッ化物ジェル、フッ化物スプレーを使用することも良いです。
 
<保護者の皆様へ>
お子様が歯みがきをする時に、歩き回ったり、遊ぶなどすると、思わぬ事故の原因になり、大変危険です。
必ず保護者の方が付き添い、お子様から目を離さないでください。

「マスクをして生活する際の注意」
新型コロナ禍における生活様式の変化で、大人も子供もマスクの着用がすっかり当たり前になっています。
ワクチン接種が始まったとしても、感染そのものを防げるわけではないため、まだまだマスクは外せません。
そんな状況下で懸念されているのが「口呼吸」の弊害です。
 
マスクを着用していると、どうしても息苦しさを感じる。
そのため、ふと気づくと自然と口を開けて「口呼吸」になっている人は多いと思います。
 
人間は本来、「鼻呼吸」するのが自然な状態だとされています。
鼻にはたくさんの機能が備わっていて、鼻から息を吸うと、鼻毛や鼻の粘膜が空気中のほこり、ウイルス、微生物などを取り除きます。
 
また、空気が出入りする肺を保護するため、鼻腔から咽頭、気管を通る過程で外気の温度や湿度を適度に調節する働きも担っています。
鼻には、空気清浄機、エアコン、加湿器の機能が搭載されています。
口呼吸していると、そうした機能が十分に働かなくなるため、ウイルスや細菌が体内に侵入しやすくなり、感染症にかかりやすくなったり、免疫力の低下につながってしまます。
さらに、口呼吸が口腔内の環境を悪化させ、さまざまな弊害を招くリスクがあります。
 
口呼吸をずっと続けていると、口腔内が乾燥して唾液が減少してしまいます
唾液にはいくつもの重要な働きがあります。
①口腔内の細菌や食べ物のカスを洗い流す洗浄作用
②口腔内に侵入した細菌の活動を抑え込む抗菌作用
③口の中のpHバランスを調節する緩衝作用
④歯のエナメル質が溶ける脱灰の進行を防いで虫歯リスクを軽減させる再石灰化作用
⑤口腔内の粘膜、歯、喉を覆って保護する作用
⑥舌や喉の動きをなめらかにして食事や会話をスムーズにさせる潤滑作用
⑦食べ物を分解して消化を助ける作用
⑧傷ついた組織を修復する作用、などが挙げられます。
 
口呼吸による唾液の減少は、こうした働きを低下させてしまうため、感染症にかかりやすくなったり、虫歯や歯周病を招くリスクをアップさせるのです。
 
実際、加齢によって唾液の量が少なくなっている患者は、飲食物やたばこのヤニなどで歯が着色しやすく、歯周病の原因になる歯石やプラーク(細菌の塊)の量も多い。
歯周病は、がん、心臓病、糖尿病、認知症といった病気にかかりやすくなることがわかっています。
口呼吸が深刻な病気につながる危険もあるのです。
 
■子供の歯並びや姿勢に悪影響を与えるリスクも
さらに、口呼吸が子供の成長に悪影響を与える可能性もあります。
口呼吸では口を開けた状態が続きます。
すると、口を閉じているときは口腔内の上側に位置している舌が、口を開けたままだと下顎側に下がることになり、舌と口の周りを支える筋肉のバランスが崩れ、成長期の子供の顎の成長や歯並び、そして姿勢にも悪影響を与えてしまいます。
 
また、口を閉じる際に使う筋肉が衰え、徐々に締まりのない顔つきになってしまう可能性もあります。
マスク着用の息苦しさから、自然と口を開けて口呼吸になっている子供が増えているという指摘もあります。
注意が必要ですね。
 
マスクは飛沫感染を防ぐだけでなく、鼻、口、喉を潤して健康を守る効果があります。
しかし、マスク着用によって口呼吸がクセになり慢性化してしまうと、逆に健康を害するリスクがあり、マスクの下でも鼻呼吸を意識したところです。

「知覚過敏」
皆様、明けましておめでとうございます。
本年もこまば歯科を宜しくお願いいたします。
 
年末年始はいかがお過ごしになられましたでしょうか?
ステイホーム中、しっかり歯ブラシはされていましたか?
「歯周病のメインテナンスで歯がきれいになるのはいいけれど、歯ぐきがしみるのが苦手」。
このような悩みを持つ人は意外に多いようですが……。
歯ぐきがしみる原因は何でしょうか?また、しみないようにする対策はあるのでしょうか?
 
歯周病のメインテナンスで歯ぐきに刺激を与えるような処置をおこなうことは基本的にありません。
「歯ぐきがしみる」と患者さんが訴える原因のほとんどは、実は歯ぐきではなく、歯根の「知覚過敏」によるものです。
 
知覚過敏とは、歯の白い部分(エナメル質)のさらに下の層にある象牙質がなんらかの刺激を受けて、しみたり、痛みが起こるものです。
歯周病のメインテナンスでは歯にこびりついたプラークや歯石をスケーラーという器具で徹底的に取り除きます。
プラークは歯周病菌をはじめとした細菌の集まりであり、プラークを放置しておくと歯周病が再発しやすいためです。
歯周病の患者さんには自宅でのセルフケア(歯みがき、デンタルフロス、歯間ブラシなど)が重要であることをお話しし、やり方を指導しますが、それでも患者さん自身のケアで完全にプラークを取り除くことはできません。
歯周病になると多くの場合、歯周ポケットができるため、ここに歯周病菌が入り込み、歯の根元である歯根にプラークや歯石がたまりやすくなります。
スケーラーでプラークや歯石を取り除くと歯根の表面はツルツル、ピカピカになります。
 
しかし、この歯根は象牙質でできているのでメインテナンスの刺激により、知覚過敏が起きることがあるのです。
象牙質には表面に小さな穴がたくさん開いており、奥の歯髄(神経)に至る管になっています(象牙細管という)。この象牙細管への刺激がしみたり、痛んだりという症状につながるのです。
 
メインテナンスの間隔が空いてしまったり、プラークや歯石がたっぷり付着している人ほど知覚過敏を訴える人が多いように思います。(歯石がきれいに取り除かれ、歯と歯の間の空気の通りがよくなったことで“スカスカした感じがする”と言われることもよくあります)
 
プラークが付着している歯面は歯周病菌だけでなく、むし歯菌などほかの細菌もたくさん集まってきています。
こうした菌の中には酸を出すものもおり、この酸によって歯が溶けている患者さんも多くみられます。
ただでさえ刺激に敏感な歯根が酸で溶けてさらに薄くなることで、知覚過敏が起こりやすくなります。
 
ただし、メインテナンスによる知覚過敏は一時的なもので、数日のうちに症状は消えてしまいます。
それでも知覚過敏が理由でメインテナンスをためらっているようなことがあればぜひ、伝えてください。
知覚過敏を起こさないようにするためにできる治療があるからです。
 
具体的には象牙細管を遮断する樹脂を塗ったり、象牙細管の中に薬をしみこませることで予防ができます。
また、メインテナンスでよく使う電動の「超音波スケーラー」で知覚過敏が起こりやすい患者さんもおり、このような場合は「ハンドスケーラー」で歯科衛生士が手作業で少しずつおこなうことで症状が出にくくなります。
 
メインテナンスにかかわらず、日常的に知覚過敏が起きやすい患者さんには知覚過敏予防効果のある歯磨き粉をおすすめしています。
こうした歯みがき粉には神経を保護する「硝酸カリウム」という成分が含有されています。
これらの方法でも知覚過敏が改善されない場合は、くいしばりや歯ぎしりが原因かもしれません。
くいしばりや歯ぎしりで歯が揺れることで神経が刺激されると知覚過敏が起こりやすいのです。
このような場合、少しだけ歯を削ってかみ合わせの調整をしたり、マウスピース治療をしたりすることでよくなります。

「妊娠中のお口のケアについて
 
妊娠するとホルモンバランスが変化し、虫歯や歯肉炎にかかりやすくなります。
歯茎が赤く腫れてきたら「妊娠関連歯肉炎」の可能性が高いです。
放置して悪化すると早産や低体重児出産を招く恐れがあります。
歯磨きなどで口腔内清掃をしっかり行い、悪化しないうちに歯科治療を受けましょう。
 
歯周病のある妊婦は歯周病のない妊婦に比べて、早産、低体重児出産をしやすい
妊娠関連歯肉炎は妊娠性歯肉炎とも呼ばれています。
歯茎や歯と歯の間の歯肉が赤く腫れるなどの症状が見られる妊娠中に起こる歯肉炎で、発症頻度に関しては35~100%とさまざまな報告がありますが、ほとんどの妊婦で見られると考えられます。
妊娠2カ月ごろに始まり、8カ月目ごろまで続き、分娩後は回復するというのが一般的な経過です。
 
口腔内の清掃が不十分だと悪化する例もあります。
歯茎の腫れがひどくなり、出血や歯がぐらぐらする歯周炎まで進行すると、歯が抜けることもあります。
出産に悪影響を及ぼす可能性もあります。
歯肉炎や歯周炎を起こしている歯周病の妊婦では歯周病のない妊婦に比べて、早産のリスクが約2倍、早産かつ低体重児出産が約3倍高くなるとの報告があります。
 
歯の表面、歯間や舌の清掃を
妊婦はなぜ妊娠関連歯肉炎になりやすいのか。
妊娠初期にはつわりなどの影響で歯磨きが十分できないことが多いです。
すると歯の周りにはプラークが増えてくる。
プラーク中には多くの細菌が含まれ、その中でも女性ホルモンを栄養源としている「プレボテラ・インターメディア」という歯周病の原因となる細菌が増殖しやすくなります。
加えて、女性ホルモンの増加で歯茎などの毛細血管が広がり、歯肉の腫れや出血を起こすリスクが高まります。
妊娠に伴う免疫機能の低下も影響して、歯肉に炎症が起きやすくなります。
 
妊娠がわかったら歯科検診も行いましょう
妊娠関連歯肉炎の悪化を防ぐには歯磨きでプラークを取り除くこと。
歯の表面の清掃に加え、デンタルフロスを使って歯と歯の間の清掃や舌クリーナーを使って舌表面の清掃を行ってください。
 
妊娠4カ月目以降の安定期に入ったら、歯科医院を1、2回は受診し、虫歯や歯周病の検査を受け、プラークや歯石などを丁寧に除去する専門的口腔清掃を受けることが勧められる。
特に、つわりがひどくて妊娠初期に口腔内清掃を十分行えなかった人は安定期に入ったら歯科医院を受診して口腔内の状態を確認しましょう。

「おかげさまで開院5周年
平素より格別なご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
H27年11月1日の「こまば歯科」開院より、おかげさまで開院5周年を迎えることができました。
 
5年というのはひとつの区切りの期間のように思えます。
これまで診療を継続できたのは、関係皆様方のご尽力があってのことと感謝し、改めて今後も謙虚な気持ちで、ご来院頂いた患者様のお役に立てるように微力を尽くしていくつもりです。
平成から令和へと時代が移り変わり、当院も5年目の節目を迎えることができたことを機に、より一層信頼いただける歯科医院作りに努める所存です。
 
今年は新型コロナウイルス感染症の流行や災害被害、猛暑気候など私たちにとって試練の年になってしまった様相がありますが、地域住民の皆様に愛される・信頼される温かで質の高い歯科医療を提供できるよう、残り2ヶ月間が少しでも平穏な世の中であることを願いながら日々の診療に当りたいと思っています。
 
                                             こまば歯科院長 葛巻秀敏
                                                   スタッフ一同

「虫歯や歯周病じゃないのに歯や歯肉が痛い!
虫歯や歯周病などの痛みの原因がないのにもかかわらず、歯や歯肉の痛みを感じている状態を、非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)と呼びます。
虫歯や歯周病などが原因の歯痛=歯原性歯痛に対して、歯に原因がない歯痛という意味です。
非歯原性歯痛は、歯痛全体の2.1~9.0%を占めるといわれています。
歯に原因がないわけですので、歯の治療を行っても、抜歯しても、痛みは変わりません。
 
■鈍い痛みが続く
いろいろな痛みが出ますが、代表的なのは次のようなものです。
(1)鈍い痛みがずっと続いている。
でもその歯をたたいても、何をしても痛みは出ない。
(2)だいぶ前に歯を抜いて傷は良くなっているのに、もう無いはずの歯が痛い気がする。
(3)目がチカチカして頭が痛くなる時に、歯も痛くなる。吐き気もする。
(4)目の奧の猛烈な痛み、涙や鼻水が出て、歯も痛くなる。
(5)鼻が詰まっている感じがして、同じ側の上の奥歯が痛む。
(6)胸が痛くなると、歯も痛くなる。
いろいろな原因で引き起こされますが、最も多いのは「筋・筋膜性歯痛」といわれる筋肉の凝りによって生じる歯の痛みです。
非歯原性歯痛全体の50%程度を占めます。くいしばりや歯ぎしりなどにより、頬の筋肉やこめかみの筋肉などのコリが進んで痛みが出るようになると、離れた所にある歯に痛みを感じるというものです。
この時、痛い筋肉を指で強く推すと、筋の痛みとともに歯の痛みが生じることが特徴です。
 
■対応難しい疾患
また歯の痛みを伝える神経が傷ついてしまうと、歯は悪くないのに歯の痛みを感じることがあります。
神経障害性歯痛と呼ばれます。
三叉(さんさ)神経痛、帯状疱疹(ほうしん)後神経痛などに伴って、あるいは抜歯や歯の神経の処置後に見られます。
周りの歯茎の感覚もおかしくなっていることも多いです。
その他に、古くから知られていますが、心筋梗塞や狭心症などの心臓疾患に伴って生じる歯痛や、片頭痛、群発頭痛などに伴うもの、上顎洞炎に伴うものなどがあります。
 
非歯原性歯痛は歯科医師にとっても対応に苦慮する疾患です。
なぜなら、歯に痛みの原因がないことを確認するのはとても難しいことだからです。
さらに、その原因を診断するには専門的知識が必要とされます。
治療を続けても歯の痛みが変わらないようなとき、あるいは先に書いたような症状があるときには、歯科医師に歯の痛みのみではなく全ての症状をお伝えください。
大学病院などの専門医を紹介してくれます。
専門医が診断し、歯科で対応すべきものであれば歯科にて治療を行いますし、頭痛や心疾患などが疑われる場合には医科の専門科に紹介いたします。

「口臭に関してまとめてみました
腐った卵、腐ったタマネギ、生ごみ……口臭の原因とは
「口臭の原因となる物質は、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドの3つ。これらをひとまとめにして“揮発性硫黄化合物”と呼びます」
硫化水素は、硫黄に含まれる“腐った卵”の臭いの大本。
メチルメルカプタンは、池や沼などで発生する“腐ったタマネギ”の臭いを放つガス。そしてジメチルサルファイドは、“生ごみ”の臭いに似た有機硫黄化合物。
腐った卵と腐ったタマネギと生ごみの臭いをブレンドして口臭はつくられていた——と知れば、ちょっと真剣にオーラルケアに取り組もう、という気にもなるでしょう。
 
口の中でそんな強烈な臭いを発生させる最大の原因は「舌苔(ぜったい)」です。
舌苔とは食べかすなどが舌の表面にこびりついてできる堆積物。早い話が“垢”です。
「口臭を自覚する人のおよそ8割が、主として舌苔に起因する口臭。この場合は話は簡単で、舌苔を取り除くことで口臭を消すことができます」
 
舌の汚れは「歯磨きだけで落とせない」
食事のあとの歯磨きを習慣にしている人は増えている。
これはとてもいいことですが、歯磨きだけでは舌苔は落とせないです。
「歯を磨くついでに歯ブラシで舌の表面を擦る人がいますが、これは舌の清掃にはあまり効果はありません。
歯ブラシは歯という“硬いもの”の表面の汚れを落とすことを想定して作られていて、舌のように“柔らかいもの”を対象としてはいないのです。
実際にやってみるとわかりますが、歯ブラシで舌の上を擦っても、汚れを落とした、という実感は得られないはず」そこで登場するのが“舌ブラシ”という舌専用のグッズです。
ドラッグストアに行くと色々な形状の舌ブラシが並んでいるので、どれがいいのか迷うかもしれない
「どれを選ぶかは人それぞれです。
口の大きさ、舌の形状などによって向き不向きがあるので、使ってみて『これは合わない』と思ったら違うタイプのブラシに変えてみるしかない」
 
それより問題は使い方です。
歯ブラシは歯の表面にブラシを当てて上下左右に毛先を動かすことで汚れを落とすが、舌ブラシは違う。
「奥から手前へ」の一方向で汚れを掻き出すように動かす。
そんなこと当たり前だと思うかもしれないが、舌ブラシを舌の上に当てて掻き回すだけで、汚れを舌の上に残したままの人が意外に多いというのだ。
「舌苔」は舌の先端より“奥”に付着している。
 
もう一つ、注意したいのが清掃する個所
口臭の原因となる舌苔が多く付着するのは、舌の先端よりは中央から奥(喉側)にかけて。
したがって、なるべく奥のほうから掻き出したいところだが、嘔吐反射が強い人などはすぐに「オエッ」となり、涙目になってしまう。
 
「多くの人は、まず歯を磨いてから舌の清掃に取り掛かるのですが、これは順序が逆です。先に舌をキレイにしてから歯を磨く——。
特に嘔吐反射の強い人は、この順序を意識してほしい」その理由はこうだ。
歯磨き剤には“爽快感”を際立たせる成分が含まれているが、歯を磨いた後はたとえ口をゆすいでもその成分が舌の上に残っている。
それが刺激となって嘔吐反射を強めてしまうのだ。
「やや下を向いて顎を引くようにしてから、舌を『エーッ』と思いっきり出して、ブラシで擦る瞬間は息を止めて掻き出す。
これを歯磨きの前にやるだけで、だいぶラクに舌をキレイにすることができます」
 
舌の健康を怠ると、新型コロナ重症化のリスクが高まる?
最近は、オーラルケアと新型コロナウイルスの関係性を探る研究も進んでいる。
当然そこには舌も関与する。
「舌の上には歯周病菌もいます。
この菌が肺に入ると肺炎を引き起こすし、最近では新型コロナウイルスによる肺炎と重なると重症化のリスクを高めることも指摘されています」毎朝鏡で舌の状況を観察することを心がけてほしいところです。
 
「疲労など体の状態は、舌の表面の汚れが増悪にも関係します。
きちんと清掃しているのに普段と舌の表面が違う、特に黄色っぽい舌苔が多く見られるときは体調に気を配る必要があるのです」
健康状態を推し量るバロメーターとして、舌は意外に役に立つ。
これを機に、ちょっと注目してみてはどうでしょう。

「歯周病とコロナウイルス
2002年に流行したSARS、12年のMERSはすべて「コロナウイルス」です。
この時のデータから、分かっていることがあります。
それは歯周病菌とコロナウイルスの関係です。
 
ヒトの口腔内には歯周病菌が存在し、肺炎や心内膜炎、大腸がんの原因になるといわれています。
また、咽頭にはコロナウイルスが侵入できる標的細胞が存在します。
この細胞集団は糖タンパクによって守られていて、ウイルスが容易に侵入できないようにしています。
歯周病原菌などから産生されるプロテアーゼはこの糖タンパクを破壊することもあり、ウイルスの侵入を助けていることが分かりました。
 
もっとも「新型コロナウイルス」についてはまだデータはないのですが、これまでのコロナウイルスと同じように考えています。
だから、歯周病患者や口腔内が汚れている人は、予防しなければなりません。
コロナウイルスは唾液にも含まれるので、「歯磨き」「舌ブラシによる掃除」「うがい」のセットが効果的です。
うがいは喉の奥までしっかり行き渡るようにしたいところです。
歯磨きは毎食後3分、寝る前に3分、1日4回はしてほしい。
うがいは歯磨きの前にするのが理想です。
 
「われわれの口腔内ではウイルスレセプターと呼ばれるウイルスが吸着する受容体がいくつも発現します。
口腔内に入ったウイルスは、そのレセプターを介して細胞内に侵入し、増殖していくのです。
通常、喉など口腔内のレセプターはタンパク質からできている粘膜で保護されています。
しかし、歯周病菌はプロテアーゼというタンパク質を加水分解する酵素を産生し、保護している粘膜を破壊してしまいます。
その結果、口腔内のウイルスレセプターが露出して、感染しやすくなってしまうのです」。
 
新型コロナウイルスは「ACE₂受容体」というレセプターにくっついて細胞内に侵入する。
ACE₂受容体は上気道での発現は比較的少ないといわれているが、海外では「ACE₂受容体は口腔内の粘膜、とりわけ舌に多く発現している」との論文報告がある。
歯周病菌がつくり出すプロテアーゼが、新型コロナウイルスの細胞内侵入をサポートする可能性があります。
また、歯周病によって起こる「炎症」がウイルス感染を助長するともいわれています。
 
「歯周病菌は内毒素を放出するため、歯肉などの歯周組織や粘膜に慢性的な炎症を引き起こします。
炎症によって歯肉の血管が傷つくため、口腔内の細菌やウイルスが体内に侵入しやすくなるのです」。
 
さらに、新型コロナウイルスが吸着するACE₂受容体は、炎症が広がるほど多く発現するといわれており、ACE₂受容体はそもそも炎症が起こった際に細胞を保護する働きがあるため、炎症があると増えるようです。
歯周病と新型コロナウイルスの関連性は現時点ではまだはっきりしてませんが、可能性の芽は摘んでおいた方がいいと思われます。
 
また3月に、米紙ニューヨーク・タイムズが歯科医院を感染リスクが高い危険な場所として取り上げました。
そのため、世界中で歯の治療を躊躇する動きがありましたが、実際は逆です。「必要不急」の場所ですから、虫歯に限らず、歯石を除去するスケーリングやメンテナンスもやった方がいいです。
口腔内を清潔に保って、予防しましょう。

「エピオス除菌水
エピオスエコシステムは、不純物を極限まで取り除いた「超純水」と純度99.9%の「塩」を混合し、「電気分解」した薬品を全く使用していない除菌水です。
厚生労働省の許可が下りている成分で使用しているため、小さなお子さんからご年配の方まで、安心してご使用いただけます。
 
こまば歯科では、お口をゆすぐコップの水から、治療中の水、消毒コーナーの器具を洗浄する水まで、全てにエピオスエコシステムの除菌水を使用しています。
このシステムにより、今まで難しかったお口の中の殺菌感染の治療・予防・院内感染予防が飛躍的に向上し、更なる高度な治療を提供できるようになりました。
 
口腔内洗浄・歯石除去・歯周病治療・むし歯治療・歯の根の治療・外科処置・義歯洗浄などで使用すると、細菌・ウィルス(B型・C型肝炎ウィルス、ノロウィルス、HIV、MRSA、インフルエンザウィルス、O-157など)を殺菌・不活性することが可能となります。
結果として、口臭の発生やプラークの形成を抑制して歯周病やむし歯を予防します。
また使用した治療器材や器具の消毒としても使用しています。
 
皆さんも、一度体験してみませんか?

「フィットする大切さ・・・
あなたの入れ歯(義歯)はフィットしていますか?
 
義歯は装着することで、食べ物をかめるようになり、発音が明瞭になり、顔貌が整えられます。
しかし、合わない義歯を入れていると、維持する歯ぐきである顎堤(がくてい)が時間の経過や急激な体重の減少などで骨吸収が起こること、食べ物を咀嚼(そしゃく)することで人工の歯の部分がすり減り、かみ合わせが不良となることがあります。
すると次第に義歯の安定性が損なわれ、外れやすくなることや、強く当たる部分ができて痛みが生じることになります。
 
ほとんどの場合、お使いの義歯を修理調整することで、ぴったりとした状態に復元できる可能性があります。
義歯の内面の調整や、すり減った人工の歯の部分を補正し、かみ合わせを調整することもあります。
なじんだ入れ歯でも、毎日使用するため、経年的な劣化や汚れがたまったままの状態だとカビ(真菌(カンジダ菌))や歯石の付着・着色で匂いが取れなくなることもあります。
超音波洗浄を行い、汚れを取ることもできます。
 
いずれの場合も、良好に食べられていたのに、少しずつの変化として表れる義歯の不具合ということになりますので、歯科医院を受診されてみてはいかがでしょうか。

「歯並びについて・・・
年を重ねると、歯の隙間に物が挟まることが増えたり、咬み合わせが悪くなったりするなど、歯並びの変化が気になるようになってくる。
歯並びは人目に付きやすいし、歯間が広くなりすぎれば虫歯や歯周病などのリスクも高まる。
 
加齢とともに歯並びが悪くなる原因
歯並びが悪くなるのは主に「歯周病」「歯科治療の中断」「親知らず」「悪い咬み合わせ・悪習癖」の4つの原因によるという。
 
■歯周病……
歯は歯槽骨という骨によって支えられているので、歯周病の進行によって歯周病菌が歯を支えている骨を溶かしてしまうと、少しずつ歯がぐらつき、歯が動きやすく、歯並びが悪化してしまう。
■歯科治療の中断……
歯周病やむし歯が原因で抜歯した後に歯が抜けたスペースを放置しておいたり、歯の治療途中で仮歯などがはずれたままにして、治療を不完全な状態で放置したりした場合も、空いたスペースに隣の歯が傾斜するなど、短期間で周辺の歯並びに大きな影響を与える。
■親知らず……
親知らずが完成する時期は10代後半から20代前半とされているが、傾斜してまっすぐに生えてこなかったり、横向きに埋まっていたり、ちゃんと口の中に生えてこないケースも多い。
親知らずが出てくるスペースがない場合などに、奥歯から前のほうに向かって押されて、前歯の歯並びに影響を及ぼす可能性がある。
■悪い咬み合わせ・悪習癖……
咬み合わせのバランスが取れていないなど、特定の歯に負担がかかると歯並びに悪影響が出る。
また、歯ぎしりや食いしばり、頬杖やペンを咬んだりするなどの癖が原因で歯がぐらついたり割れたりして、歯並びが悪くなることもあるとのこと。
 
悪い歯並びが体に及ぼす影響
■むし歯、歯周病の悪化
歯並びが悪い部分の歯磨きが難しいため、歯を磨いても汚れが取りきれないことが多く、むし歯や歯周病を引き起こす。
咬み合わせが悪いことが原因で唇を閉じにくい人は、口で呼吸をしていることも多く、口の中が乾燥しやすく、唾液が少なくなるためにむし歯や歯周病になりやすくなる。
■咀しゃく機能が悪くなる
上下の歯の咬み合っている部分が少ないため、食べ物を咬み砕く(咀しゃく)効率が悪くなり、胃腸への負担もかかる。
■発音、嚥下機能が悪くなる
特定の音が発音しにくいことがある。
また、飲み込み(嚥下)がうまくできず、飲み込むときに舌が上下の歯の間に出てきてしまう場合、さらに咬み合わせに問題が生じることが多い。
■顎関節症
咬み合わせに問題が出てきたり、ぐらぐらしている歯をかばった咬み方をしていると、口が開けづらくなったり、顎の関節に音がしたり、肩や首がこるなどの症状が出てくる。
顎関節症はさまざまな原因が重なりあって生じるが、歯並びもその原因のひとつと考えられる。
 
歯並び悪化の予防法と治療法
歯並びが悪くならないようにするためには、「歯科医院に定期的に通院して、歯周病やむし歯などの歯科治療をきちんと受ける」「抜いたほうがよいと歯科医師が判断した親知らずは早めに抜歯する」「悪習癖があれば、意識して改善する」などが重要となってくる。
 
もし、すでに歯並びが悪くなってしまった場合の治療法は、どのようなものがあるのだろうか。
「歯並びを治す治療として矯正治療がまず思いつくかもしれませんが、矯正治療は極端に言うと、すべての歯に歯周病を起こさせて歯を動かすことなので、もともと歯周病がひどくて歯を支える骨が少ない人には不向きです。
まずは歯周治療をしっかり行い、抜歯が必要な歯は無理に残さないで抜歯し、口の中の状態を整えることが重要です。
必要であれば、入れ歯やかぶせもので歯並びや咬み合わせを整えたり、骨やその他の状態がよければ、インプラント治療などの選択肢もあります」
 
みなさんの歯並びはどうですか?

「歯科用”CT”の有効性について・・・
CTとは、「X線を利用して、物体を透過したX線の量をデータとして集めて、コンピュータで処理することによって、物体の断面画像を得る検査」です(日本放射線技術学会HPより)。
 
CTとレントゲンの違い
いずれも目に見えない硬組織を撮影するということは同じですが、目的や得意な分野、被曝量、費用など、さまざまな違いがあります。
レントゲンは平面的に写りますので、縦方向の疾病や症状は見ることができますが、水平方向の疾病や症状はどの程度なのかを把握することができません。
水平方向の状態はすべて重なって撮影されますので、色の濃淡で前方にあるのか後方にあるのかを判断します。
一方、CTは立体的に撮影しますので、病巣の位置や骨の内部、歯と顎の関係などすべてが手に取るようにわかります。
レントゲンを読み解くにはかなりの臨床経験を積む必要がありますが、CTは患者さんの目から見てもわかりやすい画像で表示されます。
歯科医院では、検査を始める前や治療を開始する前に、全体像を把握するためにレントゲンを撮影します。
レントゲン撮影をしたうえで、どうしてもCT画像が必要なときだけ、CTを撮影することになります。
通常の虫歯治療やかみ合わせの確認などではレントゲンだけを用います。
ですが、人工歯根を外科的に埋めていくインプラントを実施する前の術前診断や歯槽骨欠損部の正確な把握、根管治療における診断、抜歯時に歯根が折れてしまったときの診断などにおいては、縦方向だけでなく水平方向も正確に判断できるCTを用います。
また、顎関節に異常が見られるときや顎関節の外科的手術が必要なときなども、CT撮影を実施することがあります。
 
CTでわかることは?
レントゲンでは全体像や漠然とした形だけしかわかりませんが、CTを用いると今まで突き止められなかった病気の正体などがわかることもあります。
(1)歯根破折
歯根部が割れたりひびが入ったりする歯根破折。
割れた部分がレントゲンに写れば良いのですが、水平方向にひびが入っているときなどはレントゲンで確認することができません。
だからといって、歯ぐきを切開して確認するのは大変です。
そのようなときにはCTが威力を発揮します。
どのような方向に亀裂やひびが入っていても、CTなら詳しく撮影することができるのです。
 
(2)副鼻腔炎
上顎の歯根部付近に広がる空洞、副鼻腔。
この部分に炎症が起こると、歯の痛みなのか副鼻腔炎なのか判別することが難しくなります。
レントゲンでは空洞にしか写りませんので炎症の正体を突き止めることはできませんが、CTなら炎症部分を確認し、副鼻腔炎の治療を開始することができます。
 
(3)歯根部の膿
歯根の先端に膿が詰まっていると、歯ぐきの腫れや痛みの原因になります。
下の歯の歯根部に膿が詰まっているときはレントゲンでも確認しやすいのですが、上の歯の歯根部にはほかの組織も重なって写っていますので、膿部分をレントゲンで確認することは難しくなります。
ですが、歯科用CTなら、下も上も簡単に膿を特定することができます。
痛みの箇所がわかりにくいときは、CTが頼りになるのです。
 
(4)インプラントの術前検査
インプラントを入れるときは、どの程度の太さでどの程度の長さの人工歯根が適切かを判断することが重要になります。
レントゲンだけでは歯ぐき上部から神経までの距離や顎の骨の厚みなどを正確に測ることができませんので、歯科用CTを用いて正確に検査をします。
 
(5)根管治療
歯の神経を抜いて根管治療をするときも、歯科用CTを用いることで痛みの再発を防ぐことができます。
歯の根は複雑な形をしていることも多く、1本だけのこともありますが2~4本に分かれていることもありますので、破片が残らないように丁寧に抜き、空洞部分に薬剤を詰めていかなくてはなりません。
ですが、手の感触だけに頼っていると、歯の破片が残ったり薬剤を詰め忘れたりすることがあります。
薬剤がしっかりと詰まっていないと細菌が繁殖し、再度、痛みや腫れを引き起こしてしまいかねません。
目や手の感触だけではわからない部分を正確に知るためにも、歯科用CTの撮影が必要になるのです。
 
(6)親知らずの抜歯前検査
親知らずならすべて抜いてしまっても良いというわけではありません。
特に下の親知らずの根周辺には神経や血管が入っている下顎管がありますので、抜歯によって下顎管が傷つくと想定されるときは抜歯以外の治療を考えなくてはいけません。
レントゲンでも下顎管の位置をある程度特定することができますが、親知らずの根に近いかどうかを正確に知るためにはCT撮影も実施するほうがより正確な判断ができるでしょう。
 
(7)歯列矯正前の検査
歯列矯正をすることでどのような歯並びになるかを、歯科用CTを使って正確にシミュレーションすることができます。
かみ合わせがどうなるかも予想することができますので、より美しい歯並びに矯正することができるのです。
 
(8)過剰歯の測定
永久歯が普通以上の本数ある過剰歯。
そのまま生えてしまうと、歯並びが悪くなったり、必要な歯が生えて来られなくなったり、歯ぐきの横側や内側などの正常でない場所から生えてしまったりすることにもなります。
その場合は、歯ぐきの内部にある時点で抜歯するのが良いのですが、レントゲンでは正確な位置をとらえることが難しく、不必要な部分まで切開することにもなりかねません。
歯科用CTを使って過剰歯の正確な位置をとらえ、歯ぐきを切開する部分を最小限にして過剰歯の抜歯を実施します。
 
いつでもCTを使えばいいわけではない
CTは立体的に表示されるだけでなく解像度が高いのも特徴です。
正確な診断には最適なツールともいえます。
ですが、レントゲンと比べると被曝量も高くなりますので、いつでも歯科用CTを使えば良いというものではありません。
レントゲンで大丈夫なときはレントゲン撮影を利用し、外科的手術や膿の確認が必要なときにCTを用いるのがベターです。

「口臭に関して・・・」
口臭に関しての記事がありましたのでまとめてみました。
 
自分の口臭がくさいと知るのは恥ずかしいしつらい。が、気づかないままでいれば、職場の人間関係に亀裂が入る可能性すらある。
それほどに、口臭はおそろしい。
 
①口臭はどうして起こるのか? 
どうしたら、口臭は改善できるのか?
気づかない口臭、大きな原因は「歯周病」
 
軽い症状の人も含めると 35歳以上の日本人の約 8割が、口臭の原因となる歯周病だという。
歯周病は国民病とも言われる所以だが、ある調査では、日本人の約 9割が「自分は歯周病ではない」という回答をしている。
また、この調査では、在日外国人 100人を対象に「日本人の口臭にガッカリした経験はありますか?」という質問もしていて、その結果は 72%の在日外国人が「 YES」。
さらに、 7割強の人が「日本人にオーラルケアを徹底してほしい」と答えている。
 「日本人は身だしなみがきれいで清潔」といわれるが、こと、口臭については残念な国民だと思われているのかもしれない。
 
②口がドブくさい…病気が隠れた口臭も
・生理的口臭は誰にでもある
唾液は口の中で食べかすや余分な菌を洗い流したり、細菌が増え過ぎないようコントロールするなど、大切な役割を果たしている。
 寝起きや空腹時、あるいは緊張しているときに口臭が出やすいのは、唾液の分泌量が減るため。
また、ニンニクやアルコールをとったときにも当然、におう。
これらは「生理的口臭」と呼ばれ、誰にでもあるものなのです。
 
・病的口臭は、口腔内や内臓のトラブル
一方で、問題なのが「病的口臭」だ。
その 8割が歯周病や虫歯など口腔内のトラブルが原因だが、体調不調によって呼気が悪臭化することもある。
▼腐った肉のにおい――歯周病
▼硫黄のようなにおい――虫歯
▼腐ったたまごのにおい――胃腸障害
▼カビやドブのようなにおい――肝機能障害
▼アンモニアのにおい――腎機能障害、末期の肝機能障害
 
口臭に限らず、においは健康のバロメーター。
上記のようなにおいがしたときは、からだからのサインだと心得るべし。
 
 
③ケア不足の口内は便よりも細菌だらけ
口の中は基本的に、菌だらけだ。
しかし、健康な状態であれば常在菌は悪さをすることなく、むしろ、病原微生物から体を守ってくれる。
しかし、清掃が足りなかったり、動脈硬化が出たり、歯茎の炎症がでたり、口の中の環境が悪くなると、その菌が急に悪い顔つきになる。
たとえるなら、町の治安が悪化して、若者が半グレ化して暴れ出すイメージである。
常在菌は食べカスをエサに繁殖し、歯にかたまってこびりついてプラーク(歯垢)となり、放っておけば何層にも重なりはじめる。
その細菌濃度は、なんと便よりも高くなるという。
 
最初は歯肉の腫れや出血程度だったのが(歯肉炎)、炎症は歯を支える歯槽骨へと広がり歯周炎となり、歯周ポケットに歯周病菌が大繁殖。
口臭はさらにきつくなり、歯がぐらついて、いずれ抜けてしまうことにもなる。
歯周病は菌だけが原因ではない。
加齢によって唾液腺が萎縮するため、唾液が出にくくなるし、動脈硬化で血管が固くなると血流が悪くなる。
唾液の質も分泌が悪くなり、菌が増殖、長年のケア不足も影響して悪臭となる。
口臭がきつい中年男性が少なくないのは、加齢の問題でもあるのだ。
 
④口臭対策:間違いだらけの歯みがき法
日本では、小学生までの虫歯ケアは念入りだが、以降、口腔ケアについて指導を受ける機会がほとんどない。
そのためか、日本人の歯みがき方法には勘違いが多い。
 
・食後すぐ磨く必要はない
毎食後、歯を磨きなさいと言われてきたが、じつは、歯みがきのベストタイミングは「就寝前後」。
細菌がもっとも増えるのが、唾液が減少する睡眠中から起床直後まで。
起き抜けの口がクサいのはこのためで、ここで細菌を増やさないことが大切。
食後すぐは、食べ物と唾液の流れによって細菌は少ない。
歯垢は食後 8時間くらいから作られはじめ、 48時間程度からがっちりと固定されはじめる。
食後に焦って歯みがきをする必要はなく、口をすすぎ、歯間ブラシやデンタルフロスで菌のエサになる食べかすを取り除くことをしっかりと。
 
・舌苔は無理にこすらない
口臭を気にして、歯みがきのついでに舌を磨いていている人もいるだろう。
しかし、これは NG
無理にこすることで粘膜を傷つけてしまい、味覚障害やさらなる口臭悪化を引き起こす可能性がある。
極端に舌苔が多い場合を除いて特別なケアは不要だ。
どうしても磨きたい人は専用のブラシやガーゼなどでやさしく。
舌苔が多い人で 11回。
そうでない人は週 1程度で十分。
 
・歯磨き粉はなくてもいい
歯磨き粉には基本的に発泡剤がはいっている。
泡立つことで磨いた気になってしまうし、長時間、磨いていられないため、磨き残しがでてしまう。
また、歯を白くするための研磨剤や界面活性剤入りの歯磨き粉でこすりすぎると、歯の表面が削れ、着色汚れやにおいの原因になるほか、知覚過敏になってしまうことも。
研磨材や発泡剤が配合されていないゲル状のものを、ちょこっとだけつけて磨こう。
なんなら、つけなくてもいいほど。
歯みがき粉は使えば使うほど、口の中がきれいになるというものではない。
 
・歯間ブラシやフロスでの歯間ケアは必須
歯ブラシだけで落とせる歯垢は、 6割程度。
デンタルフロスや歯間ブラシを使うと、これを 8割にあげることができる。が、歯間ケアを日常的に行っている人は少ない。
 
みなさんの口臭はどうでしょう?
 

「歯を磨いて・・・」
こんな記事がありました。
歯科医院には歯を磨いてから行くべし…2つの理由がある。
 
【Q】歯を磨かないで歯医者さんに行ったら叱られてしまいました……。
【A】歯科医院には、歯を磨いてから行くのがマナーです。
仕事帰りなどで磨けなかった場合、ほとんどの歯科医院には化粧室や洗面台があると思いますので到着してから磨かれればいいと思います。
 
では、なぜ磨いてから行かなくてはいけないのでしょうか?
理由は2つあります。
①まず、予約は基本的に30分間で取られていることが多く、歯が汚れている患者さんはクリーニングしてからの治療開始となり、その分処置時間が減ってしまうというデメリットがあります。
②もうひとつは心情的な話になりますが、歯科医師も人間ですから、汚い状態で来た患者さんにはいい気はしないということです。
それがどういうことか、歯科医師になったつもりで想像してみてください。
また、肛門科を受診した際に、汚れたまま行く人はいないと思います。
 
治療は双方の協力があってこそ、うまくいくものと考えています。
大切な歯をなくさないために二人三脚で頑張りましょう!

「デンタルフロス」
皆様、明けましておめでとうございます。
本年もこまば歯科をどうぞ宜しくお願い致します。
さて、年末年始でおいしいものをたくさん食べられたかと思いますが、食後の歯ブラシはしっかり行っていましたかでしょうか?
歯磨きは歯ブラシだけじゃありません!
今回はデンタルフロスについて記載しました。
 
歯ブラシだけでは歯と歯の間は十分に磨けず、プラークが残りやすく、むし歯や歯周病に罹りやすくなる。
そこで大切なのが、「デンタルフロス」です。
 
まずデンタルフロスとは何でしょう。
デンタルフロスとは、細いナイロン繊維からできている糸で歯間部の清掃に使用します。
歯と歯の間入り込むため、プラークを効率よく取り除けます。
 
糸まきタイプとホルダータイプの違いは?
●デンタルフロスには、糸まきタイプとホルダータイプ(糸ようじ)の2種類があります。
糸まきタイプは、必要な長さを切り取り、指に巻き付けて歯と歯の間を清掃するタイプ。
●ホルダータイプは、ホルダーにデンタルフロスを取り付けたタイプで、指の操作が難しい人や初めて使う人に適しています。ホルダータイプには、下顎前歯に使いやすいF字型と、上顎前歯や臼歯に使いやすいY字型があります。
使う部位に合わせて使いやすいタイプを選びましょう。
 
デンタルフロスを使うメリットは?
歯間部は、歯ブラシの毛先が届きにくいためプラークが残りやすく、むし歯や歯周病が発生しやすい部分です。
歯間部のプラークの除去率は、歯ブラシだけなら61%ですが、デンタルフロスを併用すれば79%、デンタルフロスに歯間ブラシを併用すれば85%に高まると報告されています(日歯保存誌、48、272 2005年)。
デンタルフロスや歯間ブラシのケアは、毎日の口腔ケアに欠かせない習慣です。
では、デンタルフロスを使うと血が出るのはなぜ?
 
デンタルフロスを使っているときに血が出る場合があります。
使い方を間違っているのでしょうか?
あるいは歯科医などを受診した方がいいのでしょうか?
 
それは、フロスで出血するのは歯肉以外にはあり得ないので、出血の原因としては二通りが考えられます。
一つは歯肉に炎症があり、そこにフロスが触れたことにより出血する場合があります。
歯肉には細菌を排除するためにさまざまな血液成分が集まってくるため、腫れて出血しやすくなっています。
フロスは炎症の原因である歯や歯根の表面に付着している最近を除去するために使うわけですが、その際に周囲の腫れている歯肉に触れてしまうことがあります。
むしろ全く歯肉に触れずに使うことは難しいかもしれません。
腫れている歯肉は易出血性(容易に出血する)なので、フロスが触れたところから出血してしまうことがあります。
 
二つ目は、誤ったフロスの使い方のために、歯肉が裂けて出血する場合です。
歯肉に炎症はないのですが、フロスが歯や歯根面に沿っていなかったり、沿っていても余りにも深く歯肉方向へ押し入れて使用したために歯肉が裂けて出血してしまうことがあります。
糸や紙でも指先が裂けてしまうことがありますが、これと同じことです。
 
私の経験から言うと、几帳面に歯の清掃をする方のほうが起こしやすいケースです。
しっかり汚れをそぎ落とそうと力を入れ、歯肉が裂けてしまい、そのことで歯茎に違和感を持ち“汚れが残っているのかな?”と思いさらに深くフロスを入れるので重症化してしまうこともあります。
どちらも出血するということは何らかの異常があるわけですが、出血が長く続くようなら歯科医で診てもらうことをお勧めします。
またデンタルフロスの使い方が分からない場合は、歯科医師や歯科衛生士に相談してください。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは動画「デンタルフロスの使い方」を公開しています。
ぜひ参考にしてください。

「感染の窓を知っていますか?」
むし歯が一本もない子どもが増えている一方、たくさんのむし歯がある子どもに出会うことも少なくありません。
むし歯の原因であるミュータンス菌は人から人へと感染します。
子どもをむし歯にさせないためには、むし歯菌へ感染させないことが重要です。
むし歯菌に感染しやすいとされる時期は「1歳7カ月から2歳7カ月」です。
これは奥歯が生え、すべての乳歯が生えそろう時期で「感染の窓」と言われます。
 
この感染の窓が開く時期にお子さんの歯をしっかりケアすることは、大切な歯をむし歯から守るために重要です。
「感染の窓」というむし歯になりやすい時期は、歯が生えてくる頃と生え変わる頃と言われています。
この時期に気を付けたいこと、一つ目は保護者ご自身のお口のチェックをすることです。
むし歯があるとむし歯菌も多くなるため、子どもに感染するリスクが高くなります。
二つ目は、子どもと同じスプーンや箸を共有しないことです。
これらを介したむし歯菌の感染を防ぐことが重要です。
最後は、砂糖の入ったおやつを控えることです。
砂糖はむし歯菌の栄養となるため、むし歯菌が増殖するリスクが高くなります。
ほかにもブラッシングの励行や、フッ素の有効利用などもむし歯予防には効果的です。
 
むし歯になりやすい時期は3度ある。
残り二つの時期は6才臼歯(きゅうし)が生えてくる頃、およそ5才後半から6才頃までです。
この時期に一番奥に生えてくる歯のことを6才臼歯といいます。
生えたばかりのこの歯は歯質が弱く抵抗力がありません。
歯肉から顔を出す間際は、特に歯ブラシが歯の表面に届きにくいため注意が必要です。
 
12才臼歯が生え揃う頃
12才臼歯とは、一番奥にある6才臼歯よりさらに奥に生える歯のことで、13才頃までに生えます。
歯ブラシが届きにくく、目視で確認しづらい歯です。
歯みがきが不十分になりやすく、6才臼歯と同じく生えてくる最中にむし歯になる子も多くいます。
 
歯は治しても決して元の状態には戻りません。
また、乳歯は永久歯に比べてむし歯が進行しやすいため、大きなむし歯になると永久歯の生育に影響を及ぼすこともあります。
むし歯にならないよう予防することが何より重要です。
心配なことがあれば歯科医院に相談してみましょう。

「歯の神経の治療ってどんなことをするのか」
そもそも歯の神経の役割、歯髄の役目って?
背骨の内部に脊髄があるように、歯の中心部には、歯髄(しずい)と呼ばれる細かい血管や神経が入り込んでいる場所があります。
一般的に神経を抜くということはこの中心部の歯髄を取り除くことです。
歯の外側から穴を開け、内部の組織を取り除きます。
一般的には細い針金のような道具を歯の中に差し込んで行ないます。
歯髄は、神経だけではなく血管などもあり、その血管を利用して、歯に栄養を送る働きをしています。
その他にも、虫歯の細菌が歯の内部に侵入しようとするのを、防御しようとする働きなどもあります。
 
歯の神経(歯髄)を抜く効果・メリットは?
① 歯の知覚が全くなくなる
虫歯で痛くなったり、冷たい水がしみたりなど、神経がなくなれば全く感じなくなります。
② 病気の進行を食い止められる
神経がある部分は歯の内部の通路の役割もするため、虫歯の細菌が歯の内部に進行し、その先の根の先の骨まで侵してしまうのを防ぐことができます。
 
歯の神経(歯髄)を抜くデメリット
① 歯が脆くなる
神経を取るとその周辺の細かい血管まで取ることになるので、当然栄養分が歯に行き届かなくなり脆くなります。
そのため歯の寿命も短くなりがちです。
② 歯の色が変色する
神経を取った歯は、白ではなく褐色が目立つようになります。
この場合、特殊な方法を用いて、神経を取った歯のホワイトニングができることもあります。
③ 数年先に痛くなることもある
神経を取ってしまえば一生涯、歯の痛みを感じないで済むなんてことはなく、神経を取った後の空間が感染を起こすと、数年が経過してから、
痛みや腫れが出る可能性がリスクとして残ります。
④ 治療期間が長くなり、費用もかかる
神経を抜く治療は、治療期間も長く、元の歯と同じような色や形にするために費用がたくさんかかります。
一般的に歯の寿命を考えるとメリットよりもデメリットの方が多くなります。
しかし歯の痛みがひどければ、痛みを取る方がメリットがあると判断するため神経を取ります。
 
歯科医に「歯の神経を抜くメリット」はあるか?
① 歯科医院では毎日のように神経を取る治療が行なわれています。
そのため神経を取ることに何かメリットがあるんじゃないか?と思われる方もいるようですが、そのようなことは全くありません。
② 神経を取る治療は、高度な技術が必要で時間や期間もかかる半面、実は治療の単価は低く抑えられているため、一般的に(神経を含めた)根の治療は治療回数が増えるほど、歯医者さんの収入には、つながらない傾向があるのです。
このため根の形が複雑で、長期にわたって根の治療を行なっている場合は、実はすごく良心的だといえます。
 
歯の神経の役割と、歯の神経を抜かなければならない場合のメリット・デメリットを知って、納得できる歯科治療を受けるようにしましょう。

「乳歯の生え変わり~抜けない乳歯は要注意」
5歳から6歳ぐらいの幼児をお連れの親御さんが来院されて「下の前歯の後ろから歯が生えてきて、変な歯並びになっているから早く抜いたほうが良いですよね?」と心配され、相談を受けることがあります。
 
まず、子供の歯(乳歯)と大人の歯(永久歯)の生え変わりの仕組みを簡単に説明すると、乳歯の根元で永久歯が少しずつ歯茎の表面に生えようとすると、乳歯の根っこがどんどん溶けて短くなって、顎の骨の支えが無くなり、最後は歯茎に乗っているだけの状態になり、何かの拍子にポロッと抜けます。
 
急いで乳歯を抜かなくても、後ろから生え始めた永久歯の前歯が少しずつ舌の力に押されて、唇の方へと移動していきます。
歯茎に乗っているだけの状態の乳歯はそれに押されてもっと前に倒れ込むようになり、その間にほとんどの乳歯は抜けているでしょう。
そのため、本来グラグラ動いている乳歯は永久歯の歯並びにはほとんど影響がないので急いで抜く必要はありません。しかしながら、気になってしまう場合は抜いてしまっても良いでしょう。
 
はたまた逆に乳歯がグラグラ動いていない場合は要注意です。
乳歯の根っこが溶けきれず、しっかりと根を張っている時、次に生えるべき永久歯はその乳歯の根っこに邪魔されて、正しい位置で生え変わる事ができない場合があります。
その際は歯医者さんでエックス線を撮影していただき、乳歯の根っこの長さを確認してもらい歯を抜く必要があると思います。
場合によっては永久歯がない場合もありますので、確認してから抜歯に至ります。
 
グラグラ動いている乳歯でも例外の場合があります。前歯ではなく奥歯に良くみられますが、奥歯の乳歯は根っこが2または3本あるので、その根っこのどちらかが溶けきれず根を張っている場合です。
この場合は乳歯と永久歯のグラグラ動いている場所から食べかすなどの汚れがたまり永久歯が虫歯になる可能性があります。その場合も抜く必要があると思います。
 
その他、永久歯への生え変わりの時期に疑問が生じた際は、ご自身だけで悩まず、一度歯医者さんにご相談してください。

「かみしめは呑気症の原因の一つです」
げっぷがしょっちゅう出る、おなかが張って苦しい、胃がむかつくなどの症状に悩んで受診しても、特に異常は見られない。
こうした症状がある人は、歯を食いしばることにより空気をたくさんのみ込んでしまう「かみしめ・呑気(どんき)症候群」かもしれない。
 
●上下の歯が接触
人間の上下の歯は、普段、口を閉じているときでも数ミリの隙間が保たれている。
しかし、歯列接触癖(TCH)といって、無意識に上下の歯を接触させる人がいる。
スマートフォン操作に夢中になって常に下を向いている人や、不安・ストレスを抱えている人などに多い傾向があります。
 
●げっぷやおなら、胃のむかつきや膨満感が出現
上下の歯を合わせると舌が上あごに押し当てられ、唾液が舌の上からのどへ流れ、無意識に飲み込んでしまう。
唾液と一緒に空気も取り込むことで、胃に空気がたまる。
そうすると、げっぷやおならが増えるほか、胃の膨満感、げっぷとともに胃液が逆流することによる胃のむかつきなどの症状が表れる。
また、歯をかみしめることにより、筋肉に過度の負担が掛かり、顎やこめかみ、肩、首、目の奥、頭などに痛みを覚える場合もある。
 
●マウスピースが有用
空気が原因なので、受診しても胃などの内臓に異常が見つからず、原因不明と言われるケースが少なくありません。
げっぷやおならが常に出ることで、人に会うのがおっくうになりがちです。
噛みしめるという動作は、食事のときには普通におこなっていますが、短時間なのでほとんど支障はありません。
それよりも問題なのは、日常生活のなかで無意識に、かつ慢性的におこなっている噛みしめです。
噛みしめるというと、食いしばるイメージをもたれる方もあるかもしれませんが、実際には上下の歯を閉じているという程度の意味です。
 
私たちは緊張や不安などがあると、知らずに歯を噛みしめています。
また、スポーツをしたり、重い荷物を運んだり、仕事を頑張ろうとしたときなどにも、歯を噛みしめます。
あるいはもっと軽い作業、たとえばパソコンや手仕事などのデスクワークで、姿勢がうつむきになると、軽く歯を噛みしめたり、舌を上あごに押し付けていることも少なくありません。
こうした慢性的な日常習慣が、呑気症や噛みしめ・呑気症候群のリスクとなっています。
 
かみしめ・呑気症候群は、歯のかみしめが原因なので、歯科を受診して治療する。
歯がすり減る、舌や頬の内側に歯で圧迫された跡が残るといったTCHの特徴を基に診断し、治療では空気をのみ込む頻度を減らすために、「スプリント」と呼ばれる透明のマウスピースのような器具を歯にかぶせる。
スプリントにより上下の歯の接触が避けられるとともに、無意識だったかみしめを意識するようになる。
また、「歯を離す」などと書いた張り紙をしておくのも有効だ。
下を向かない、ガムをかまずに口の中で転がすなどによっても、上下の歯の接触を防ぐことができるという。
不安やストレスが原因と思われる場合は、抗不安薬や抗うつ薬、漢方薬などを使用することもある。
げっぷが増える病気には胃炎や胃がんがあるので、まず内科を受診してください。
原因が分からず長く悩んでいるようであれば歯科医に相談するとよいでしょう。

「釧路湿原マラソン」
今年も30㎞マラソンに参加し無事完走しました。
コースの変更や、釧路にしては、かなり気温が上がったことでなかなか練習通りにはいきませんでしたが、故障なくゴールを目指し走りきることができました。
やはり日焼けは今年もばっちりしました。
 
途中、沿道で応援してくださいました皆様には感謝申し上げます。
今年はさらに北海道マラソンにも出場予定(フルマラソンは初参加)なので、
こちらも無事完走できるよう、残り少ない練習日を活用していきたいと思います。

「最近、入れ歯のにおいが気になる・・・」
入れ歯のにおいの原因
日々の口の中の食べかすやプラーク(歯垢)、そこに集まってきて繁殖した細菌などです。
つまり、においがするということは、こうした汚れが十分に取れていないということです。
 
部分入れ歯と総入れ歯(総義歯)があります。
部分入れ歯で汚れがつきやすいのは、歯に入れ歯をひっかけるための金属部分。
総入れ歯では、歯ぐきにとりつける部分の床(しょう)の部分です。
そして、歯と歯の間にはどちらの入れ歯も汚れがつきやすいです。
 
食べかすなど目に見える汚れは水でさっと洗えば取れるかもしれませんが、染め出し液で染めると全体に色がつき、プラークだらけであることがわかります。
目に見えない汚れは実は、床に使われるレジン(プラスチック)に付着しています。
レジンは「多孔質(たこうしつ)」といって、顕微鏡で見ると目に見えない穴がたくさん開いています。
この穴の中に汚れや細菌が入り込むので、穴の中が清潔にならない限り、においはなかなか抜けないということにもなります。
 
清掃方法
まず、食事の後には入れ歯を取り外して、歯ブラシでよく磨くことは基本中の基本。
ただし、天然歯用の歯みがき粉を使ってはいけません。
研磨剤が入っているので、こするとレジンの部分に傷がつき、ますます汚れや細菌が入りやすくなります。
ぜひ、入れ歯専用の泡状の洗浄剤をつけてください。
 
次に入れ歯洗浄剤を使って、残っている目に見えない汚れを取り除きます。
入れ歯洗浄剤を入れた水に入れ歯を浸しておくと、時間の経過とともに、レジンの穴に入り込んでいる汚れが洗浄、殺菌されていきます(なお、入れ歯を熱湯で煮沸する人もいるといいますが、それはNGです。
高温によって変形する危険もありますし、劣化するとさらに細菌が繁殖しやすくなります)。
 
入れ歯洗浄剤は毎日使用を推奨
有名な入れ歯洗浄剤のメーカーが行った実験では、においの原因菌除去率は入れ歯をつけて5分間で99.9%という結果でした。
そして、以前は週に1回程度の使用がすすめられていましたが、今はメーカーも歯科医師も「毎日の使用」を推奨しています。
背景には、入れ歯を使っている方の年齢が高くなってきたことがあります。
高齢になると歯ブラシでのケアがおっくうになります。
歯ブラシを使いたくても手が動かしにくくなってうまくいかなくなったり、要介護の方では家族にやってもらっているケースもあるでしょう。
 
さらに入れ歯についた汚れや細菌は口臭だけでなく、むし歯や歯周病、そして高齢者の死亡の原因となる誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の引き金になります。
こうした観点から、手軽でかつ、洗浄効果の高い入れ歯洗浄剤のこまめな使用が推奨されているのです。
実際、歯ブラシでていねいに磨くのは大変ですが、入れ歯洗浄剤でのケアは楽ちん。
メーカーによってお値段は異なりますが、(100錠で800円くらい)、うまく取り入れていただけるといいと思います。清潔な入れ歯を口に入れるのは気持ちがいいものです。
 
なお、入れ歯に長期間にわたって蓄積したたばこのヤニ、茶シブなどは専用のブラシや入れ歯洗浄剤ではなかなか落ちにくいもの。
歯石も同様です。
このような場合は無理に取ろうとすると入れ歯が破損することがあるので、歯科医院でやってもらいましょう。
 
入れ歯は作って終わり、ではありません。
合わない場合の調整や残っている歯のむし歯、歯周病予防のために、定期的な検診をする必要があります(これが快適に使うためのコツでもあります)。検診の際には入れ歯の汚れ具合もチェックしてもらえるので、においの心配があれば遠慮なく相談してください!

「金属アレルギー」
日本人の10人に1人が発症しているといわれるほど一般的な皮膚疾患の「金属アレルギー」。
ピアスやネックレスをつけることに苦労する女性も少なくないはずです。
また、金属との接触で発症する人以外にも、銀歯や、特定の食品を食べたことで発症する人もいるようです。
 
「金属アレルギーを発症する仕組み」
人体には、外からの異物(アレルゲン、アレルギーを引き起こす物質)に対抗する物質(抗体)を作って体を守ろうとする免疫機能があり、体にとっていいものかどうかを判断して取り除いてくれます。
この免疫機能がうまく働かず、本来有害でないものに対して過剰に反応することがあります。
 
例えば花粉症では、本来有害ではない花粉に対して過剰に反応を起こして鼻水や涙などの症状が現れます。
この現象を『アレルギー』といいます。
アレルゲンが皮膚に接触すると、汗などでその成分が溶け出して体内に入ります。
すると、自身の免疫細胞がそのアレルゲンを記憶します。
これを『感作された』といいます。
その後、同じアレルゲンに再び接触すると、免疫機能が過剰に働いて皮膚炎などを起こします。
金属アレルギーもこのメカニズムで発症します。
 
「金属に触れることだけでなく、体内に取り入れることで発症するケースもある」
金属アレルギーには、2種類の病態があります。
1つ目は、金属製品が直接皮膚に接触することで生じる『アレルギー性接触皮膚炎』で、いわゆる『かぶれ』です。
金属が触れている部位が赤く腫れるなどの症状が起きます。
 
2つ目は、金属のアレルゲンに感作された人の体内にアレルゲンが入ることで、全身にアレルギー反応が起きる病態です。
 
歯科治療に使った金属が溶け出したり、食事中に含まれる金属が口腔(こうくう)粘膜や消化管から吸収されたりしてアレルギーを発症し、全身にさまざまな発疹が出ます。
この病態を『全身型金属アレルギー』といいます。
いずれの病態も、アレルゲンに感作されていた人のみが発症し、感作されていない人がアレルゲンに接触しても金属アレルギーは起きません。
 
「歯科治療で入れた銀歯が溶けてしまう?」
銀歯の多くは『合金』という数種類の金属を混ぜ合わせたものからできています。
銀歯は口の中の唾液、および食物や飲料の酸、口腔内の常在菌が出す酸などに常にさらされており、銀歯に含まれる金属は、ごく微量ずつですが、イオンとなって唾液に溶け出します。
それが口腔内の粘膜や消化管を通して吸収され血液に流れ込んで、全身に取り込まれ、金属アレルギーを引き起こすことがあるのです。
 
「金属を含む食品には、どのようなものがあります」
例えば、豆類やナッツは亜鉛、マンガンなどを含んでいます。
金属を含む代表的な食品は次の通りです。
(1)ピーナツ、枝豆、大豆、小豆など豆類
(2)玄米、ソバ、米ぬか、小麦胚芽など穀類
(3)ワカメ、昆布など海藻類
(4)ホウレンソウ、タマネギ、ワラビなど野菜
(5)牛乳、チーズなど乳製品
(6)カキ、シャコ貝、カニ、タコなど魚介類
(7)チョコレート、ココア、紅茶、ワイン、コーヒー、タバコ、香辛料など嗜好品
(8)ナメコ、ヒラタケ、マッシュルームなどキノコ類
もちろん、これらの食材は、体にとって大切な栄養素をたくさん含んでおり、体に必要な金属はきちんと取る必要があります。
金属を全く摂取しないようにすることは不可能なので、金属アレルギーの治療や対処法が必要になります。
 
「金属アレルギーにより引き起こされる疾患とは」
顔面・口の中に起こる症状
口内炎、歯肉炎、口唇炎、舌炎、口腔扁平苔癬(口腔粘膜における慢性の角化異常を伴う病変のひとつ)など
 
全身の症状
アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、扁平苔癬、皮膚そう痒症、ステロイド皮膚症、脱毛症、掌蹠膿疱症(手のひら・足の裏、あるいはその近辺にできる小さな水疱)など
 
「症状が出れば歯科金属が原因か?」
歯科治療後に口腔内に症状が発生した場合、歯科金属との関連性が強くなります。
とはいえ、顔面・口腔内に症状が出たからといって、歯科金属だけが原因とは限りません。
症状を正しく把握し、原因を突き止めるためにも、パッチテストなどのしっかりとした検査をおこなうことが、治療への第一歩といえるでしょう。
 
「歯科での対応は」
パッチテストでアレルギーのある金属元素が判明すると、それがお口の中にあるのかを調べる検査をおこないます。
お口の中の金属は外さずにそのまま検査が可能な方法でおこないます。
具体的には、タービンを使って金属の表面を擦(なす)り、金属粉末を採取して分析します。
アレルゲンが口の中の歯科金属に含んでいると判明した場合、これらを除去する必要があります。
具体的には詰め物・被せ物・入れ歯などを、アレルゲンフリーの材料(セラミックやプラスチック)への交換治療をおこないます。

「葛巻歯科診療室の閉院」
令和元年5月31日をもちまして、釧路市北大通で開業していた父の医院を閉めることになりました。
 
私が生まれる前に開院し、40年近く患者さんに診療を提供し、北大通をほぼ半世紀にわたり見守り続けた診療室した。
私が大学を卒業して4年後、釧路に戻ってきて父と一緒に診療をしていた診療室でもあります。
一緒に働いてくれたスタッフ、通院していただいた患者さん、皆さんに感謝の気持ちを込めてありがとうございましたと一言申し上げます。
診療室の名前は違えど、祖父・父の意思を引き継ぎ、私はこまば歯科をこれからも続けていきたいと思っております。

「虫歯や歯周病だけじゃない、お口の中の異常について」
わが国での疾患別死因を見ると、悪性新生物(がん)は約30%を占め、次いで心疾患、肺炎と続きます。
がんの部位別の死亡率(人口10万対)で咽頭を含む口腔(こうくう)は男性8・6%、女性3・3%といわれています。
 
口腔がんは患者自身の目で見ることができる部位であるにもかかわらず、治療の開始が遅れ、不幸な結果となることがしばしばみられます。
一命をとりとめたとしても発音障害、嚥下(えんげ)障害、審美障害などを残すこととなります。
 
一般に口腔がんの治療成績(5年生存率)は30~70%。早期がん(転移を認めない局所に限局したがん)では医療機関で治療法も異なり、一概には言えませんが、手術を主体とした治療法で5年生存率は80%を超えるとの報告もあります。
早く見つけて治療を始めることで治癒するといわれています。
 
口内炎で最も頻度の高いものにアフタ性口内炎があります。
周囲が赤く腫れ、内部が黄色い楕円(だえん)形の痛みを伴う小潰瘍で、通常、ステロイド軟膏を塗ることにより1週間から10日程度で治癒します。
アフタが大きく、潰瘍が深い場合には治癒までに時間を要し、また口腔がんと似たような所見を呈することがあり、専門医での鑑別診断が必要となります。
治りが悪いものは注意が必要です。
 
また、歯の崩壊が著しいむし歯や不適合な金属冠、不適合な義歯などによる慢性的な機械的刺激により生じる褥瘡(じょくそう)性潰瘍があります。
アフタ性口内炎と同様に潰瘍は痛みを伴う楕円形、あるいは不定形で、周辺は発赤し、浮腫状の所見を示します。
本症は、一般に原因を取り除くこと(むし歯の処置、不適合な金属冠の鋭利な部分の研磨や金属冠の除去、不適合な義歯の調整)により症状が改善、治癒することが多く、これらのことから口腔がんかどうか、鑑別します。
お口の中にわずかでも違和感を認める場合には、かかりつけの歯科医院を受診しましょう。
 
次のような症状や状態が1つでもあれば、歯科医院で詳しい検査を受けてください。
□ 粘膜が赤や白に変色しているところがある
□ なかなか治らない口内炎がある、もしくは口内炎が何度もできている
□ 腫れていたり、潰瘍やただれを起こしたりしている
□ しこりのようなものがある
□ 詰め物や被せ物、虫歯がある箇所に傷や口内炎のようなものがある
□ 入れ歯が当たって傷になっているところがある

「痛っ!!」食事中に思わず 頬の内側をかんでしまう原因と予防・対処法
頬の内側をかんでしまう理由は?
おいしい料理を食べているとき、思いがけず頬の内側をかんでしまい、気分が台無しになった経験はありませんか?
かんだことでできる口内の傷が激しく痛み、その後の食事や会話に支障が出ることもあります。
 
なぜ、思いがけず頬の内側をかんでしまうのか、3つの要因
 
1つ目は、歯の形や歯並び、かみ合わせなど、生まれ持った特異な口腔内環境です。
生えてきた歯がとがっていると、頬をかんで傷がつきやすくなります。
先天欠損(生まれつき歯がない部位がある)や過剰歯(生まれつき歯が多い部分がある)など歯の数の異常、乱食い歯や出っ歯など歯並びの異常、骨格の異常が関係する歯のかみ合わせの異常(不正咬合=ふせいこうごう)が原因になることもあります。
 
2つ目は、虫歯の治療や口腔粘膜の異常などによる口腔内環境の変化です。
虫歯の治療で口腔内に詰め物やかぶせ物などをしますが、治療により歯の形態が変わると頬の内側をかんでしまうことがあります。
口内炎などの口腔粘膜炎や親知らずが原因となって生じた歯肉の炎症、虫歯や加齢で歯が抜けてくるような場合に、痛みをかばうために普段とは違うかみ方をすることも原因として考えられます。
 
3つ目は、口腔内以外の要因(ストレス、薬、アレルギーなど)から生じる口腔内環境の変化です。
例えば、ストレスによって生じる歯ぎしりが挙げられます。
また、服用中の薬の副作用として口腔の乾燥が生じる場合、粘膜表面の潤滑作用が失われやすく、かぶせ物に使われている金属や歯科治療で使用する材料に対するアレルギーがある場合は、頬の内側の粘膜などに炎症が生じることでかんでしまうことも考えられます。
 
口腔内は歯という硬い組織と、舌、頬、歯肉などの軟らかい組織が共存している場所で、両者が異常に触れ合った場合、軟らかい方が負けてしまいます。
さらに口腔内から肛門までは1本の管でつながっており、口腔粘膜は胃腸など全身の異常が粘膜炎として出現しやすいのです。
 
体重の増加や加齢による頬のたるみは、頬の内側をかむことに関係するのか?
体重の増加も関係しますが、減少も関係します。
体重の増減によって頬の筋肉、脂肪の量が変化することで、粘膜の膨らみが変化するからです。
また、口腔粘膜全体の加齢による厚みの減少や、粘膜下組織の筋肉、脂肪の量が減少することで生じる頬のたるみも関係します。
加齢により、食べ物をかむ時に使われる筋肉や表情筋が衰え、頬のたるみが現れます。
テレビ番組や雑誌でも表情筋のトレーニングがよく取り上げられますが、表情筋のトレーニングは、ほうれい線やしわの改善だけではなく、口腔機能の低下を防ぐ効果も期待できます。
 
頬の内側をかむ原因がある場合、どのように対処したらよいのか?
もともとの歯の形がとがっていることで、頬の内側を習慣的にかんでしまう場合、歯のとがりを少し削って当たり方を滑らかにすることで、解決できる可能性があります。
歯並びやあごの骨格が影響している場合は、矯正治療も含めた一連の治療計画の中で対処法を検討していく必要があるため、歯科医院での相談が必要です。
 
次に、詰め物やかぶせ物が原因となっている場合、部分的な調整や修正で改善できる可能性があります。
口内炎や親知らずが原因の場合は、状況に応じた炎症を取り除く治療が必要となるため、市販薬などでなかなか治らない粘膜の炎症があれば歯科医院で相談しましょう。
歯ぎしりが原因の場合、ナイトガード(マウスピース)を作ることも治療法の一つです。
薬の副作用やアレルギーについては処方医との相談、高次医療機関での検査などが必要となる場合もあるため、まずはかかりつけの医師、歯科医師に相談しましょう。
 
それでもうっかり、頬の内側をかんでしまった時の対処法は?
患部を再びかまないように気を付け、口内炎ができてしまった場合、市販のうがい薬や口内炎治療薬を使用するのが対処法です。
しかし、1週間以上口内炎が続く場合や、なかなか治らない場合は医療機関に相談しましょう。
また、血をサラサラにする薬を内服している場合、かんだ場所からの出血が続くことがあります。
清潔なガーゼやタオルなどで患部を口腔内と口腔外から挟むようにつまんで、少なくとも10~15分程度、圧迫止血を試みましょう。
それでも止血困難な場合は、やはり医療機関での相談が必要です
 
頬の内側をかまないために、普段からできることは何ですか?
生まれ持った特異な口腔内環境、そして内的、あるいは外的要因に伴う口腔内環境の変化を知り、口の中を清潔に保つことです。
口の中の汚れは、粘膜の炎症だけでなく、虫歯や歯周病などを引き起こす原因となります。
どこの歯にかぶせ物をしているのか、歯並びがガタガタしている部位はないかなど自分の口腔内環境を知ることが大切だと思います。

「子供の歯ぎしり」
こどもが寝ている時に「ぎっ、ぎっ」と歯と歯を擦る音がすると、「小学生なのに歯ぎしりをするなんて、なにか問題があるのでは?」と心配になりますね。
大人の場合はストレスや噛み合わせの悪さが指摘されるため、子どもでも同じように考えるかたも多いかもしれません。
 
「歯ぎしり」といっても、睡眠中に見られるタイプ(非機能的な運動)と起きているときに見られるタイプ(ストレスに関連)があります。
さらに、歯ぎしりには、ギリギリと擦り合わせるものやギュッとかみしめるもの、カチカチと音がするものなどがあります。
意外に思われるかもしれませんが、実は歯ぎしりは小児の方が頻度は高いとされ、歯が生え始める生後6カ月ごろから始まり、中学生くらいまで続くこともあります。
また6歳ごろに多く見られるとの報告もあります。
 
歯ぎしりの要因はさまざまですが、これは次に生えてくる歯の位置やあごの位置を決めようとする生理現象なので、心配いりません。
たいていは、成長に伴うかみ合わせの変化に順応するために、歯をすり合わせてかみやすいポジションをつかんでいるのです。
心理的な要因としてきょうだいが増えた、親との口論、転校などによるストレスや不安があります。
局所的要因として外傷性咬合(こうごう)(歯ぐきなど歯の周りの組織に悪い影響を与えるかみ合わせのこと)、乳臼歯の交叉(こうさ)咬合などが考えられますが、まだ明確なことは分かっていません。
生活習慣を変えたりストレスを軽減させることで改善されることもあります。
 
心配のない歯ぎしり…成長段階に必要なもの
小学生の段階では、まだ乳歯と永久歯が混在し、顎も成長の途上にあります。
顎の成長に合わせて歯の位置も変わるため、その調整に歯ぎしりが必要ではないかと考えられています。
これが、特に心配する必要のない歯ぎしりです。
実際、10歳までの子どもの40%程度が、夜間に歯ぎしりをしているようです。
歯ぎしりをしているといっても、大きな音が出ず保護者が気づいていないパターンもありますので、実際にはもっと多くの小学生が歯ぎしりをしている可能性があると言えるでしょう。
 
心配な歯ぎしり…起きている時も歯を噛みしめるようなしぐさをしている
一方、少し心配なのが起きている間も歯ぎしりをしている場合です。
音がはっきり聞こえなくとも、歯を噛みしめる・食いしばるようなしぐさをしていたり、あるいは寝ている間もごく頻繁に強い歯ぎしりをしていたりする子どもは、歯並びの調整以外の理由で歯ぎしりをしているかもしれません。
日中強い精神的ストレスを受けている、歯並びに異常がある、顎の位置が不安定になっているなどの可能性があります。
 
「顎の位置」と考えると難しくなりますが、要は「左右対称の姿勢がとれているか」ということが重要です。
頬杖をつく癖がある、片方の奥歯ばかりで食べ物を噛んでいる、寝るときに横向き(しかも同じ方向ばかり)に寝ている、全体的に姿勢が悪い、といったことが、顎の位置を不安定にしてしまいます。
まずは、お子さまにこのような生活習慣がないかどうか確認し、改善するようにしましょう。
よく噛んで食べ、顎の成長を促すことも必要です。
そのうえでしばらく様子をみてください。
 
しかし、歯科的には歯ぎしりを放置することによって歯の咬耗(こうもう)、歯の亀裂、乳歯の早期脱落、咬合高径の低下による不正咬合などを来すこともあるので、改善が見られない場合は歯科医院での定期的な経過観察(特に乳歯の萌出(ほうしゅつ)時期、乳歯と永久歯の交換時期)や自宅での心理的アプローチ(特に起きているときの歯ぎしりの場合)が必要です。
経過観察の結果によっては小児であってもナイトガードの装着などで対応していく必要があります。

「味覚障害」
皆様、明けましておめでとうございます。
本年もこまば歯科スタッフ一同、皆様のお口のケアを手助けできるよう精進していきます。
 
さて、年末年始は美味しいものをたくさん食べてしまう時期ですそんな中で、あれ?味がわからない!
普段食べている食事の味付けが急に変わった!
なんてことはなかったでしょうか。
もしかしたら味覚障害かもしれません。
 
食物を咀嚼(そしゃく)すると味物質が唾液と混じって口の中に広がり、舌の味蕾(みらい)の中にある味細胞で感知されます。
その情報が脳に伝わることで、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味を認識します。
 
味覚障害は、「味が分からない」「何を食べても嫌な味がする」「口の中に何も入っていないのに嫌な味がする」などの症状があります。
味覚障害があると食欲が低下して食事量が減り、栄養不足になることがあります。
味覚障害は、味そのものの感覚がにぶくなる「量的障害」と、味覚が変化してしまう「質的障害」に分けられます。
 
量的障害
味覚障害の患者さんのほとんどは量的障害とされています。
量的障害が起こると、味の感覚が徐々に低下します。
ゆっくり進行するため、患者さん自身でも気付きにくいことがあります。
進行すると味覚消失に陥る恐れがあります。
また、甘味・塩味・酸味・苦味などのうち特定の味が感じられなくなることもあります。
そのときは「蜂蜜の味がしない」「醤油をつけたはずなのに、つけた気がしない」などの症状がみられます。
 
質的障害
質的障害が起こると、味覚そのものは感じられても、味の感じ方が正常とは異なる状態になります。
たとえば、口の中になにも入れていないのに、苦みや酸味などを感じたり、変な味がすると感じたりします。
また、「醤油が苦いと感じる」「レモンが塩辛いと感じる」など、本来の味とは異なった味覚として自覚することもあります。
 
原因は亜鉛欠乏症、全身の病気(糖尿病など)、口腔(こうくう)乾燥、舌表面の異常、神経障害(顔面神経麻痺(まひ)、脳梗塞など)、嗅覚障害、内服薬の副作用などが挙げられます。
その他の原因としては、風邪、舌に付着する白いカスである舌苔ぜったい、うつ病やストレスなどが考えられます。
また、味は中枢神経で感知されるため、脳梗塞や脳出血などにより脳細胞が障害を受けると、味覚障害を発症することがあります。
 
検査は電気味覚検査や濾紙(ろし)ディスク法が代表的です。
血液中の亜鉛濃度測定や、唾液分泌量の検査、舌の衛生状態の確認も大事です。
 
味覚障害の治療は、薬物療法と食事療法が中心となります。
亜鉛不足がみられるときは、亜鉛を含んだ薬剤が処方されます。
味覚障害の状況によっては、抗不安薬や漢方の使用も検討されます。
生活習慣病を予防するという観点からも、適切な治療を受けることが重要です。
 
味覚障害を予防するためには、食事に気を配ることが大切です。
牡蠣・牛肉・うなぎ・ごま・海藻・大豆・卵黄・アーモンドなど、亜鉛を多く含む食品を食べるようにしましょう。
また、摂取した亜鉛が効果的にはたらくよう、日頃からビタミンCや動物性タンパク質を合わせて摂取するように心がけましょう。
 
気になることがあれば歯科・口腔外科で相談してみましょう!

「歯に付いた茶色い汚れ ステイン!!」
歯の表面はツルっとして滑らかに見えますが、実際は顕微鏡で見ると小さな細い溝や穴がたくさんあります。
そして、食事や飲み物による色素が、その溝や穴に入り込みます。
これが歯の着色です。
ですから、一度着色してしまうと歯磨きだけでは簡単には落とせないのです。
 
着色の原因ですが、一つ目は喫煙です。
たばこの成分のニコチンやタールが、喫煙するたびに歯の溝や穴に入り込み着色が生じます。
ニコチン、タールの着色は着色の中でも最も強烈なものです。
 
二つ目は渋味の成分であるタンニンが含まれるコーヒー、紅茶、赤ワイン、お茶などです。
これは、タンニンが歯の成分であるカルシウムや唾液の中のカルシウムなどの金属イオンと結合しやすいためです。
そして歯面を覆う膜(ペリクル層)に付着して残留することで着色が生じます。
中でも、タンニンの量は紅茶が最も多く含んでいるので注意が必要です。
バナナや大豆製品など、一見意外なものにもステインの原因になりやすい物質が含まれています。
 
三つ目はしょうゆ、ケチャップ、ソースなど日常的に摂取する酸性が強い調味料なども着色が生じます。
 
また、着色ではないのですが、加齢によりエナメル質が薄くなった場合や、むし歯の進行により神経が死んでしまうことによって生じる変色もあります。
歯垢が歯に付着することでも着色を引き起こします。
歯垢は淡い黄色をしており黄ばみを目立たせますが、歯ブラシで容易に除去することができるので、着色の中でも比較的早く原因除去をすることができます。
歯垢が付着していると口臭も伴います。
さらに歯垢が長期的に付着していると、虫歯菌が産生した酸によって歯が溶け虫歯の原因にもなります。
虫歯は自然治癒することはないので、歯科医院で治療してもらうしかありません。
 
歯の着色を手軽に落とす方法として研磨剤の入った歯磨(しま)剤や消しゴムなどがありますが、歯の表面を傷つけてしまって逆に着色が生じやすくなる場合があるため、歯科医院で専用の機械や器具を使用して落とすのが一番安心です。

「中心結節」
中心結節とは小臼歯(糸切り歯の後ろ2本の歯)に多く見られる歯の形態異常の一つで、生えたての永久歯の真ん中にとがった突起が生じたものです。
下顎第二小臼歯や第三大臼歯に好発する。
 
この結節(突起)は、大人になるにつれてすり減ってなくなることが多いのですが、まれに何かの拍子で折れてしまうことがあります。
このとき突起の中にも神経が入っているため、突然折れてしまうと神経が出てしまう場合があります。
少しずつすり減れば神経もだんだん退縮するため、痛みを感じることはないのですが、折れてしまうと最初はしみる程度でもだんだん症状が強くなって痛みが生じたり、場合によっては歯の根の成長が止まることもあります。
 
また、しみるなどの症状が出なくても神経が少しずつ腐ってしまい、突然痛みだしたり、歯ぐきが腫れたりすることもあります。
この場合、一見何ともない歯が痛んだり腫れたりするので判断が難しいのですが、レントゲン写真を撮ると根の先に黒い影が写る場合が多く見られます。
 
突起が折れて神経が死んで、一度膿んでしまうと、治療に時間も費用もかかってしまいますが、定期的に歯科医院を受診していれば突然折れないように少しずつ削ることもできます。
折れてしまい症状が出た場合には歯髄の処置が必要ですが、生えたばかりの歯は、歯根が未完成で治療が難しいため、処置後も歯根の変化を定期的にみる必要があります。
痛くなってからの治療ではなく、年2~3回の定期検診で予防をすることが重要です。
心当たりのある方は歯科医師に相談してみましょう。

「ぶつけて歯が抜けちゃった!時の対応は?」
ボールに当たってしまったり、転んで顔を打ってしまったり、まさかの場面は結構ある。
突然の事故で前歯が折れてしまったら、周囲や自分は、どう対処すればいいのか。
 
基本的な対応として、歯が抜けたり、根元近くから欠けたりした場合は、「歯牙保存液」または「生理食塩水」、「牛乳」に浸漬します。
緊急対応としては、最も日常的に身近にあるものとして「牛乳」が良いと思われます。
牛乳がないときは、患者の舌下部に静かに置いて、来院してもらいます。
歯科的には、「歯牙保存液」(ティースキーパー「ネオ」)が最も推奨されます。
小学校や中学校の保健室に常備されているところもあるようです。
 
●牛乳につける理由は?
浸透圧だけでなく、pHも体液に近似しているからです。
●この場合、温度は常温または、体温に近いほうがいいのか?
常温が望まれますが、脱落歯に付着した微生物の繁殖を抑制するため、気温が高い場合は、保冷剤などで冷やした状態が良いと考えます。
●長い時間は持たないと思いますが、最大で何分ほど持つか?
30分以内が望まれます。衛生上というよりも、早ければ早いほど再植できる可能性が高まります。歯根膜(歯を支えている骨と、歯根の間にある薄い膜)の状態によりますが、統計的には60分くらいまでですと予後がいいようです。
●これ以外でも、どのような対応が望ましいか?
ポイントは脱落歯の歯根膜を乾燥させないこと。再植までの所用時間です。
●歯がばらばらに割れてしまった場合など、再植できない場合はあるか?
牛乳に浸けているからOKということ全くありません。歯根膜のダメージの程度で予後が左右されます。
脱落歯の根が破折してしまった場合、特にタテに割れたときは再植できません。
また、歯根膜の乾燥や、感染がある場合は必ずその歯根膜を除去しなければならないため、再植しても正常な経過をたどらず、骨性癒着や歯根の吸収を起こす可能性が高くなります。
 
まとめると...
1.歯の根にはできるだけ触らない。
2.水では洗わない(浸透圧の関係で歯や歯根膜の細胞が傷害されてしまう)。
3.決して消毒薬などには浸けない(歯や歯根膜の細胞が死んでしまう)。
4.砂など汚れがついていても、そのまま保存液や牛乳などに浸ける。
5.根元からきれいに抜けたのではなく、歯が欠けた場合でも、かけらが大きければ使える場合もあるため、欠けた歯も保存液や牛乳などに浸けて持って行く。
6.牛乳もない場合、口腔内の舌下部で保持する。またはビニール袋にそのまま入れるか、手のひらでやさしく持って、歯科医院へ急いで受診。歯が乾燥してしまうので、ティッシュペーパーにはくるまない。
 
実際は、ぶつけた時などは唇を切ってしまったり、歯ぐきから出血していることが多く、慌ててしまいがちです。
また、小さい子供では、口の中が出血していたり、地面に落ちて汚れている歯を口の中に入れて持っていくことは困難だと考えられます。
そのため近くのコンビニやスーパーで牛乳を購入し入れて保存することが一番対応しやすいと考えられます。
 
ちょっとした豆知識ですが知っていると役に立ちますので、頭の隅にでも入れておいていただけると幸いです。

「妊娠中の歯科受診について」
妊娠中の女性は虫歯が増えやすくなります。
①唾液の量が減る。
②食べ物の好みが変わり、虫歯の原因になる甘い物や酸っぱい物を食べたくなる。
③つわりがひどくて歯磨きができない。
④1日中、何かを口にして、お口の中が虫歯になりやすい状態が続く。(食べつわり)
 妊娠中の女性は同時に歯ぐきが腫れたり、出血しやすくなったりします。
 妊娠性歯肉炎や歯周病です。
①つわりで歯磨きができず、汚れが残っている。
②妊娠中は歯周病菌のエサとなる女性ホルモンが約7倍増える。
③歯周病になりやすい30代女性の妊娠が増えている。
 
妊娠期にも歯科治療は行えます。
必要であれば治療は積極的に行ったほうがいいでしょう。
妊娠中は普段よりも虫歯や歯周病になりやすいので、妊娠がわかったら一度歯科医院でご自身のお口の中の状態を確認することをおすすめします。
 
母子手帳にも歯や歯ぐきの状態を記録する歯科検診の欄があります。
赤ちゃんが生まれた直後は、ご自身のことには手が回らなくなってしまいます。
お母さんやお父さん、周りの方のお口の状態が赤ちゃんの虫歯にも関係しますので、妊娠期に正しい知識を身に付けておくことも大切になります。
 
「妊娠中の虫歯治療」
(1)妊娠中の歯科検診のタイミング
妊娠がわかったら早めの受診をおすすめします。
妊娠初期の体調がすぐれない時期や、妊娠後期は診療中の椅子を横にしている体勢がつらいと思いますので、無理は禁物。
妊娠4~5カ月目の安定期の時期で検診を受けると、もし虫歯や歯周病の治療が必要な場合でもすぐに治療を開始することができます。
 
(2)妊娠中に虫歯などの歯の治療
安定期(妊娠5~8カ月)であれば、虫歯も含め歯科治療を行えます。
必ず歯科医師に妊娠していることをお伝えください。
 
(3)妊娠中に歯のクリーニング
丁寧に磨いていても磨き残しがあるものです。
妊娠中は少しの汚れで歯ぐきが腫れてしまいます。
ご自身で取り除けない汚れは歯科医院で取ってもらいましょう。
1~2カ月のペースで通えると理想的ですが、体調に無理のない範囲で構いません。
出産直前まで通われる人もいます。
 
(4)妊娠中のX線写真撮影
撮らなくても治療は行えます。
妊婦さんはレントゲン写真を撮らずに治療をすることが多いです。
歯科用のX線写真は数種類ありますが、基本的に首から上の部分や確認の必要な歯のみの撮影になるので、お腹の中の赤ちゃんには影響はありません。
撮影するときは鉛の防護エプロンをつけて放射線から守ります。
最近の歯科用のデジタルレントゲンの被ばく量は、従来の10分の1と言われています。
心配な人はレントゲン写真を撮らずに治療することもできるので、歯科医師に相談しましょう。
 
(5)妊娠中の麻酔は赤ちゃんに影響するか
歯科用の麻酔は局所麻酔といって、部分的に効くものなので、安定期であれば使用しても問題はありません。
麻酔を使いたくない人は、麻酔をしないでできる範囲で治療を行います。
また、担当の産婦人科医と相談しながら治療を進められますので、不安なことがあれば歯科医師に伝えていただくといいでしょう。
 
(6)妊娠中にお薬
なるべくお薬を飲まないことをおすすめします。
痛みが強いときなど、我慢することでお腹の赤ちゃんに影響が出てしまう場合は、産婦人科の先生と相談のうえでお薬をお出しすることもあります。
特に妊娠初期は赤ちゃんの体が作られるとても大切な時期ですし、胎盤を通って赤ちゃんに影響の出るお薬もあります。
お薬を飲む場合は必ず医師、歯科医師の指示を守ってください。
 
(7)妊娠中の抜歯
なるべくなら避けてください。
緊急性のない場合は出産が終わってからの抜歯をおすすめします。
歯を抜いた後は、感染予防のために抗生物質や、痛み止めのお薬を飲んでいただきます。
特に親知らずを抜いた後は長期間にわたってお薬を飲むことがある点には注意です。
 
(8)寝る体勢がつらい
お腹が大きいと椅子を横にしたときに圧迫されてつらくなることがあります。
椅子を少し起こして治療しますので、つらいときは遠慮なく歯科医師にお伝えください。
起き上がるとき、立ち上がるときはゆっくりと。
また、トイレが近くなったり、つわりで嘔吐反射が出たりすることもあるので、治療を中断したくなったら、歯科医師へすぐにお伝えください。
 
(9)つわりがひどくて歯磨きができない
小さめの歯ブラシ(子ども用でも構いません)を使い、少し前かがみの姿勢でかきだすように歯を磨いてみましょう。
歯磨き粉が気持ち悪いときはつけずに磨いてください。
歯ブラシを口に入れるのもつらいときは、食事の後にお水を飲んだり、口をゆすぐだけでもいいですよ。
キシリトール100%のガムをかむのもいいでしょう。
 
(10)つねに食べているから歯磨きのタイミングがわからない
その都度歯磨きをするのがベターですが、難しければ、食べたら口をゆすぐ、あるいはお水を飲むということをおすすめします。
歯科医院で販売しているキシリトールのチョコレートやガムがお好みに合う場合は、お口に入れるものをそのようなものにかえてみるのもいいでしょう。
 
妊娠期は体の変化に戸惑うこともたくさんあると思いますが、神経質にならなくても大丈夫です。
お腹の中の赤ちゃんのために、無理なくできることをしていきましょう。
 
妊娠中は大事な時期です、治療内容について担当の産婦人科の先生との連携を取ることもできますのでご相談してください。

「釧路湿原マラソン」
毎年エントリー時に心が決まらず、10㎞マラソンに参加していましたが、今年は意を決して30kmマラソンに挑戦してみました。
走ったことがない距離なので練習を頑張ろうとしましたが、走り方のせいか腰が痛くなってしまい、練習では20㎞までしか走っておらず、当たって砕けろの状態で当日を迎えることになりました。
 
そんなこんなで迎えた当日の釧路は温かく、湿度も高めでなんとも走りにくいコンディションでした。
トイレを済ませ、準備運動を終わらせていよいよかとスタートを待っていると、毎度のことながらいきなりスタートのピストルが鳴り響き、スタートを迎えました。
 
あれよあれよといううちに毎年ゴールをしていた10㎞を越えて、スポンジと給水と周りの景色を見ながら何とか20㎞を越えて、
気が付けばスイカを食べながら自分の中での未知の距離をチャレンジしていました。
 
沿道の声援が非常に心強く感じ、止まりそうな足を動かしてくれてくれました。
そして、あと少しあと少しと自分に言い聞かせ関門で止められることなく、遂にゴールまで走りきることができました。
へとへとです。
 
走り終わって自分の顔を見ると真っ赤っ赤!
三時間近く走っただけなのに凄く日焼けしていました。
曇り空だったのに釧路の日差しも侮れないなと思い、今年の挑戦は幕を閉じました。
来年は日焼け止めを塗って頑張りたいと思います。

「アマルガムに関してこんな記事が出ていました」
100年以上前から使われていた、アマルガムという銀歯がある。
無機水銀と、銀や錫などの合金粉末を練り上げたペースト状のものを患部に詰め、患者の口の中で24時間かけて硬化、硬い“銀歯”となる。
材料費も安く、保険診療に使用され、一時期は虫歯治療の8割を占めていた。
ところが「歯に被せた金属が塩分で溶けて、それが体内に入れば、病気が出るだろう。
それで歯科治療の金属アレルギーについて研究を始めたら、実に沢山の患者が出てきました」
 
原因不明とされていた掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)などの皮膚疾患が、水銀、銀、銅、パラジウム、亜鉛、錫、ニッケルなど、歯科治療で使用されている金属のアレルギーによるものがあると明らかにした。
しかし、日本歯科保存学会では、アマルガムは無機水銀なので、水俣病で問題になった有機水銀のような影響はないと説明する。
 
再発した虫歯はコンポジット・レジン修復をお勧めしたい。
削る部分が小さくて済むのが特徴の治療だ。
ただし、技術格差が大きく、治療に時間がかかる割に保険の設定費用があまりに安いため、やりたがらない歯医者もいる。
金属アレルギーの診断を受けた患者は、奥歯の銀歯を、CAD/CAMという、レジンとセラミックのハイブリッド義歯に保険で交換が可能。費用は1歯あたり約1万円(※3割負担の場合)。
金属アレルギーの不安を過度に煽って、高額なセラミックを勧める歯医者もいるので注意したい。
 
上記のような記事が出ていました。
補足すると、
金属アレルギーの症状が出ている方は、金属アレルギーの検査を行っていただき医師の診断書があれば、奥歯に装着されている金属の冠をCAD/CAM冠に変更し装着することができます。
しかしながら、プラスチックの冠であるため、奥歯の噛む力に負けて割れやすい・外れやすいなどのリスクもあります。
そのことで問題が出るケースも少なくありません。
そのため、しっかりと歯科医師と相談したうえで、どの材料を使用するかを決めることが必要だと考えます。

「あれ?永久歯が生えてこない」
歯の生え変わりの時期が来ても、永久歯がなかなか生えてこないとき、主に二つの原因が考えられます。
一つは永久歯が先天的に欠如している場合、もう一つは、何らかの理由により永久歯が顎の骨の中に留まっている場合(歯の埋伏)があります。
どちらの場合も、放っておくと歯並びや咬(か)み合わせに悪い影響を及ぼす可能性があります。
「先天性欠如」とは、乳歯が抜けても永久歯が生えてこないという、歯(永久歯)の本数が少ない状態になってしまう歯の形成異常の1つです。
原因は未だはっきりと解明されていませんが「遺伝」や「妊娠中の母親の栄養不足」「薬物乱用」など、先天性な事情が関係していると見込まれています。
 
<歯並びに悪影響>
永久歯の生え(替わり)方に左右差があり、片側の永久歯は完全に出ているのに反対側の同じ種類の永久歯が出ていない場合、乳歯がいつまでも残っている場合などは歯科医院等でX線写真を撮って確認してもらうことをお勧めします。
一方、全体的に歯の生え替わりが遅れているだけの場合はあまり心配することはありません。
体の成長に合わせて生え変わるからです。
 
永久歯の先天性欠如は近年増加傾向にあると言われます。
日本小児歯科学会が行った全国調査では、歯科を受診した子どもの約10%に1本以上の永久歯の先天性欠如があることが報告されています。
 
男女別では女子にやや多く、上顎と下顎では下顎の歯の方が多いようです。
永久歯の種類では前から数えて5番目の歯(第二小臼歯)や2番目の歯(側切歯)に多く見られます。
先天性欠如の方の場合、6歳以降も永久歯が生えてこず、最終的な永久歯の本数が20本~25本程度と少ないのです。
 
歯の本数が少ないと歯と歯の間に隙間があるので「歯並びが悪くなる」「食べかすや病原菌が隙間に付着し虫歯になりやすくなる」「食事や発声がしにくくなる」といったリスクが生じてきます。
大臼歯以外の永久歯が先天的に欠如していると、先行して生えている乳歯が大人になっても残ったままになりますが、永久歯との大きさの差があるため、咬み合わせが多少ずれてしまいます。
また、乳歯は自然に抜け落ちてしまうことも多く、そのまま放置していると隣の歯がそのスペースに倒れ込み、歯並びや咬み合わせを乱す原因となります。
 
先天性欠如に対する一般的な治療方針としては、
(1)乳歯が残っている場合、できるだけ長持ちさせる。
(2)矯正歯科治療によりその永久歯のスペースを閉じてしまう。
(3)補綴(ほてつ)歯科治療により人工の歯でスペースを埋める。
(4)(1)~(3)の組み合わせ-が考えられます。
正常な方の場合、おおむね6歳前後で乳歯が徐々に抜けていき永久歯が生えてきます。
永久歯の本数は正常な方の場合は28本前後ですが小学生以下の子どもの場合は、先天性欠如と判断されても基本は経過観察となります。
 
中学生~20代くらいまでの若年層の場合は、乳歯を強制的に抜歯し、矯正器具により歯の並びを改善して隙間を生めていきます。
先天性欠如の場合は永久歯を生えさせるのは難しいため、歯科矯正により歯並びを改善して隙間をカバーする治療がメインとなってきます。
30歳以降となると、それまで抜けずに残っていた乳歯は年齢的に自然と抜け落ちていき、乳歯も永久歯もない状態となります。
この年齢で先天性欠如に気づいた場合は、治せそうな状況であれば矯正器具で歯並びを改善することになります。
ただし30歳以降になると年齢的に歯科矯正による効果も薄れてくるので、歯科矯正で治療が難しい場合などは、インプラントや入れ歯などを隙間に装着する形で対処していきます。
 
<原因除去し治療>
永久歯が顎の骨の中に留まっている場合、歯が本来あるべき位置になかったり、異常な方向を向いたりしていることがあります。
上顎の犬歯によく見られ、前歯(切歯)の歯根にぶつかって吸収してしまうことがあるので要注意が必要です。
また、嚢胞(のうほう)、腫瘍、骨の疾患やその治療で歯の萌出が妨げられていることもあります。
主な対処法は、原因をできるだけ除去した上で、埋まっている歯を矯正歯科治療により引っ張り上げるやり方です。
 
矯正歯科治療は通常自費診療となりますが、6本以上の先天性欠如や3本以上の埋伏歯の場合には、指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)に限って健康保険が適用されるようになりました。
詳しくは、矯正歯科を専門としている歯科医にご相談いただくか、日本矯正歯科学会のホームページをご覧ください。

「舌痛症ってなに?」
「舌の先や、横側の縁の部分がヒリヒリ、ピリピリと痛む」。
そんな症状に見舞われる「舌痛症(ぜっつうしょう)」という病名を聞いたことがあるでしょうか。
 
舌痛症とは、舌の表面に痛みの原因となり得る器質的な異常や病変(例えば口内炎などの炎症や粘膜の荒れ、ただれ、腫瘍など)がないのにもかかわらず、舌が痛んで気になってしまう…そんな不快症状です。
そして症状が何カ月も続くことがあります。
 
舌痛症の症状である舌の痛み方にはある特徴があります。
ピリピリした痛み、カーッと熱くなる様な痛み、ヒリヒリと刺し込む様な痛みなど、舌の痛みの感じ方、表現の仕方はさまざまです。
けれども、そこには痛みを感じるときと感じないときがあるという共通点があります。
仕事や掃除洗濯などの家事、運転中など何かに集中して取り組んでいる間や食事中は、痛みを生じません。
テレビを見てリラックスしているとき、ボーッとしているとき、就寝前の落ち着いているときなど、何もしていない時に痛みが発生するのです。
 
舌のどこにでも痛みが生じるわけではありません。
痛みが生じるのは、舌の先端部であることが多いのですが、舌の先から前方2/3くらいの範囲なら起こりえます。
なお、舌痛症の痛みには強弱があります。
たとえ寝る前に舌が痛くなっても、眠ることが出来なくなる様なことはありません。
次第に弱まってきて眠りにつくことが出来ます。
医療機関を受診しても「異常なし」とされ、単なる「不定愁訴」と診断されてしまうこともあるようです。
 
不思議なことに、男性にはほとんど見られません。
舌痛症には、男女間で発症傾向に明確な差があります。
男性:女性=1:8〜10と女性に圧倒的に多い傾向があります。
思春期以降であればどの年代でも起こりえますが、30代以下の若い年齢層に起こることはあまりありません。
50代以降に多く発症するとされています。
90年代から増加傾向で、学会などの臨床統計を見ると、歯の治療が契機になって症状が出現することが多いとされています。
「治療に使用された薬剤や金属のアレルギーなどでは」「銀歯が舌に当たっているからでは…」など、
ほかの歯科医院で受けた治療に原因があると考える患者が多いようです。
 
舌痛症の原因や、発症のメカニズムはいまだ解明されていない。
舌痛症の人は歯科だけではなく、口腔外科、耳鼻咽喉科、内科など、さまざまな診療科を受診しています。
しかし「口内炎」だと診断されるなど、気休めの軟膏やうがい薬などを処方されて追い返されてしまうケースも多く、
外見上、舌に明らかな異常がなければ「更年期障害」や「うつ病」、単なる「ストレス」でかたづけられてしまうケースもあるようです。
 
舌痛症の原因や、発症のメカニズムについては不明な点も多く、いまだ解明されてはいません。
ただし、下記のような特徴があります。
1)実際に話すと生真面目な人が多い。(経験的には几帳面で、執着心が強い人が多いです)
2)痛みの度合い、痛む範囲が一日の中で変わる(日内変動)、日によって変化する。
 (食事中や入浴中など、何かに集中している時はほとんど痛まない)
3)歯科治療や身内の不幸、ペットの死などがきっかけで始まることが多い。
4)舌の痛み以外の多彩な症状を同時に訴える患者が多い。
 (舌の異常だけでは起こりえない、口の中の乾き、喉の奥の違和感などを同時に訴えることが多い)
 
以上の臨床的な特徴があることから、メンタルと何らかの関連性があるようです。
また、舌がんなどの「がんへの恐怖感」や、何か深刻な病状を想像して一人で思い悩んでいたり、ストレスや心身疲労が加わると症状が増悪するとされることからも、心理的要素との関連性がうかがえます。
 
専門医療機関を紹介受診するのがもっともスムーズ
逆にガンの心配はないこと、炎症がないこと、(以前に受けた)歯科治療箇所は客観的に見て異常がないことなどを、
理論的かつ丁寧に話すと気持ちが楽になったり、症状が緩解される患者が多いように思います。
原因やメカニズムが分からない以上、舌痛症には特効薬や確立された治療法は現在のところありません。
多くの医師にも舌の痛みを理解してもらえないことから、ドクターショッピング(色んな病院を転々とすること)を繰り返す患者も珍しくはありません。
もし、あなたが舌痛症を疑って受診するならば、大学病院などの口腔外科やオーラルメディシン(口腔内科)、メンタルクリニックなどが
専門診療科となります。
かかりつけの医師、歯科医師がいる人はかかりつけ医に紹介状を発行してもらい、専門医療機関を紹介受診するのがもっともスムーズな受診方法でしょう。

「口内炎」
「口内炎」は、その名の通り、口の中やその周辺の粘膜におこる炎症の総称です。
主に頬の内側をはじめとする広い範囲に発生する炎症で、多くが痛みを伴います。
ひとつだけでなく、いくつもできたり、長引く場合もあります。
口は、食事や呼吸、会話などで外部に接する器官だけに、ほこりや細菌、ウイルスなどの影響を受けやすく、口内炎を引き起こす原因もあらわれる症状もさまざまです。
 
●疲労や免疫力の低下が原因と考えられる「アフタ性口内炎」
一般的にもっとも多くみられるのが「アフタ性口内炎(潰瘍性口内炎)」です。
原因ははっきりわかっていませんが、ストレスや疲れによる免疫力の低下、睡眠不足、栄養不足(ビタミンB2が欠乏すると口内炎ができます)などが考えられています。
アフタ性口内炎にかかると、赤く縁取られた2~10mm程度の丸くて白い潰瘍が、ほお・唇の内側・舌・歯ぐきなどに発生します。
小さなものが2~3個群がって発生することもあります。
普通は10日~2週間ほどで自然に消滅してあとは残りません。
若い人に多くできる傾向があります。
なかなか治らないとき、範囲が広いとき、何度も再発するときは、ベーチェット病などほかの病気の一症状であったり、くすりが原因の場合もあるので、すぐに病院へ行きましょう。
 
●ウイルスや細菌の増殖が原因の「ウイルス性口内炎」
ウイルスが原因で起こる口内炎もあります。単純ヘルペスウイルスの感染が原因の「ヘルペス性口内炎(口唇へルペス)」や、カビ(真菌)の一種であるカンジダ菌の増殖が原因の「カンジダ性口内炎」などがあります。
そのほかにも、梅毒・淋病・クラミジアなど、STD(性行為感染症)による口内炎も知られています。
ウイルス性口内炎に多くみられる多発性の口内炎は、口の粘膜に多くの小水疱が形成され、破れてびらんを生じることがあり、発熱や強い痛みを伴うことがあります。
 
●物理的刺激によって起こる「カタル性口内炎」
「カタル性口内炎」は、入れ歯や矯正器具が接触したり、ほおの内側をかんでしまったりしたときの細菌の繁殖、熱湯や薬品の刺激などが原因で起こる口内炎です。
口の粘膜が赤く腫れたり水疱ができたりします。
アフタ性とは異なり、境界が不明瞭で、唾液の量が増えて口臭が発生したり、口の中が熱く感じたりすることもあります。
また、味覚がわかりにくくなることもあります
 
●その他の口内炎
特定の食べ物や薬物、金属が刺激となってアレルギー反応を起こす「アレルギー性口内炎」、喫煙の習慣により口の中が長期間熱にさらされることにより起こる「ニコチン性口内炎」などもあります。
ニコチン性口内炎の場合は、口の中の粘膜や舌に白斑ができ、がんに変化するおそれもあります。
 
就寝中の歯ぎしりにも要注意です。
口内の粘膜や舌にこまかい傷がつき、口内炎ができやすくなります。
また、力仕事や何かに集中しているとき無意識に食いしばっている人、口の中を軽くかむ、舌と歯で挟むなどの癖のある人も、口内炎になりやすいといえます。
繰り返す口内炎とともに、朝起きたときに顎が痛む、熟睡した感じがしない、気づくと口をぎゅっと閉じている、あごや肩がこるといった症状がある場合は、歯ぎしり、食いしばりの疑いがあるので、歯科医院で相談してみましょう。
 
そのほか、物理的な口の中の粘膜への刺激として、歯並びの悪さ、差し歯・入れ歯の不具合、欠けた歯の放置、治療中の歯なども考えられます。
これらがあると粘膜に傷をつけ、口内炎を起こしやすくなります。
 
また、ドライマウスも口内炎の原因になります。
口内が乾燥すると、ちょっとした刺激でも粘膜が傷つきやすくなります。
また、殺菌作用のある唾液の分泌量が減少しているため、自浄作用が低下し細菌やウイルスが増殖しやすくなっています。
 
口の中が乾燥しがちだと思ったら、よくかんで食べるなど、唾液の分泌をうながしましょう。
しかし、自己免疫疾患など、他の病気が隠れているケースもあるので、まずは歯科を受診することをおすすめします。
また、口呼吸が原因の場合もあるので、鼻の病気がないか耳鼻咽喉科にてチェックすることも大切です。
 
口内炎の治療として、市販のパッチ薬や軟膏を使っている人は多いでしょう。
1~2週間で治ることが多いため、放置しているケースもあるかもしれません。
しかし、頻繁に繰り返す、2週間以上たっても治らないという場合は、歯科や口腔外科を受診してください。
口内炎は原因を突きとめて、再発を防ぐことが肝心です。

「オーラルフレイル」をご存知ですか?」
「オーラルフレイル」は、口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどを含み、身体の衰え(フレイル)の一つです。
この「オーラルフレイル」とは、健康と機能障害との中間にあり、可逆的であることが大きな特徴の一つです。
つまり早めに気づき適切な対応をすることでより健康に近づきます。
 
この「オーラルフレイル」の始まりは、滑舌低下、食べこぼし、わずかなむせ、かめない食品が増える、口の乾燥等ほんの些細な症状であり、見逃しやすく、気が付きにくい特徴があるため注意が必要です。
そして、このような機能の低下は、高齢者の筋肉の衰えである「サルコペニア」や、運動機能が低下する「ロコモティブシンドローム」の前段階だと考えられています。
 
例えば、歯を失ったままで放置、歯周量を治療しないままにして、満足に噛めない状態を放置していたとします。
すると、食べられる食品が限られるため、食に対する意欲が低下していまい、栄養不足や栄養の偏りが生じます。
その結果、少しずつ体力は衰え、筋肉や体を動かす機能が低下していくのです。
 
さらに、転倒してケガをすればそのまま寝たきりになってしまうこともあります。
きっかけは、お口の中だけの小さな問題でも、オーラルフレイルを引き起こすことでバランスの良い食事がとれず、のちに健康をそこねる大きな問題になる可能性があります。
健康寿命を延ばすため、お口の健康についても考えてみましょう。
 
対応としては、
高齢期における人とのつながりや生活の広がり、共食といった「社会性」を維持することは、多岐にわたる健康分野に関与することが明らかとなっております。
この多岐にわたる健康分野には歯や口腔機能の健康も含まれており、これら機能の低下はフレイルとも関連が強いことがわかっています。
歯周病やむし歯などで歯を失った際には適切な処置を受けることはもちろん、定期的に歯や口の健康状態をかかりつけの歯科医師に診てもらうことが非常に重要です。また、地域で開催される介護予防事業などさまざまな口腔機能向上のための教室やセミナーなどを活用することも効果的です。
 
右の写真に「オーラルフレイル」の代表的な兆候をチェックポイントとしてまとめたので、ご自身やご家族に当てはまる項目がないか、ぜひチェックしてみてください。
 
もし、1つでも当てはまる項目があればフレイルやオーラルフレイルの兆しかもしれません。
外出の機会を増やし、社会的な活動を心がけ、快活な生活を送ってください。
また、歯科の受診や口腔ケアの指導などを受けるなどして、口の健康に努めましょう。
あてはまる項目がなかったとしても、油断は禁物。健康維持のための口の役割を理解して、普段からしっかり噛むことを意識しましょう。

「BLS & DCLSのコースに参加してきた。」
先日スタッフとともにDCLS(Dental Crisis Life Support/歯科救急危機対応)
「DCLS」とは「Dental Crisis Life Support」の頭文字を取った略語です。
この概念は、歯科診療/治療領域における健康危機、誤嚥による窒息、アナフィラキシー、
失神、心血管危機に遭遇した時の歯科チームとして最初の10分のにどのように対処すべきか、を学習・研修するものです。「BLS」とは一次救命処置です。
 
心停止や窒息という生命の危機状況に陥った傷病者や、これらが切迫している傷病者を救命し、社会復帰に導くには、「生命の連鎖」と呼ばれる4つの要素が必要になる。
4つの要素は、
1、心停止の予防
2、早期認識と通報 
3、一次救命処置(CPRとAED)
4、二次救命処置と心拍再開後の集中治療によって構成されている。
 
心停止の予防は、心停止や呼吸停止となる可能性のある傷病を未然に防ぐことである。
例えば、小児では交通事故、窒息や溺水などによる不慮の事故を防ぐことが重要となり、成人では急性冠症候群や脳卒中発症時の初期症状の
気づきが重要であり、それによって心停止に至る前に医療機関で治療を開始することが可能になる。
 
早期認識は、突然倒れた人や、反応のない人を見たら、直ちに心停止を疑うことで始まる。
心停止の可能性を認識したら、大声で叫んで応援を呼び、救急通報(119番通報)を行って、自動体外除細動器(automated external defibrillator : AED)と組成器材を持った専門家や救急隊が少しでも早く到着するように努める。
 
一次救命処置(basic life support : BLS)は、呼吸と循環をサポートする一連の処置である。
BLSには胸骨圧迫と人工呼吸による心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation : CPR)とAEDが含まれ、誰もが直ぐに行える処置であるが、
心停止患者の社会復帰においては極めて大きな役割を果たす。
 
二次救命処置(advancsd life support : ALS)は、BLSのみでは心拍が再開しない傷病者に対して、医師や救急救命士などが薬剤や医療機器を
用いて行うことで社会復帰の可能性を高めることができる。
 
最近はよくAEDを見かけますね。
使い方を知っているか知らないかで大きな差が出ます。
突然のことで動けない、そんなことが無いように、繰り返し反復練習して対応していきたいと思います。

「謹賀新年」
皆様、明けましておめでとうございます。
本年も、こまば歯科をどうぞよろしくお願いいたします。
さて、年末年始のお休み中に食べ過ぎ・飲み過ぎで体重が増えた方はいらっしゃいませんか?
もしこのままの食生活が続いて糖尿病になったら・・・。
そこで今回は、糖尿病と歯周病の関係についてまとめてみました。
 
なぜ、歯肉の炎症である歯周病が糖尿病に関わってくるのでしょうか。
出血や膿を出しているような歯周ポケットからは、炎症に関連した化学物質が血管を経由して体中に放出されています。
中等度以上の歯周ポケットが口の中全体にある場合、そのポケット表面積の合計は掌(てのひら)と同じ程度と考えられています。
歯周ポケットの中身は外からはなかなか見えませんが、手のひらサイズの出血や膿が治療なしで放置されていると考えると、からだ全体からも無視できない問題であることが理解できると思います。
ポケットから出て血流にのった炎症関連の化学物質は、体のなかで血糖値を下げるインスリンを効きにくくします(インスリン抵抗性)。そのため、糖尿病が発症・進行しやすくなります。
 
歯周病治療で血糖値が下がる!
最近では歯周病と糖尿病は密接に関連していると言われており、歯周病の治療をすると血糖コントロールが改善するという研究成果も数多く報告されています。
ここでの「歯周病の治療」とは、患者さん自身のブラッシングによるプラークコントロールをしっかり行い、歯科医院で炎症の原因となっている歯石を確実に取り除く(スケーリング)ことです。
そうすることで歯肉の炎症をコントロールできればインスリン抵抗性が改善し、血糖コントロールも改善するということが、日本での研究を含めた多くの臨床研究で報告されています。
一方で、全ての症例で血糖値の低下が生じないことも明らかになっており、どのような糖尿病患者さんで血糖値が下がりやすいのかを調査した今後の研究成果が待たれています。
 
かかりつけ歯科医院を作りましょう。
歯を失わないということは、生活の質を直接低下させないだけでなく、生活習慣病や認知症などの予防や管理にも深く影響してきていることが明らかになってきています。
歯周病コントロールのためには、歯科医院での予防的なケアや専門的なアドバイスを受けるのが有効です。
定期的なブラッシング指導を受け、自己流の間違ったブラッシングを続けないことにもつながります。
かかりつけの歯科医院をつくり、年に1、2回のチェックとクリーニングを行うことが、歯周病と糖尿病の管理という観点からだけでなく、将来の快適な生活にもつながるでしょう。
 
治療が必要になったら・・・
口の中のトラブルがあれば、すぐに歯科医院を受診しましょう。
治療が必要な病変は早めに発見して早めに治療することが、重症化させないために重要なポイントです。
一方で、受診した結果、治療が必要になることもあります。
その際にもし血糖コントロールが悪かったら、治療効果が出にくかったり、治療をすぐに行えなかったりする場合もあります。
治療を進めてよいか、歯科医だけでは判断できない場合には、糖尿病の主治医に確認をする場合もあります。
まずは、ご自身が糖尿病をお持ちであること、薬の治療を行なっていることなどを歯科医に伝えてください。
また、歯科治療後、治療に伴う痛みなどで食事がとれないこともあるでしょう。
糖尿病の薬の治療を行っている方で食事がとれない場合には、薬の調整が必要になることもあります。
薬の調整方法を相談するためにも、歯科治療を予定しているときには糖尿病の主治医に伝えるようにしましょう。

「歯と骨粗鬆症の関係」
歯と骨は別の物なのですが、歯を支えているのは顎の骨です。
そのため、顎の骨が弱くなってしまうと、支えられている歯自体にも影響が出てきます。
 
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症は、骨の密度が低下してスカスカの状態になってしまう症状です。
このようになると、骨は軽石のようにもろくなり、転んだだけで手首や太ももの骨が簡単に折れてしまったり、腰や背中が慢性的に痛むようになったりします。
骨は一度できあがるとそのまま変化しない物のようなイメージがありますが、実は皮膚などと同じように古くなったものが新しく作られたものへと入れ替わっています。
健康な状態では、古くなった骨が破壊・吸収されるスピードと、新しく骨が作られるスピードのバランスがつり合っています。
しかし、骨粗鬆症の場合は古い骨が吸収されるスピードに新しい骨が作られるスピードが追い付かず、どんどんと骨がスカスカになってしまいます。
骨粗鬆症は、がんや心臓病の様に直接命をおびやかすような病気ではないものの、骨粗鬆症による骨折が原因で、寝たきりの生活になってしまう場合も少なくありません。
 
骨粗鬆症になりやすい人
骨粗鬆症は長年の生活習慣が原因となることから、骨の生活習慣病とも言われています。
骨粗鬆症は閉経期以降の女性や高年齢の男性に多くみられますが、若い人でも栄養や運動不足などの影響でかかることもあります。
骨粗鬆症は特に女性に多く、その80%以上が女性患者であるともいわれています。
女性はエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが多いほど骨密度が高いという傾向があります。
特に女性は妊娠時や閉経後はエストロゲンの急激な減少が起こるため、骨粗しょう症になる方が増えるのです。
 
歯周病や歯の喪失への影響
歯は「歯槽骨」と呼ばれる骨によって支えられています。
歯槽骨は、顎や鼻といった顔の骨と一体化しており、骨粗鬆症になるとこの歯槽骨がもろく溶けやすくなります。その結果、歯周病の進行が早くなってしまいます。
歯周病は、細菌によって歯ぐきに炎症が起こり、歯根を支えている歯が溶かされていってしまう病気です。
骨粗鬆症によって歯周組織の歯がスカスカ状態になると、歯周病が重症化しやすくなります。
 
骨が腐るの??骨粗鬆症治療薬による副作用
骨粗鬆症の治療薬として、ビスフォースフォネート系薬剤(BP系薬剤)というものが使われています。
以前は副作用の問題は無いとされていたこのお薬ですが、2008年に厚生労働省から「BP系薬剤を使用している患者の内、3年以上投与されている患者が抜歯や外科手術を行った場合、BP系薬剤の関連により顎骨壊死の症状が増えている。」との報告がありました。
顎骨壊死というのは、顎の骨の組織や細胞が死んでしまい、骨が腐った状態になることです。
顎の骨が腐ると、お口の中にもともと生息している細菌による感染が起こり、顎の痛み、腫れ、膿が出るなどの症状が出ます。
 
骨粗鬆症の治療を受けている、もしくはBP系薬剤の投与を受けているという方は、歯の治療を受ける前に必ず歯医者さんにその旨を相談するようにしましょう。
※BP系薬剤には注射薬と経口薬があります。注射はお薬手帳に記入されないので注意が必要です。
 
骨粗鬆症の影響が顎の骨ににも出ていないか歯医者さんでも聞いてみましょう!

「開院2年目を迎えて」
H27年11月1日に「こまば歯科」を開院し早くも2年が経ちました。
何とかここまで無事にやってこられたのは、患者さんとそのご家族の暖かい見守り、
医院スタッフの献身的な支え、そして妻の協力があったからこそと感謝しております。
この2年を振り返ると、苦労や悩みもありましたが、それを吹き飛ばしてくれるほど充実した
2年だったと思います。
 
診療が楽しいと言えば語弊はありますが、悩みを抱えてくる患者さんの最初から治るところ
まで自分で診ることができ、最後は患者さんが笑顔になってくれる。
そしてまた、困ったことがあれば、相談に来てくれる。
患者さんのいい顔が、もっといい医療をしようと頑張る原動力になる。
これが、おそらく2年間走ってこれた理由だと思います。
 
この気持ちを3年目も、4年目も持ち続けて、安心できる歯科診療、そして温かいこまば歯科を目指して邁進していきたいと思います。
また地域住民の皆様に信頼される 温かで質の高い歯科医療を提供していきたいと考えております。

「高齢者の虫歯について」
高齢の方が「なんとなく痛む気がする」と思って歯科医院に行くと、重度の虫歯で、すでに治療が行えない状況になっていることがあります。
最悪の場合は、抜歯するしかありません。
なぜ、このような状態になってしまうのでしょうか。
 
・エナメル質が薄いから
高齢の方は、長年のブラッシングや咀嚼(そしゃく)などによってエナメル質がすり減り、薄くなっている状態にあります。
また、加齢によってもエナメル質は薄くなりますので、虫歯菌の進行が容易になり、すぐに象牙質・歯髄まで虫歯になってしまうのです。
 
・歯肉がやせてきたから
歯肉がやせてくると、硬いエナメル質に覆われていない歯の根元の部分が露出します。
そのため、虫歯菌が直接歯の根元を攻撃し、虫歯になりやすくなってしまうのです。
 
・唾液の分泌量が減ったから
高齢になると、唾液の分泌量が減ります。
唾液には虫歯菌が好む酸性の状態を中性に戻す効果がありますので、唾液分泌量が少ないと虫歯になりやすくなってしまうのです。
 
・義歯を利用する人が多いから
入れ歯の留め金部分には食べ物のカスがたまりやすいですので、きれいにブラッシングをしないと留め金部分や入れ歯とほかの歯のすき間が虫歯になってしまいます。
 
「虫歯に気づいたらすぐに治療するべき理由」
誰にとっても、虫歯に気づいたらすぐに治療することは鉄則です。
では、なぜとりわけ高齢の方こそすぐに治療すべきといえるのでしょうか。
 
・動脈硬化のリスクが増える
細菌によって歯が侵食される状態が虫歯、歯肉や歯の根元が侵食される状態が歯周病といえます。
いずれも細菌によって引き起こされる疾病ですが、この細菌は虫歯や歯周病だけでなく、動脈硬化も誘発することがわかっています。
厚生労働省でも歯周病の予防が動脈硬化の予防になり、結果として脳梗塞や心筋梗塞、狭心症の予防になると説明しています。
血管の健康を守り、脳と心臓に十分な血液を送るためにも、虫歯や歯周病が重篤な状態にならないうちに早く治療する必要があるといえるのです。
 
・糖尿病のリスクも増える
歯茎に炎症が起こった状態が続くと炎症性サイトカイン・TNF-αという物質が放出され、膵臓から分泌されるインスリンの働きが阻害されるようになります。
インスリンの働きが阻害されると血糖値が低下せず、高血糖状態が続くことになり、糖尿病になってしまうのです。
糖尿病になると失明や腎不全などを引き起こすこともあります。
糖尿病のリスクを低減させるためにも、口内に異常を感じたらすぐに治療をすることが勧められるのです。
 
・肺炎になることも
高齢者の死因の中でも上位の「肺炎」。実は肺炎も、虫歯菌や歯周病菌から発生することがあるのです。
肺炎は肺がウイルスや細菌にかかることで起こる病気ですが、食べ物や唾液に口内細菌が混じり、それらが肺に誤って流れ込んでしまうことでも引き起こされます。
このような肺炎を「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」と呼びます。
特に高齢者や寝たきりの人は、飲み込む力が衰えていることが多いですので、誤って唾液や食べ物を肺に飲み込んでしまうことがあります。
普通の食べ物や唾液ならいいのですが、細菌がついた食べ物などから肺炎へと進行してしまうかもしれません。
 
「高齢者が虫歯治療をすることで得られるメリット」
早期に虫歯を発見し、早期に治療することで、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、糖尿病、肺炎などの最悪の場合は死に至る病気のリスクを軽減することができます。
ですが、高齢者が早めに虫歯治療することのメリットはそれだけではないのです!
 
・アルツハイマー型の認知症予防
「かむ」ことで刺激が脳に伝達され、学習能力と切り離せない伝達物質・アセチルコリンを増やすことができます。
アセチルコリンの量が減少すると、アルツハイマー型の認知症を引き起こすこともありますので、かんでアセチルコリンを増やすことはアルツハイマー型認知症の予防にもなるのです。
 
・脳血管性認知症の予防にも
認知症には、アルツハイマー型と脳血管性型があります。
脳血管性の認知症は、脳の血管が硬化することで引き起こされますが、虫歯や歯周病によって動脈硬化が進行していると脳血管性の認知症にもなりやすくなるのです。
動脈硬化を予防するためにも、早期の虫歯治療・歯周病治療が必要です。アルツハイマー型認知症も脳血管性認知症も、虫歯と歯周病治療で罹患リスクを下げることが期待できるでしょう。
 
年齢を重ねると、認知症や糖尿病、動脈硬化など気になる病気や症状が増えていきますので、「虫歯くらいは気にしなくてもよいのでは?」と考えるかもしれません。
ですが、虫歯が入り口になって、肺炎や心筋梗塞などの生命を左右する病気にかかってしまうこともあるのですから、敏感すぎるほど敏感になっても損はないのです。
 
歯に痛みなどの違和感を覚えたとき、歯茎が腫れたとき、歯茎がいつもよりも赤みが強いときは、迷わず歯科医院へ。
口臭が強くなったと感じることも虫歯のサインの可能性がありますから、すぐに歯科医院で適切な治療を受けるのが望ましいでしょう。

「酸蝕歯」
虫歯、歯周病に次ぐ第3の歯の疾患として、近年問題になっている酸蝕歯(さんしょくし)。酸性の飲食物などで歯が溶けてしまう症状です。
 
ワイン、炭酸飲料、栄養ドリンク、かんきつ類、ドレッシング――酸性度の高い飲食物が原因で、歯が溶けるおそれがあります。
歯は酸に弱いですが、唾液が酸を洗い流して中和するため、通常は大きな問題は起きません。
ところが強い酸に長い時間、または繰り返し触れていると、唾液の中和作用が間に合わなくなります。
化学反応で歯の表面のエナメル質が溶け、薄くなったり軟らかくなったりするのです。
さらに溶けると下の象牙質がむき出しになり、歯がしみたり、もろくなって欠けたりすることもあり、これらの現象を歯の酸蝕といいます。
 
酸蝕歯が厄介なのは「健康や美容によいとされるものが原因になるところ」です。
ダイエットのため黒酢の原液を朝晩飲んでいたり、手の甲のシミを薄くしようと、グレープフルーツを1日2玉食べていたりする、健康や美容への意識が高い人ほどなりやすい傾向があります。
熱中症対策にスポーツドリンクをよく飲む人も要注意です。
 
酸性・アルカリ性の度合いを示すpH(ペーハー)値は、低いほど酸性度が高く、虫歯の場合、口の中が5.5以下になるとエナメル質が溶け始めます。
酸蝕歯を引き起こす明確なpH値はまだわかっておりませんが、5.5以下の飲食物はリスクを高めると考えられています。
 
酸蝕歯を防ぐには、歯を酸に長時間さらさないことが何より大切です。
原因となる飲食物の過剰摂取を控え、飲み方や食べ方も見直しましょう。
「ちびちび飲み、だらだら食べはNG」飲み物はなるべくストローを使うと、歯への接触を少なくできます。
飲食後にガムをかむのも良いです。
唾液がたくさん出て、酸を中和してくれます。
 
虫歯の予防には飲食直後の歯磨きが有効ですが「酸性度が高いものを飲食した時は、30分ほど待ってからの歯磨きが望ましい」です。
酸で表面が軟らかくなっている歯をゴシゴシ磨くと、すり減ってしまうためです。
30分ほどで唾液がエナメル質を修復してくれるのです。
 
ただし酸蝕歯よりも虫歯のリスクが高い人は、食後すぐに歯を磨いてかまわいません。
歯磨き粉は再石灰化を促すフッ素入りを、歯ブラシは軟らかいものを選び、優しく丁寧に磨くことを心がけましょう。

「今年も10キロ走ってきました!」
2017年7月31日(日)
あの日は朝から曇っており、湿度が高い日でした。
寝坊した私たち夫婦は、急いで支度を済ませ会場に向かいました。
しかし、会場付近は渋滞が発生しており、なかなか車が進みません。
やっとの思いで駐車をし、何とかぎりぎりで受付の時間内に滑り込み、登録を済ませて、ホッと一休み。
 
休みながら思い返してみると、今年の週末は出張や勉強会に参加しており、全然走る機会がなく、ほとんどぶつけ本番的な状態で今日を迎えたんだなと。
それでも会場の雰囲気でテンションは上がり、スタートのピストル音が鳴ると一気にボルテージは膨れ最初からハイペースに。
いつも焦ってしまい最初から飛ばしてしまうため、今年は、目標のタイムをイーブンのペースで走ることを心掛けていたので、腕時計とにらめっこしながら抑えて抑えての我慢の走りをしました。
その甲斐あって、途中でペースダウンすることなく、なんとかゴールまで走りきることができて一安心。
毎年、今年こそは30㎞に出ようと思いながらも、10㎞をクリックしてしまう私の人差し指、来年こそは30㎞にクリックしてくれるだろうか。

「誤嚥性肺炎をご存じですか?」
日本人の死因で最も多いのは「がん」(悪性新生物)、2位は「心疾患」、3位は「脳血管疾患」です。
では4位をご存じですか?
答えは「肺炎」です(厚生労働省調べ)。
肺炎には誤嚥性肺炎というものがあり、細菌が肺に誤って流れ込んでしまうために起こる肺炎です。
 
70歳以上の高齢者で肺炎にかかる人の70%がこの誤嚥性肺炎だともいわれており、90歳以上だと95%にもなるといわれています。
高齢者は特に注意すべき疾患だといえるでしょう。
肺炎が重症化すると死に至ることもありますので、特に高齢者にとって誤嚥性肺炎の重症化を防ぐことは、健康に長生きするためにも重要になります。
 
口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防につながる!!
理由1:口腔内の細菌数が減少する。
誤嚥した食べ物や唾液の中に細菌が少なければ、誤嚥してしまったとしても肺炎感染を予防することができます。
そこで重要になるのが口腔ケアです。
口腔ケアをしっかりと行うことで口内の細菌が減り、万が一誤嚥した場合でも肺に細菌が入り込む可能性を低くすることができるのです。
また、入れ歯をきちんとお手入れしましょう。
入れ歯の周りは、細菌が繁殖しやすくなっています。
専用の洗浄液などを使用して、入れ歯のこまめなケアも行いましょう。
 
理由2:誤嚥自体も減少する
口腔ケアをしっかりと行うことで、食べ物が口内に入ってから飲み込むまでの時間が短縮できます。
食べ物が食道に入るまでの時間が短縮されると誤って気道に入ってしまうことも減りますので、結果的には誤嚥予防につながります。
 
理由3:免疫機能が向上する
口腔ケアをしっかりと行うと歯や歯茎のトラブルが減ります。
口内の痛みや不快感もなくなりますので、食べ物をおいしく食べられるようになります。
食べ物を規則的においしく食べられるようになると、栄養状態も改善されて体力がつき、結果として免疫機能が向上します。
万が一細菌が肺内に入り込んでしまっても、免疫機能が高ければ、感染や重症化を防ぐことができます。
 
適切な口腔ケアをしっかりとすることで、誤嚥性肺炎の発症や重症化を防ぐことができます。
こまめにブラッシングをするだけでなく、歯科医院にもこまめに通い、定期的に専門的なケアを受けるといいでしょう。

「親知らず どうする?抜く抜かない?」
親知らず。
大人になってから口のいちばん奥に生えてくるいちばん前から数えて8番目の歯です。
正式には「第三大臼歯(智歯)」と呼ばれる親知らずは「抜いたほうがいい」とか「抜いたらすごく腫れた」など、怖くて厄介なヤツというイメージが一般に浸透しています。
 
抜くのを勧めるケース
1.虫歯が大きい場合
虫歯が小さい場合には治療も可能ですが、大きな虫歯ができている場合、治療が困難を極めるだけでなく、治したとしても予後が悪いため、抜歯を勧めます。
 
2.歯茎の炎症がひどい場合
智歯周囲炎を頻繁に繰り返していたり、炎症の程度がひどかったりする場合には、抜歯を勧めます。つらい症状に悩まされ続けたり、炎症が広がって重症化し、入院をしたりするようなひどい目に遭う場合もあります。
 
3.きちんと生える見込みがない場合
親知らずが歯茎から出ていても倒れて埋まっていたり、スペースが足りずに生えきらない場合は、後にトラブルが起こる前に早めに抜くことを勧めます。
 
4.歯並びを悪くしてしまう場合
親知らずが傾いて埋まっている場合、隣の歯を押して歯並びがずれてしまうことがあります。
このような場合には抜かなければ歯並びがどんどん乱れてしまいます。
 
5.口の中の粘膜や顎関節にダメージを与えている場合
親知らずがきちんと生えていて虫歯がなくても、向かいの親知らずが生えていないなどの理由でかみ合わない場合、向かいの歯茎をかんでしまったり、頬粘膜を傷つけ、口内炎を作る原因となります。
また、親知らずが生えていることで顎関節にダメージが加わることがあります。
 
6.口の中の清掃状態が良くない場合
歯磨きがきちんとできていない人は、親知らずが後に痛みや腫れなどのトラブルを起こす危険性が高いため、トラブルのないうちに抜いておいたほうが良いといえるでしょう。
 
親知らずに痛みがあっても、必ずしも抜かなければならないわけではありません。
親知らずは完全に生えきるまで数カ月かかることも珍しくなく、その間歯茎の炎症を起こしたり、隣の歯を圧迫することで時々痛みを出すことは多かれ少なかれあります。
 
ただ、その親知らずがその後きちんと生える見込みがあり、本人がしっかりと親知らずの周囲を歯磨きするなど、清潔に保っていけるようであれば、親知らずを無理に抜く必要性はありません。
むしろ抜歯せずに残しておくことで、将来、他の歯がダメになった場合に移植に利用したりすることもできるため、最近では「残せる見込みのある親知らずは残す」という姿勢の歯科医も増えています。

「初めてフクロウを見た!!」
4月末の連休で養老牛温泉に行ってきました。
夜になると、もしかしたらフクロウがやってくるかもしれないとのことで、ワクワクしながら温泉を堪能し、夕食を食べていたところ、なんと本当にやってきました、フクロウさんが!
 
まず、最初に見て思ったのが、想像していたより大きい。
おっちゃんこした子供のサイズがぴったりと合うくらいの大きさです。
羽を広げるとさらに大きく見えました。
森の中で遭遇したらまず、腰を抜かすだろうと思います。
 
そんなフクロウさんですが、シマフクロウの「シマ」は北海道を意味するそうです。
また、英名は、乱暴に訳せば「北海道の魚を取るフクロウということみたいです。」
そして、その名の通り、北海道の一部に棲息しています。
大昔、アイヌはシマフクロウを「コタン・コロ・カムイ」と呼び、村を守ってくれる神様として崇めていたそうです。
 
ちなみにコタン・コロ・カムイとは、諸説ありますがアイヌ語で村の主を意味します。
レットデータブック:日本の絶滅のおそれのある野生生物に指定され、国の天然記念物、希少野生動植物種であるシマフクロウさん、現在なかなか生息数が増えないということです。
また、出会える日を楽しみにしています。

「デンタルフロスと歯間ブラシの違いは」
デンタルフロスと歯間ブラシはどのように使い分ければよいのでしょう?
歯と歯の間の汚れを取る道具としては皆さん認識していると思います。
 
歯と歯の間の汚れを取ったり、歯垢を残らないようにする効果は歯間ブラシの方が上です。
しかし、若い方は歯と歯の隙間が小さいため歯間ブラシが入らないという方も多いのです。
そのため、若い方はデンタルフロスを使い、また、歯と歯の隙間があるご年配の方は歯間ブラシを使うという使い方が一般的です。
 
虫歯予防はデンタルフロスをオススメします。
デンタルフロスは、「歯と歯の間」の汚れをとるのが目的です(虫歯予防)。
歯と歯の間に歯間ブラシがスムーズに入るほどのすき間がなく、虫歯になりやすい方はオススメです。
 
歯周病予防は歯間ブラシをオススメします。
一方、歯間ブラシは、「歯と歯肉の間」の汚れをとるのが目的です(歯周病予防)。
ご年配の方や歯周病などで歯と歯の間のすき間が大きく空いている方はオススメです。
 
理想としては、役割がそれぞれ違うのでフロスで歯間部分を、歯間ブラシで歯の周りを併せてしてあげると1番キレイに歯垢が取り除けます。
 
 
しかしながら、正しい使い方をしないと悪影響も出てしまいます。
鞭のようにバチバチとデンタルフロスを入れると歯肉が傷つきますし、サイズの大きい歯間ブラシを使うと、歯と歯の隙間がさらに広がることがあります。
道具には正しい使い方があります。
当院で学んでみませんか?

「歯がしみるのってストレスですよね。知覚過敏が生じる原因」
知覚過敏のメカニズム
歯は表面から順番に、エナメル質・象牙質・歯髄というように、いくつかの層がひとつになっています。
歯の最も表面にあるエナメル質の部分は、厚みが約2~3mmあると言われており、体の中で一番固い組織です。
エナメル質の下の層の象牙質は、エナメルと比較すると柔らかいため、虫歯が広がりやすい部分です。
象牙質が外に露出した場合、物を噛んだ際に象牙細管という部分を通して、歯髄に刺激が伝わってしまうため、歯がしみるようになったり、瞬間的な痛みが生じることがあります。
 
象牙質の下の層の歯髄は、神経が通っているので痛みを感じる部分です。
さまざまな原因によって象牙質が外に露出すると、歯に加わった刺激が歯髄に伝わり、歯がしみるようになります。このような症状のことを知覚過敏と呼びます。
 
知覚過敏になってしまう原因について
・力を入れて歯をブラッシングする
力を入れて歯をブラッシングする習慣があると、歯のエナメル質を傷つけてしまうことがあるので、象牙質が露出してしまい、その部分が刺激を受けやすくなって歯がしみるようになることがあります。
また、力を入れて歯茎の部分をブラッシングすると、歯茎が後退して歯がしみるようになることがあるので注意が必要です。
 
・加齢や歯周病などで起こる歯茎の後退
年齢を重ねていくうちに、歯茎が下がってくるといわれています。
また、歯周病になると、歯の周辺にある組織が炎症を起こして、歯茎や歯を支えている骨が下がってしまいます。
歯茎が下がると象牙質が露出しやすくなり、その部分が物を噛む時や冷たい飲み物などを飲む時に刺激を受けて、歯がしみたり痛みを感じるようになることがあります。
 
・睡眠中の歯ぎしり
睡眠中に歯ぎしりをする癖があると、歯を噛みしめることで歯の表面に強い力が加わり、エナメル質が剥がれやすくなります。
エナメル質が剥がれた部分は象牙質が露出することになるため、知覚過敏になりやすいです。
 
突然、歯がしみたり痛みを感じるような場合には、歯が知覚過敏になっているのかもしれません。
知覚過敏が気になる場合には、その原因となる生活習慣を特定して、改めるように心がけましょう。
もちろん虫歯でも歯はしみますので、気になる症状の時は拝見いたします!!

「毎日の歯磨き~日本人に虫歯や歯周病が多い理由~」
『私は毎日歯を磨いているから大丈夫!』と思っている人も多いと思いますが、まずはその認識から変えてみませんか?
 
日本人の多くは、ただ歯を磨けば虫歯や歯周病が防げると思っているようですが、これは大きな間違いです。
日本では毎日歯を磨く人が95%もいるにもかかわらず、虫歯や歯周病が多いのがその証です。
本当に必要なのは、歯を磨くことではなくプラーク(歯垢)コントロールです。
簡単に言うと、お口の中の細菌を取り除くことなのです。
 
海外では小さい頃から口内の細菌の取り除き方を教わっているのに対し、日本では“何を取り除くか”を理解していない人が多く、そのため、正しいオーラルケアができないことが多いのです。
 
では正しいオーラルケアの方法とは?
ほとんどの人は、歯ブラシを歯の表面など当てやすい部分にしか当てておらず、歯垢が残ってしまっています。
歯ブラシで落とせる歯垢は約61%というデータもあります。
歯垢がたまるのは、歯と歯の間、歯茎のきわ、歯の真後ろ、奥歯のかみ合わせの溝の4つです。
これを落とすにはワンタフトブラシ、歯間ブラシ、フロスなどの補助用具を使うことが不可欠なのです。
 
あなたの歯磨きの仕方は正しい磨き方でしょうか?
また、歯ブラシや補助器具は種類が山ほどあり、どれを使えばよいか迷いませんか?
当院では一人一人のお口に合った歯ブラシ・補助器具を衛生士が処方し、使い方を指導しています。
さあ、あなたも正しい歯磨きの仕方・補助用具の使い方を覚えてみませんか?

「明けましておめでとうございます。」
年末年始、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
私たち夫婦は年始に東京で箱根駅伝を見てきたのですが、必死に走る選手たちにテレビで見る以上に熱いものを感じ、身が引き締まりました。
 
さて、寒い日が続くこの時期は寒さでどうしても身体が縮こまり肩こりがひどくなる方が多いのではないでしょうか?
私もついつい体を丸めてしまうため、気づくと意識して背筋を伸ばすようにしています。
実は肩周りと一緒に知らず知らずのうちに力が入っているのが顎です。
寒いとついギュ~ッと食いしばってしまうことが多くなります。
すると顎周りの筋肉が凝り固まってしまい痛くなりやすくなります。
顎、口周りの筋肉と首肩の筋肉は連携しているため、肩と顎とどちらも相乗効果で悪化させてしまうのです。
 
また、歯も過度の負担がかかるため、
・歯周組織が炎症を起こし痛くなる
・歯周病が悪化し歯がぐらぐらゆれる
・知覚 過敏がひどくなる
・歯が欠けたり
と、食いしばることでのトラブルが多い季節です。
姿勢を正すのと一緒にお口もリラックスさせてあげてください。
 
お風呂に入った時など身体が温まっている時に軽く顎(耳の前あたり)に手を添えた状態でゆっくりと大きくお口を開け閉めを数回するだけ。
これだけでかなり違います。
 
また、だんだんと動きに慣れてきたら、お口を開けた状態で下顎を軽く左右にも動かしてみてください。
すると噛み癖で左右どちらかが動かしにく場合があると思いますが、繰り返すことで徐々に同じように動くようになってきます。
身体と同じでストレッチしてあげることで余分な力が抜けて食いしばりも軽減していきます。
 
ストレッチをする際一番重要なのは無理をしないこと!
痛いのに無理に行ったり、早くいっぱいやってもあまり効果が出ないどころか顎を痛めてしまいます。
必ず温まった状態でゆっくりと行ってください。
 
年末年始でだらけた身体と頭をリフレッシュするとともに、お口周りもほぐしてすっきり良いスタートをきりましょう!
本年もどうぞ宜しくお願い致します。
 
                                            こまば歯科 スタッフ一同

「12月は大忙し!歯磨きを忘れずに!」
12月は忘年会、クリスマス、年越しお正月と慌ただしい季節です。
また、毎日の歯磨きを怠りがちになる時期でもあります。
 
さて、ブラッシングが疎かになると、歯の表面にはネバネバした堆積物(たいせきぶつ)であるプラークがだんだん歯に溜まっていきます。
プラーク(歯垢・しこう、バイオフィルム)とは簡単にいうと、
口の中の細菌が歯の表面についてベトベトに固まっている状態です。
プラークは、1グラムあたり1,000億個もの細菌からなり、それを構成する細菌の種類は500種類以上といわれています。
 
皮膚や鼻の粘膜の表面には、各々1平方センチあたり1,000および10万個の細菌がいますので、プラーク中の細菌の多さは際だっています。
このプラークの細菌が酸を出して歯を溶かしたり、毒素を出して骨を溶かすことによって、虫歯や歯周病が進行するのです。
 
プラークは出血している歯茎から、血液の流れに乗って体の中に入り込みます。
プラークによって体の中の血管を詰まらせ心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす原因にもなります。
また、口は呼吸の入り口でもあるため口の中のプラークが肺炎を引き起こす誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の原因になり、
肺炎は日本人の死亡原因の4位になります。
 
プラークは毎日毎食後取り去ることが基本です。
ただし人によっては歯ブラシやデンタルフロスだけでは取り除くことができなかったり、プラークに含まれる細菌がとても強い場合もあります。
その場合は薬を使いながらプラークの除菌をし歯や歯茎を守っていく必要があります。
楽しい時間を過ごすためにきれいにブラッシングをしましょう!

「祝1周年」
釧路も雪が降り今年も寒い冬がやってきましたが皆さんどうお過ごしでしょうか?
昨年11月に新生こまば歯科となって早くも1年が経過しました。
急な開業で以前から通ってくださっている患者様には大きな不安とご迷惑をおかけしてしまいましたが、温かく見守っていただき大変感謝しております。
こうして無事1周年を迎えられたのも当院を選び来院してくださった皆様のおかげです。
ありがとうございます。
 
11月2日まさにちょうど1年のこの日にスタッフからお花のサプライズ!
ほんとうにうれしいとともに、こうして医院の事を考えてくれているスタッフがいてくれることで、こまばはこれからもより良い医院へと成長できると確信しました。
 
患者さんに寄り添い、一緒に歩んでいける歯科を目指して、これからもスタッフ一同まい進してまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 
                           葛巻秀敏、葛巻真穂子

「釧路湿原でカヌーに乗ってきた!」
先日、内地から後輩がやってきたので、釧路の見どころを紹介するために一緒にカヌーに乗ってきました。
そこでこんなにも身近にある釧路湿原を全然知らなかったことに気が付きました。
 
釧路湿原国立公園は、北海道東部を流れる釧路川とその支流を抱く日本最大の釧路湿原及び湿原を取り囲む丘陵地からなる。
手つかずの広大な水平的景観はこの地の何よりの魅力である。
また、国の特別天然記念物のタンチョウをはじめ多くの動植物の貴重な生息地となっている。
 
釧路湿原は、明治以降、開拓が困難なため、役にたたない土地と考えられてきたが、戦後の食料不足による農地開発や市街地開発及び丘陵地伐採などにより、湿原面積の減少や乾燥化が進んだ。
それに対し地元の研究者や自然保護団体が、湿原の価値を見直すための運動を続けた結果、その価値が国際的に認められ、昭和55年に日本で最初のラムサール条約登録湿地となり、7年後には国立公園に指定された。
 
湿原を中心とする初の国立公園の誕生は、かつて「不毛の大地」と呼ばれた湿原の自然環境に対する価値が、地域の活動を通して見出された結果、日本の国立公園史に新たな歴史を刻んだ出来事といえる。(環境省より文章を引用)
 
先日の大雨から釧路を救ってくれたのもこの湿原があったおかげで、河川の氾濫がなかったのは、湿原が山からの水を吸収してくれたからだとガイドの方もおっしゃっていました。
自然の音しか聞こえず、そこで生活する動植物を見てゆっくり流れる時間を過ごし、改めて、体験して初めてわかることがたくさんあることを感じた一日でした。
やっぱり釧路はいいですね。

「歯髄」
治療中にある質問されたこと
~神経のある歯と無い歯は何が違うの?~
 
歯の内部には 「歯髄」と呼ばれる、いわゆる神経組織があります。
この歯髄はただ痛みを伝えるだけではなく、無数の毛細血管が存在し歯に栄養分や酸素を送っています。
例えるなら、イメージしてみてください、神経のある歯は、地中に根をしっかり伸ばして生きている木です。
そして、神経のない歯は、切り倒された木です。
地中から栄養分を補給している生きている木は、瑞々しさを保ち、多少の強風などでも、ぽきりと折れずしなって対応しています。
はたまた、切り倒された木はどんどん干からびて、力に負けて簡単に、ぽきっと折れてしまいます。
むし歯の進行などによりこの「歯髄」が細菌におかされると、取り除かなければならなくなります。
こうして 「歯髄」を失ってしまった歯を「失活歯(しっかつし)」といいます。 (反対に「歯髄」のある歯は「生活歯」といいます)
 
神経を取った歯のデメリット① 歯がもろくなる
歯の神経(歯髄)は栄養分や水分、酸素を運んでいます。
つまり、神経をとってしまうということは、歯に栄養分が送られなくなることを意味し、その結果、歯が弱くなってしまうのです。
歯は食事のたびに常に力がかかっています。
そのため神経を取ってもろくなった歯は、どうしてもヒビが入ったり、割れたり折れたりする可能性が高くなってしまうのです。
 
神経を取った歯のデメリット② 虫歯に気が付かなくなる
神経を取ったからといって、むし歯にならないわけではありません。
むしろ、痛みを感じなくなるので、むし歯になっても気づきにくく、知らないうちに大きなむし歯となり、最悪の場合歯を抜かなくてはならなくなります。
 
神経を取った歯のデメリット③ 変色する
歯の神経を取ってしまうと、歯髄のまわりにある象牙質に血液が送られなくなるので、象牙質が変質し色が変わってしまいます。
このため、歯の色も変色してしまうんです。
奥歯ではあまりに気にならないかもしれませんが、前歯の場合はかなり目立ってしまいます。
 
歯も健康な状態で末永く使うことが大事なのです。
私たちこまば歯科のスタッフがお口の中のケアをサポートしていきますので、一緒により良いお口の環境を作っていきましょう。

「釧路湿原マラソン」
ザーっという雨音で朝目覚めた。
時折雷鳴もきこえてくる。
今日は釧路湿原マラソンの日だ。
 
中止かと思われたが、準備して会場へ向かうとする。
道中車の影が全くない。
しかし、大会会場についてみれば、走りたくてうずうずしている人たちでいっぱいだ。
 
大会運営の放送では、雨は開始時には止むという。
エントリーを済ませて待機していると、本当に雨は小雨になっていた。
 
今回も10kmマラソンに出るために、毎週少しずつ走って体を慣らしてきた。
走ることが大の苦手の私だが、一人で走る練習の時と違って、大会では大勢で走る。
それがなんと楽しいことか。
沿道から応援してくれる人の声を聴きながら自分を鼓舞し、何とか今年もゴールまで走り切った。
人に自慢できるタイムではないが、ゴールした時は達成感を味わうことができるので、本当に嬉しい。
 
小雨という釧路らしい天気の中でも応援してくれる人達、大雨の中でもきっちり仕事をして、
大会を運営してくれた関係者の方々あっての良い大会でした。
そんな大会に私は来年もエントリーする。

「アロマ始めました」
皆さん歯医者が苦手な方が多いですが、その理由の一つに医院に一歩足を踏み入れた瞬間、
鼻につく歯医者独特の臭いがあると思います。
 
自分たちでは毎日働いているので全然気付かなかったのですが、開業してすぐ、
家族が医院を見学に来た際、「歯医者の嫌な臭いが結構するね」と、指摘されました。
 
それまであまり臭いはきつくないと思っていたので驚きました。
当医院に来院してくださった患者さんも不快な思いをしている、
臭いをどうすればなくせるのか悩んでいろいろと調べました。
そこで出た結論がアロマです。
 
アロマというと香りによるリラックス効果だけかと思っていたのですが、100%ピュアオイルを使用することで消臭や虫よけ、
さらに抗菌・抗ウィルス効果もあるそうです!
 
香りが苦手な方もいらっしゃると思うので現在、試しに受付に設置しております。
安心して高品質なアロマを楽しんでいただくため、多くのクリニックやサロンで取り入れられているアロマディフューザーと、
専用の100%天然成分のエッセンシャルオイルを採用しました。
 
今後皆さんやスタッフの評判をもとに、
診療室により抗菌効果の高い香りを設置することでリラックス効果だけでなく感染予防にも役立てればと考えております。
 
歯科に来院し、ナーバスになっている皆さんが良い香りによって不安や緊張を少しでも和らげ、リラックスしていただければうれしいです。
 
[現在の香り]
・シトラスハーブ・(以下のエッセンスが含まれております)
オレンジ、マンダリン、ゼラニウム、マジョラム、ペパーミント、グレープフルーツ、ラベンダー、ローズマリー、ベルガモット、パルマローザ

「一般によく聞くCTとは・・・」
一般によく聞くCTとは、Computed Tomographyの略です。
 
コンピュータを駆使したデータ処理と画像の再構成で、断層写真を得ることができる装置です。
歯科用CTとは、近年開発された歯科に特化したCT装置で、コーンビーム方式を用いているためコーンビームCTとも言われています。
 
歯が痛いけどどこが痛いのかわからない、歯の治療を続けているがいつまでも変わらない、このように先の見えない治療に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
近年、歯科用CTレントゲンが少しずつ普及し、今まで歯科医師の経験と予想で診断していた痛みの原因が、3次元のCTレントゲンによってわかるようになっています。
 
もちろん全ての原因がわかるわけではありませんが、今までの診断や治療より格段に精度は向上しています。
今回は歯科用CTレントゲンでわかる歯の痛みの原因と歯科用CTを撮影することによってより安全にできる治療についてお伝えします。
 
歯科用CTでないと分からない歯の痛みの原因
 
1.副鼻腔に膿が溜まる 上顎洞炎(蓄膿症)
2.根の先に膿が溜まる 歯根嚢胞
3.歯の根が割れる   歯根破折
 
歯科用CTで確認後、治療した方が安全なもの
 
1.インプラント治療(術前の診査・診断、術後の状態確認)
2.親知らずの抜歯(下顎枝との位置関係など)
3.歯周病の骨の再生
4.根管治療
5.過剰歯の抜歯
6.歯列矯正

「正しいブラッシング」
慢性の炎症はからだの中に入り込んだ細菌などによって起こりますが、急性の炎症と異なり、痛みも感じないものが多いといわれております。
慢性の炎症が原因で発症するといわれているものが、アルツハイマー病、がん、リウマチ、糖尿病などです。
過剰な内臓脂肪も炎症を起こすといわれています。肥満でも炎症が起こります。
 
 
さて、口腔内には約100億個の細菌がいます。
 
おもに細菌やウイルスが侵入する部位は、呼吸器や消化器、とくに問題となるのは口です。
細菌の量を調べると、口の中には約700菌種、約100億個の細菌がいます。
もちろんすべてが悪い菌ではなく、虫歯があればその傷口から、歯周病があれば歯と歯茎の隙間から細菌が侵入します。
血管に入った細菌は免疫機構によって排除されますが、一部は生き残り、炎症を起こします。
この歯周病菌によって、アルツハイマー病や動脈硬化が引き起こされることがわかっています。
動脈硬化によって心筋梗塞が起こり亡くなった人の心臓の血管を調べたところ、歯周病菌が見つかっており、
アルツハイマー病も同様に、亡くなった人の脳から歯周病菌が見つかっています。
 
口腔内をきれいに保つことで、リスクを減らすことができます。
正しい歯ブラシをの仕方を学びましょう。

「噛めるということ」
愛知県知多半島の65才以上の住民を対象に、歯の数と認知症の関係について4年間追跡調査をした結果、20本以上歯を有する人に比べて、歯がほとんどなく、義歯も利用していない人の
認知症のリスクは、最大1.9倍となったそうです。
 
また、すでに自分に歯はなくなっていても、義歯などで正しいかみ合わせができるよう
口腔機能を回復させている人は認知症になりにくく、転倒数も少ないことがわかっています。
 
正しいかみ合わせのおかげで、食べたものの栄養が効率よく吸収できるだけでなく、
脳が活性化されたり、体力が高まったりします。
心と体は密接に関係しているので、活力がでてくると気持ちにもハリが生まれ、
生きる意欲にもつながります。
 
自分の歯を失ったら、そのままにせず、入れ歯やインプラントなどで、
いつまでもきちんと食べ物を咀嚼できる歯を維持しましょう。
 
                               院長 葛巻秀敏

「認知症」
先日、歯科医療従事者の認知症対応力向上セミナーに参加してきました。
現在、認知症の原因疾患として大きく 4 つに分類されるようです。
アルツハイマー型
レビー小体型
脳血管性
前頭側頭型(ピック病)
認知症は年だからという問題ではなく、病気とされています。
 
定義としては、
いったん正常に発達した知的機能が持続的に低下し、複数の認知障害があるために社会生活に支障をきたすようになった状態。 と、されています。
 
高齢化社会を迎えた現在、避けては通れない問題となってきております。
 
私たち「こまば歯科」では、患者さんのペースを大切に、患者さんの立場で、患者さんのプライドを傷つけないように、
患者さんの笑顔が見られるよう診療に従事していきたいと思います。
 
                                          院長 葛巻秀敏

所在地

〒085-0048 釧路市駒場町1番2号

電話番号

☎:0154-31-7373

📠:0154-31-7374(FAX)

バスでお越しの方

釧路バス55番線乗車/若草8番地バス停下車

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医院前駐車場をご利用ください。

お支払いについて

自費診療(保険外診療)に限り、クレジットカード払いが可能です。

 
診療時間
09:30〜13:00 - -
14:30〜17:00 - - - - - -
14:30〜18:00 - - -
休診日:木曜、日曜、祝日
お昼休み:13時~14時30分

 
「新たにご来院される方へ」
下記バナーより当院の問診票が印刷できます。
ご自宅にてゆっくりと記入してお持ち下さい。
 

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